宙で時間が止まった
この話は、私が小学5年生の夏に体験した出来事をもとに書いています。
今でもあの瞬間を思い出すと、不思議な感覚がよみがえります。
りんは不思議な体験をしている。
あの男の子とは、前にも小さなトラブルがあった。
何かを仕掛けてきたので、私は足蹴りをお見舞いした。
たぶん、その仕返しだったんだと思う。
11歳の時、りんは自転車をこいでいた。
橋の上に差し掛かった時、男の子が二人、突然手を広げ、私の進行を妨げた。
一人の男の子が、私のサドルに手をかけ、きゅっと川のほうに曲げた。
勢いもあって、そのまま川へ飛び込んでしまった。
橋は、せいぜいブロックが一段あるくらいのものだった。
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
気がつくと、自転車が川の下に落ちているのが見えた。
私は、宙に浮いていた。
――その時だった。
宙で時間が止まった。
私は体から離れ、私の体をブロックに捕まらせる処理をした。
次の瞬間、私は橋のブロックにぶら下がっていた。
足を何かにひっかけようとしたが、そこは空洞だった。
何もない。
橋にぶら下がっているんだから、当たり前なのに。
りんは急に怖くなった。
「どうしたらいいの?」
とにかく、肘をブロックに引っ掛けるしかない。
幸いおてんばだったので、それができた。
片方の肘がかかった。少しほっとした。
そして、もう片方。
上半身がやっと上がった。
あとは、這い上がるのみ。
橋の上に立つことができた。
男の子たちの姿は、もうどこにもなかった。
怖くなって逃げたんだと思う。
りんは川の下に降り、自転車を引き上げ、家に帰った。
そのことは親には言わなかった。
奇妙な体験が、いつまでも心に残っていた。
翌日、クラスでその男の子たちに会った。
そのうちの一人に、手提げを振り回して頭にぶつけた。
中にはアルミの筆箱が入っていたので、「コンッ」と音がした。
――知るか。
夕方、家の玄関のチャイムが鳴った。
あの男の子が母親と二人で立っていた。
母が対応していた。怪我をしたらしいことを聞いた。
私はそこで、昨日の出来事を母に話した。
けれど母は、そのことについて何も言わなかった。
怒られもしなかったし、その親子がどうなったのかも、私は知らない。
あの日の出来事は、そのまま消えていった。
今でもこの体験は何だったんだろうと思います。
この後も何回か、私は自分の体から離れた経験をしています。
時間がゆっくりになったり、手先から痛みがたまになって出て行ったり、、、
少しずつ書きます。




