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彼女と彼氏であるようでない。  作者: シャルロ
彼女と彼氏になりました?
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第十三話 初デート・中

ごめんなさい。手違いで前と同じ話を投稿してしまいました。

これが本当の十三部分目です!

 

「そうだ、水持ってこなきゃ」


 そう言って、綾菜は席を離れて、ドリンクバーの近くの水を汲めるところへ向かおうとする。

 同じタイミングで、同じことをしようとしていた颯太。


「ついでに持ってくるから、待っててくれ」


 そう言って、綾菜に席で座って待つようにお願いした。

 二つコップを取り、氷をトングで入れ、ボタンを押して水を注いだ。そうしていると、足音が近づいてきた。そちらを向くと葵がいた。


「先輩、頑張ってね!」


「あ、ああ」


 葵はそう一言だけ告げて別の場所に行ってしまった。

 颯太は席に戻り水を注いだコップを綾菜に渡した。


「ありがとう」


「ああ」


 颯太は席に着く。


「ねぇ、夏祭りの日は予定空いてるんだっけ?」


 八月の一日と二日にある颯太の家の近くで行われる夏祭りのことだ。海の方では花火が上がるらしい。


「ああ、空いてるな」


「じゃあ、去年みたいに行こうよ」


「いいぞ」


 去年は颯太、綾菜、泰斗の三人で祭りを楽しんだ。屋台で食べ物を買って食べたり、輪投げなどのゲームをしたりした。


「じゃあ、砂川に連絡しておく」


「お願い」


 だが、颯太には気になることが一つあった。


「でも、あいつ彼女いるし、誘えるのか?」


 喧嘩中とはいえ、いつかは仲直りするだろう。そうなれば、彼女を優先する可能性がある。


「うーん、まぁ、誘うだけ誘おうよ。来れなかったら二人で行けばいいし」


「そうだな」


 今や同じ学校の同じ学年のほとんど生徒には、颯太と綾菜が付き合っていることが知られている。なので、たとえ泰斗がいなくとも違和感は生まれない。


「でも、大丈夫なのか?」


「なにが?」


「夏休みに入ってから、自然消滅した事にするって決めただろ?」


 夏休みに入る事で学校という接点が無くなる事で、二人は別れるという事にしてある。しかし、この予定であれば、逆に仲が深まったように見えるのではないだろうか。


「大丈夫だと思う。その時はその時だよ」


「綾菜がいいなら良いんだが」


 颯太がついた嘘なのであり、綾菜はそれに協力する形なので、颯太は自分の独断では決められない。

 颯太は水の入ったコップを自分の口元に寄せた。


「じゃあ、いっその事本当に付き合ってみる?」


 綾菜は真剣な表情でこちらを見ながらそう囁いた。颯太はその言葉に驚き、飲んでいた水のせいでむせてしまった。

 それを見た綾菜は意地悪な笑顔を浮かべ、


「冗談だよ」


 と笑っていた。

 普段からそういう事はしてこないので少し驚きつつ、むせてしまったのが恥ずかしい。

 誤魔化すように咳払いを何回かした。おかげで喉が痛い。普段から綾菜に冗談を言っているつけが回ってきたのだろうか。

 颯太は無性にやり返したくなったので、


「ま、まぁ、古賀は可愛いし付き合っても良いけどな」


 と返した。

 そうすると、綾菜は顔を赤らめて少し俯いた。その仕草が少しかわいいと思ってしまう。


「冗談だ」


 自分は何をしているのか、分からなくなってしまう颯太。バカバカしいちょっかいの掛け合いだ。

 二人の間には少し沈黙が生まれてしまう。気まずい雰囲気の中、料理を持った大学生の店員がいいタイミングで近づいてくる。


「お待たせしました。ミートソースのスパゲッティとクリームリゾットになります」


 料理が机の上に置かれる。偶然にも紅白に分かれているのが面白い。


「美味しそうだね」


「そうだな」


 運んでいる時には、なんとも思わなかった料理を見てみると、意外にも美味しそうに見えるのが不思議に思える。


「じゃあ、いただきます」


「いただきます」


 颯太が器用にフォークにスパゲッティを巻きつけていると、綾菜はスプーンでリゾットを口に運んでいた。どうであろうかと、綾菜を見つめる。


「んー、美味しいね、これ」


「そうか、良かった」


 颯太は胸を撫で下ろした。バイトで入っているとはいえ、店員がオススメした料理が口に合わなかったら、申し訳なく思ってしまう。

 颯太も巻きつけたスパゲッティを口に運んだ。流石ファミレスと言ったところだろう、普通に美味しい。

 颯太が前作ったスパゲッティより遥かに美味しい。もっとも、自分で作ったので自分で評価を落としているだけかもしれないが。


「そっちのはどう?」


「普通に美味しいな」


「ねぇ、一口ずつ交換しようよ」


「ああ、良いぞ」


 二人は自身が食べていた料理を皿ごと交換し一口ずつ食べる。


「本当だ美味しいね」


「これもいけるな」


 クリームリゾットなど颯太には作る腕がない。できたとしても、ここまでの味は再現できないだろう。

 一口食べ終わったところで、料理を元の場所へ戻す。


「そういえば、この後はどうする?」


「どうするって、僕の家に行くんじゃないのか?」


「それだと、ちょっと早すぎるでしょ?」


「まぁ、確かにな」


 颯太の家に行ったところで、家でやれる事は多くあるかといえばない。


「じゃあ、ちょっと買い物しに行かない?」


「そうだな。ここから近いところって言ったら……駅の前の商店街か少し離れたところに大型ショッピングモールがあるな」


 いつも通学に使う道にある商店街。景観は少し古いがそれが良いと言われている。

 ショッピングモールは約一年前に建てられ、今も土日になると混雑する。


「じゃあ、どっちも行こう!」


「どっちも!?」


「うん!」


 綾菜はとても嬉しそうにしている。

 颯太は明里から、女子の買い物は長いという事を学習しているので、苦笑いで精一杯だった。


「私たち本当に付き合ってるみたいだね」


 と少し抑えめな音量で綾菜が呟く。


「まぁ、外から見ればそうだろうな」


「実際はそんな事ないんだけどね」


 少し微笑みながら綾菜はそう言った。


「さて、ささっと食べて行くか」


「あ、うん」


 そう言って、外から見れば充実している空間は続いていった。

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