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ウェポンスピリッツは未来に継げる!  作者: 古魚
大規模海戦演習編
125/340

質疑応答

 現在、12時30分、横須賀港、海岸線付近の臨時会見会場。



 後ろに、『大和』と『アイオワ』の艦体を置き、演説台が設けられた、俺はこれからここで、WSの説明を行い、記者たちの質問に、答えなくてはならない。


「では、時間になったので始めてください」


 司会役である浅間副艦長がそう告げる。

 俺は台に立ち、大勢のマスコミや観客と目が合う。

 今すぐトイレに駆け込みたいが、そんなことも言っていられない、WSを守り、ともに戦い、日本を守ることが、俺の仕事なんだから。


「えーどうも皆さん、こんにちは、私は桜日海軍戦線長官並び、ウェポンスピリッツ責任管理者である、有馬勇儀です」


 俺の会見は、自己紹介から始まり、WSのことを全て話した、WSができた経緯、何故使う事となったのか、WSの謎、危険性、そして不思議な力のこと、一通り話終わる頃には、すでに一時間が経過していた。


「……と、いう事です」


 俺はとりあえず、大きく深呼吸した、何とか噛まずに言えた……。


「では、質問の時間に入りましょう」


 副艦長がそう言った瞬間、全ての記者の手が上がった、これ全部答えるの?


「……では、左端から一社ずつお答えしていきます」


 そう俺が言うと、一番左奥にいた記者が起立する。


「では、失礼して」


 その記者は、灰色のスーツに身を包んだ、50代ぐらいの男性で、目には、大きめな眼鏡をかけている。


「えーご説明に合ったWSの魂、でしたか? それが存在するという証明は、可能でしょうか? そんなSFチックなことを言われて、はいそうですかと頷ける訳はないのでね」


 と、少々口を吊り上げて言った、どうやらこの人は我々軍が、国民にデマを流していると思っているらしい。


「証明はできますけど……副艦長、どうします?」


 俺が副艦長に視線を送ると、何やら、ショーケースを持ち出してきた。


「研究部から用意された、記者たち全員分用意できている」


 と言って副艦長は、自身のps2を耳につけ、スッタッフに記者たちに配らせた。


「それが、先ほどのお話で紹介した、WSたちの姿と声を、確認できるようにする機械です」


 俺がそう補足すると、記者たちは怪しみながらも、その補聴器をつけた。


「貴方はつけないのですか?」


 記者が、俺に聞いてくる。


「ええ、私は無くても見え、声が聞え、触れることができるので、その機械は必要ありません、先ほど言いませんでしたっけ?」

「いえ、冗談かと……」


 んなしょうもない嘘つくわけねーだろ。


「さて、皆付けましたが見えませんよ?」


 男がそう言いながら、辺りを見渡す。


「そうですね、まだいませんから、では出てきてもらいましょうか」


 俺はここで、誰を呼ぶべきか……。

 零なら、持ち前の知識と冷静さで対応してくれるだろう……いっそプライズを呼ぶか? 日本だけではないと言う事の証明もできるし……。


「うーん、まあやっぱりあいつか」


 俺は、そう小さく呟き、少し大きめな声で、彼女の名前を呼んだ。


「大和! 出てきてくれ」


 俺が呼びかけると、カメラマンたちは、どでかいレンズをつけたカメラを構え、機材を向ける、そして、記者たちは俺の方へ視線を向ける。


「はいはーいと」


 そう軽い返事で、淡い光を放ちながら実体化して、俺の隣に大和が現れる。


「……そんな」


 記者やカメラマンたちは大きく口を開け、一瞬時間が止まった。


「えっと……皆さんこんにちは! 戦艦大和ですけど……聞いてますかー?」


 大和が、しどろもどろになりながら自己紹介し、記者たちに手を振るが、反応がないので困っている。


「えっと……映像ではないという、証明はできますか……?」

「これでいいですか?」


 大和の頭を撫でると、その記者は席に着いた。


「では次の方」

「えっちょ! 私の出番終わり⁉ せっかく来たのに?」


 大和が後ろでうるさいが、気にせず進めた。

 次の記者は同じスーツだが、先ほどの人より、だいぶ若い、30代ぐらいだろうか


「えっと……その、何故WSがps2を使ったら、レンズ越しなら見えるのかを、もっと詳しく、説明していただけないでしょうか……」

「先ほどの説明では、足りませんでしたか?」


 俺が聞くと、静かにうなずいたので、俺は再び、WSの仕組みを話し始めた。


「WSとは本来、ただのプログラムでしたが、記憶との共鳴反応を起し、自我をもったところまでは大丈夫ですか?」


 俺が聞くと、その記者は頷く。


「そして、その時はまだ声しか存在しませんでした、しかし、それは人の耳が聞き取れる音ではなかったため、それを聞こえるよう、音波を調整するpsが作られていました」


 俺は、後ろにいる大和に目配せをすると、大和は察したのか、姿を消し、あたりに声だけを届けた。


「ちょうどこんな感じだね」


 その声に驚いたのか、記者たちは皆、きょろきょろとあたりを見渡す。


「今、大和には実体を消してもらって、声だけの状態で、話してもらっています」


 俺が補足すると、一旦落ち着き、視線をこちらにもどす。


「そして、私が初めて声に、体である実体があることを、確認しました」


 初めて『大和』に乗った時だ、あの時は本当に驚いた、WSの声の存在すら知らなかったから。


「その後、研究所で調べた結果、WSには、実体を構成する光線粒子……ホログラムのようなものがありました」


 正直、詳しいことは俺にも理解できていない、だが、一つ言えるのは、彼女たちは、ただのAIではないということだ。


「それを識別し、実体として見えるようにするのが、ps2の役割です、また、カメラに映る理由は、細かいことまでは分かっていませんが、カメラは、光の屈折を自然体で映すので、カメラに映るのだと考えています、幽霊とかが、カメラには映るののと、同じような理屈です」


 そう説明すると、その記者は腰を下ろした。

 さて次は、どんな質問が飛んでくるのか……。

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