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ウェポンスピリッツは未来に継げる!  作者: 古魚
欧州出兵編~波乱の上陸~
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嫌な報告

 不図目が覚めると、そこは、真っ白で何もない空間だった。


「……また電脳世界か?」


 この感じは、ヨミと話していたあの世界によく似ている。

 似ていると言っても、ただひたすらに、真っ白な世界なだけなのだが。


「正解です、パパ」


 振り返ると、そこにはヨミが立っていた。


「この世界に俺を招待したってことは、何か大事な話があるのか?」


 別にヨミとは、腕時計を使えばいつでも会話ができるが、ここを使えば、何についても心配はいらない。


「はい、今日の哨戒報告です」


 そう言えば潜水艦部隊は周辺海域の哨戒に出ているのか……通信での電波を飛ばせないから、直接俺の頭に接続したと……。


「基本的には、異常は見当たりませんでしたが、一隻アンノウン艦を発見しました」


 アンノウン艦、正体不明艦か……。


「超大型の潜水艦ですが、それ以上の情報は掴めませんでした」


 俺は、その言葉を聞いて、ハッとする。


「まさかそれは!」

「はい、噂の潜水航空母艦で間違いないと思います」

「詳細な場所を教えてくれるか?」


 ただの潜水艦ならまだ何とかなるが、日本近海にいたと思われる『Ⅹ型』潜水航空母艦では、航空機を発艦できるため、脅威が大きい。

 万が一、ここが空襲可能の範囲ならば、何か対応を考えなくてはならない。


「はい、発見したのは、ヤーデ湾より北西に約740キロの場所です」


 『Ⅹ型』が何を積んでいるのか分からんが、前回襲ってきた『トーネードⅠDS』なら、余裕で空襲可能範囲なはずだ……。


「あ、パパが危惧していることは、普通なら大丈夫です、英国の軍事情報を集めた所、Ⅹ型などの、潜水航空母艦に搭載するジェットは、『トーネードVⅩ』と呼ばれる機体で、燃料搭載量を減らすことで、軽く小型化に成功した機体になっています」


 ほう、と言うことは大幅に航続距離が落ちている訳だ。


「通常時の航続距離は2780キロですが、『ⅤⅩ』の場合、1120キロまで航続距離は落ちています」


 なら往復は無理、空襲の心配はない……と良いんだがなぁ……たまにWASは、無人機なのをいいことに、ジェットすら使い捨てる時があるからなぁ。


「それと、もう一つご報告したいことがありまして」


 ヨミが思い出したかのように、口を開いた。


「パパたちが上陸していようとしている海岸周辺に、ずっと着陸したままの機体を発見しました」


 なんだそれ?


「機体状況はよくわかりませんが、綺麗な形を保ったまま陸の上に着陸していましたが、全く動く気配は在りませんでした」


 気になる情報だな……。


「他の情報に関しては、隙を見てパパの腕時計へ送信しておきます」

「何から何まですまないな」

「いえ、之が私の仕事ですから」


 ヨミの本職はサイバー戦闘なんだよなぁ。


「パパ、もう起きる時間みたいですよ」


 その声で、俺の意識は揺らぎ始めた。


「そうか……また、後でな」

「はいパパ、頑張ってくださいね」


 その声を最後に、俺の意識は、現実へと戻って来た。




 現在、06時40分、大和第348号室。




「……おはよう大和、何してんだ?」


 目覚めて最初に目が行ったのは、俺に跨る大和だった。


「おはよう有馬、四八号電探に、不審機が映ったからこうして報告に来た、艦長……じゃなくて、彭城長官たちはもう会議室に集まってるよ」


 大和は彭城艦長を、長官と言い直して、俺にそう伝えた。


「別に、彭城長官は、長門の艦長だから、艦長呼びでも間違いじゃないぞ?」


 そう言うと、大和は「うーん……」とうなり、言う。


「私にとって今の艦長は有馬だから、艦長って呼ぶのは、有馬だけだよ」


 ……そうゆうもんか。


「そうか……まあわかった、すぐに行くよ」


 大和はそれを聞くと、頷き、静かに消えて行った。


「忙しいなあいつも……」


 まだ少し眠い目を擦り、士官服に着替える。


「まあ考えてもしょうがないか……」





現在、06時55分、大和作戦会議室。




「お、来たな」


 そこには、凌空長官と彭城艦長、ハインケル機甲師団長もいた。


「はい、大和に呼ばれて参上しました」


 俺は一礼してからいつもの席に着き、机に置かれた、一つの写真を見つめる。


「この機体は?」


 その写真は、燃え盛る町の上空を飛ぶ、大きな航空機の写真だった。

 見た目からは、アメリカの『B21』ステルス爆撃機のようにも見えるが……。


「これは、英本土が攻撃された時に撮られた写真だ、写っている機体の名前は不明、詳細も、全くわからん」


 名前も詳細も不明か……。


「数少なく分かっている情報は……」


 ハインケル長官は、一枚の設計図を取り出す。

 そこには、先ほど写真に写っていた機体の、全体図が書かれていた。


「サイズは、推定だが、全幅1100m」

「1100m⁉」


 大和の4倍以上のサイズで、空を飛んでいるのか⁉


「驚くのはまだ早い、この巨体を飛ばしているのは、二基の八枚羽二重反転メインプロペラと、八基の六枚羽サブプロペラだ、エンジンについては不明だ」


 プロペラ……。


「……いやいやいやいや、そんなの無理ですって、おかしいでしょ⁉」

「流石にな、おそらく浮遊装置は別にあると思われ、プロペラは前進用の装置だと考えている」


 それでも無理だ、一キロの幅を持つ機体が空を飛ぶなんて、考えられない。


「有馬君が言いたいことは分かるが、実際飛んでいる以上、現実で起きたことだ、何か対応を考えておかなくてはな」

 いやまて、対空電探に不明機が映ったから、俺達って集まったんだよな?


「まさか、対空電探に移った機体って、もしかして……」

 

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