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最果てのホライズン  作者: 椎名乃奈
第三章 かくれんぼ
25/60

【025】

「遅いぞ、スゥ」


「遅刻です。スゥちゃん」


「ごめんなさい」


 一応。


 時間には間に合っていたのだが、レイとリナが着いてから自分達が待ったので、スゥは遅刻と言うことになった。レイとリナに、ただただ平謝りしているその姿は、リナやレイよりもお姉さんとは言い難い姿だった。


 ただ。


 それが、何にも対しても、誰に対しても誠意ある真面目なスゥの良い所でもあった。


「もう大丈夫です、スゥちゃん。何して遊びましょうか?」


「何しましょうか?」


「鬼ごっこしよ」


 レイの提案で鬼ごっこをすることになった。


「ジャンケンポン」


 三人で掛け声を合わせ、それに合わせて同時に出す。


 ジャンケンは、最初の一回で直ぐに決まった。レイとリナがグーを出し、スゥがチョキを出し負けた。つまり、鬼はスゥからの始まりだ。スゥが負けるや否や、勢い良くレイとリナが逃げ出した。


「――八、九、十」


 数を数え終わり辺りを見回すと、レイもリナも遥か先に居た。さすがに目の前にいるなんてことは、余程の自信が無い限りそのような挑発をするような人はいない。特に探す当てのある訳では無いスゥはふらっと歩き出した。


 言っても、子供の遊ぶ範囲は中央広場一帯程度だ。


 中央広場は、噴水を中心に半径百メートル程度の広さで、子供の遊ぶ広さにしては少しばかり広いが、何も自分達だけが使う訳では無いので、そう言った意味では寧ろ丁度良いのかもしれなかった。


 ただ。


 その広さが仇になることもあった。


「スゥ、ほらほら」


「スゥちゃん、こっちですよ」


「レイくーん……、リナちゃーん……、待って下さーい……」


 スゥは、息切れ切れになりながらも走りながら声を出す。


 その広さ故に、見つけたとしても追い付けないのだ。


 鬼ごっこは、たとえ見つけたとしても、その見つけた子を捕まえなければ、自分は永遠に鬼から逃れることは出来ない。つまり、スゥより運動神経の良いレイやリナはずっと逃げることが出来、逆にレイやリナよりも運動神経の悪いスゥは、ずっと鬼として追い駆け続けなければならないのだ。


「スゥ、早く早く」


「スゥちゃん、大丈夫ですか?」


 スゥの様子を見ながら逃げ回ることの出来るレイやリナと違って、既によろけながら追い掛けているスゥとでは相手にならなかった。そして、一度も子を捕まえることなく、鬼ごっこと言う遊びが成立しなくなってきていた。


「ちょっと……、待って下さい……」


 スゥの声にレイとリナは逃げるのを止め、スゥの元へ駆け寄って来た。


「鬼ごっこは止めて、かくれんぼにしませんか?」


「そうだな。スゥが相手じゃ、鬼ごっこもつまらないしな」


「スゥちゃん、足遅いもんね」


「あはは……、すいません」


 子供の無邪気な発言に苦笑いをするも、核心を突くその発言に、子供と一緒に遊ぶこともまともに出来ないのかと若干の心苦しさがあった。


「じゃあ、しょうがないから、かくれんぼしよっか」


「そうですね。スゥちゃん、このままだとずっと鬼ですもんね」


「すみません……」


 かくれんぼの鬼を決める為に再び、ジャンケンをする。


「ジャンケンポン」


 三人で掛け声を合わせ、それに合わせて同時に出す。


 ジャンケンは、またも最初の一回で直ぐに決まった。レイとリナがチョキを出し、スゥがパーを出し負けた。結局、鬼はまたスゥからの始まりだ。スゥが負けるや否や、勢い良くレイとリナが隠れる為に走り出した。


「――八、九、十」


「もう良いかい?」


「まあだだよ」


 その声に再び数を数える。


「――八、九、十」


「もう良いかい?」


「もう良いよ」


 数を数え終わり辺りを見回すが、当然見える範囲にレイもリナも居なかった。見えていてしまっては、それでかくれんぼも終わってしまうので当然と言えば、当然だった。鬼ごっこに比べれば、走る必要が全く無いので、鬼ごっこで浪費した体力を回復させるためにも、ゆっくりと歩きながら探し始めた。


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