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最果てのホライズン  作者: 椎名乃奈
第二章 おつかい
20/60

【020】

「ただいま」


 スゥは、勢い良くクロードの店の扉を開いた。


 スゥのその顔は、おつかいへ行く前と行った後とでは大違いだったことを、クロードは一目も見れば十分に理解出来たが、それでも直接スゥの口から聞きたかったクロードは、敢えて聞いた。


「おかえり、スゥ。初めてのおつかいはどうだった? 楽しかったかい?」


「はいッ!」


 スゥは元気良く答えた。


 スゥのその顔を確認出来たクロードは安心した。


「そうか、それは良かった。ところで――スゥの後ろにいるその少年は誰だい?」


「あ、紹介します。カレン君です」


 スゥの紹介でスゥの背中の後ろから一歩ほどずれて、挨拶をする。


「カレンです。宜しくお願いします」


「宜しく、カレン」


「私が帰り道で、転んだところを助けて貰いました」


 スゥの言葉にふと膝を見ると怪我をしているのに気が付いた。


「あ、本当だ。怪我していているじゃないかッ! 大丈夫かい?」


「はい、カレン君が手当てをしてくれたので――」


「そうか、良かった。ありがとう、カレン」


 クロードは、カレンへ一礼をした。


「いえ、僕にも責任があるので――」


 カレンは、申し訳なさそうな顔をした。


「クロードさん。カレン君は、どうやら困っているようなので、そのお礼も兼ねて手伝いたいんですけど」


「そうだね。スゥがお世話になったみたいだし、言ってごらん。僕に協力出来ることなら、出来るだけの協力をしよう」


「ありがとうございます。信じて貰えるか分からないですけど、ある女の人を見つけて、森の奥の方へ行くから、危険だと忠告しに行ったら、いきなり光に包まれて、気付いたらここに居たんです」


「いきなり光に?」


 クロードは何か引っ掛かるようで、腕を組みながら右往左往し、考えていた。常識的に考えれば、いきなり光に包まれて瞬間移動しているなんてことはまず在り得ない。ただ、クロードには何か心当たりがあるようだった。


 そして。


 その心当たりを確認するかのように質問をした。


「ちなみに、カレンの居た街の名前は何て言うんだい?」


「ボクの住んで居たところは、サンタフェリアと言う小さな村で、街と言える程大きな所じゃありません」


「やっぱりそうか……」


 クロードは、意味深長な発言をした。


「どういうことですか?」


 その言葉に疑問を抱いたスゥは聞いた。


「まあ、僕の話を信じろと言うのも難しい話なんだけど――ここは、ホライズンと言って、カレンの居た街から遥か遠くにある街なんだ。そして、問題はこっちだ。落ち着いて良く聞いてね。実は、まさに今と言うこの瞬間は、カレンから見て未来に当たる時間なんだ」


「未来?」


 カレンは、言っている意味が良く分からなそうな顔を見せた。


「何も、いい加減なこと言っている訳じゃない。まあ、色々と根拠があってだね――まず、確かにサンタフェリアは小さな村だったが、今ではハーブで有名な街であること。次に、ある女性が地質調査で過去のサンタフェリアへ行っていた。そして、その女性は瞬間的に時空の移動が可能だと言うこと。最後に、それが出来る唯一の女性がこの街に居ると言うこと」


 クロードは額に手を当て、一つ深い溜め息をついた。


「犯人は――」


 スゥとカレンは固唾を飲む。


「僕の親代わりで、僕の名付け親で、そして――魔法使いだ」


 スゥは、このクロードの言う名付け親のことをどこかで聞いた覚えがあった。少しづつ、その記憶を遡って行くと、その時の記憶が蘇って来た。確か、クロードの名前をテキトーに付けた――そう言っていた人だ。


 まさか。


 その親代わりだった人が、クロードと言う名前を付けたことは知っていたが、魔法使いだったなんてことは、全く知らなかった。魔法を使える人が、存在するだなんて思わないし、魔法を使える人がクロードの親代わりの人だなんて思わない。


 そして。


 カレンは、自分が過去の世界からやって来た人間だと聞かされても、あまり実感も無く、スゥもカレンも、一体何がどうなっているのかさっぱりと分からなくなり、何が可笑しくて、何が可笑しくないのかさえも、分からなくなっていた。


「じゃあ、二人とも今から出掛けるよ」


 クロードは二人に呼び掛けた。


「どこへです?」


 スゥは、首を傾げた。


「決まっているだろう。魔女の住処へ――さ」


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