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 Side=第三者∥Beginning∥『Reload』



 男は城の廊下を歩いていた。親指を噛みながら、苛立った顔をしている。

「クソッ!クソッ!!あの馬鹿が・・・あんな簡単に正体をバラしやがって・・・失敗に終わったじゃないか!!!」


 男は吐き捨てる。

 苛立ちは見ているだけで解る。


「これでは、私の立場すら危ういじゃないか・・・やっと回ってきたチャンスを・・・あの様な蛆虫に・・・クソッ!!」


 目は充血しており、思った事を全て言葉にしている様な、そんな感じが露わになっている。


 男は懐から青い魔法石を取り出す。

「兎に角・・・兎に角報告だ・・・」


 魔法石を掴む男の手は小刻み震えている。


カツッ――カツッ――


「!?」

 不意にした足音、男は直ぐさま振り返る。


「な・・・・」

 男は後ろから近づいて来る者を見て、驚く。


「・・・何をそんなに驚いているのですか?」

 近づく者は暗闇のせいか顔がハッキリと見えない。


 けれども、苛立つ男は魔法石を耳に当てたまま、止まっていた。


カツッ――カツッ――


 足音は近づく。


 そして、巨大な窓から差す月の光によって顔が見える。

 ゆっくりと、ゆっくりと。スポットライト浴びる様に。


「・・・騎士長・・・」

 男は自分に近づく者の名を呼ぶ。


 騎士長は静かに男を見据えていた。


 男は完全に体の向きを騎士長に向け、両腕を広げながら言う。

「ど、どうしたのですかな?こんな所に?」


「こんな所?・・・それは貴方にも言える事では?」

 騎士長は静かに尋ね返す。


「わ、私は少し部屋に用事がありましてね・・・向かっていた所ですよ」


「・・・では、その魔法石は?」

 騎士長は男の右手を指しながら尋ねる。


「こ、これは・・・」

 男は掌を開かないが、確実に自分の左手で握っている。


 そんな様子を見ながらも、騎士長は尋ね続ける。

「コウリッド伯爵に化けていたあの刺客は・・・通信用の魔法石は一切持ってはいなかった・・・では、どうやって連絡取っていたと思いますか?」


「コウリッド伯爵のへ、部屋にでも隠してあるのでは?」


「それでは、何故彼は毒物なのどと言う、面倒な方法で暗殺を実行しようとしたと思いますか?」


「自ら動かずに国王が死ぬを待っていた・・・のでは?」


「・・・私の憶測なのですが、あの刺客は化けている間、自身の魔法を使えないのではないでしょうか?」


「ど、どうしてその様な考えに?」


「彼の使った魔法は禁忌魔法の一つ・・・一変魔法では?もしくはその一種」


「な、成る程・・・興味深いな」


「もし、そうならば・・・彼は魔法石を使えないですよ」


「な、何故?」


 そこで、騎士長は眉間に皺を寄せる。

「コウリッド伯爵は魔法が使えないですから」


「!?」

 男は驚いた顔をしている。


「知らなかったのですか?・・・あぁ、そう言えば書類上では使えると書いてあったのかもしれませんね。ですが、彼は魔法を使えません」


「だ、だが!私は何度か彼が魔法を使っているのを見た事があるぞ!?」

 男は声を張り上げる。


「あれは補助魔法を受けていたのですよ」


「なっ!?」


「コウリッド伯爵は自信の力不足を憂いでいました。その為、少しでも力を、と」

 騎士長は一層顔を険しくする。


「・・・だ、だが!君の言った一変魔法の考えだって憶測の域を出ない!!もしかしたらあの者が自身で魔法を使ったのかもしれないだろう!?」


「そうですね・・・彼は悪魔の毒を使っていましたし・・何かしらの未知なる力を持っていたのかもしれませんね」

 騎士長は言う。


「そ、そうだ!!悪魔の毒だぞ?普通の者には入手出来ない!!それを持つと言う事は、他にも何か魔法具的な何かを持っていたかもしれないだろ!?」

 男は顔を歪め、声を一層張り上げる。


 だが、その表情も一瞬で凍る。

「・・・何故貴方が、国王が飲まされていた毒が悪魔だと?」


「へ?」

 男の表情が強張る。


「何故、知っていたのですか?」

 騎士長は静かに尋ねる。


「そ、それは・・・こ、国王に聞いたのだ!!」


「国王に?それは可笑しいですね。この事は・・・国王すらも知らない事なのに?」


「なっ!?」


 沈黙。

 男は騎士長を指さし叫ぶ。

「き、貴様だって知っているではないか!?国王が知らない事を何故貴様が知っている!?」


 騎士長は黙ったまま男を見据える。


「ほ、ほらな!!貴様だって怪しいじゃないか!!国王すらも知らない事を知っていた!!それが動かない証拠だろ?」


「・・・『郭公』」

 騎士長は呟く。


「!?」

 男はその言葉に顔を引き攣らせる。


 そして、叫ぶ。

「わ、私は知らないぞ!?何もだ!!私は違う!!」


 その叫び声を聞いて、騎士長は静かに言葉を発する。

「・・・鳥の事ですが?何故貴方が郭公に?」


「へっ!?」


「もしかして・・・誤解しましたか?『郭公』。鳥の『郭公』は自分の卵を他の鳥の巣に産み、代わりに育てさせる。卵から孵った雛は他の卵を巣から追い出したり、餌を独り占めする」


 騎士長は続ける。


「それと、別の『郭公』を連想したのですよね?ノーワン公爵」

 騎士長は男の名を呼ぶ。


「なっ・・・・」

 ノーワン公爵は動揺する。


「『郭公』。貴方が連想したのは・・・『ローデン王国』が他国に忍ばせる者を差す隠語。鳥の『郭公』の様に、他国に自国の者を育てさせる。そして、餌と言う名の情報を喰う」


 言いながら、騎士長は剣を抜く。


「先程、『郭公』と言葉を聞いて「私は違う」と言いましたよね?それは・・・どう言う意味ですか?」

 静かに・・・睨む。


「ヒッ!!」

 ノーワン公爵は腰を抜かし後ろに尻もちをつく。


「・・・終わりだ。『ローデン』の『郭公』。お前の巣は、お前の死に場所だ」


 ゆらり―――。


 月光に反射する刃が、動く。


「・・・慈悲を」

 ノーワン公爵は小さく呟く。


「・・・慈悲など無い」

 騎士長はノーワン公爵の言葉を切り捨て、


 振るう。


ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!


 ――――ゴドンッ!!


 ノーワン公爵の首は、廊下の床に落ちて転がる。


 血は天井に届く程に噴き出し、滴り落ちる。


 その様子を、蔑む様に見る騎士長。


 その後ろから、足音が近づく。

 騎士長は振り返らずに、その者の名を呼ぶ。

「助かりました。フナブさん」


「ふぉっふぉっ!今回は儂に仕事は無いと思ったが・・・まさかこんな所で活躍出来るとはな」

 騎士長の後ろに立つのは、白い髭を蓄えた老人。フナブ・クー。


「いきなり現れた時は驚きました」

 騎士長は苦笑しながら言う。


「我もいきなり主に頼むと言われた時は驚いたわ」

 そう言いながら、フナブ・クーは微笑む。


「・・・それにしても、フナブさんが言った通りに自ら墓穴を掘りましたね」

 騎士長は剣を収めながら言う。


「気が動転しておる者は、知らぬ内に自ら語っているモノじゃよ。動転している時に、ちょこっと有効なワードを入れてやれば、直ぐにボロを出す」

 そう言いながら、フナブ・クーの足が徐々に消えて行く。


 それを見ながら、騎士長は尋ねる。

「サヤ君は城に寄ってくれるでしょうか?」


「ふぉっふぉっ!それは解らぬ。主次第だろうが・・・期待はしない方が良いぞ?」


「全て彼のお陰なのですが?」


「解決はした。なら、お主等が後始末をする番じゃろ?それ程に、この国は第三者の手を借りないと駄目なのか?」

 フナブ・クーは片目を閉じながら尋ねる。


 その問いに、騎士長は苦笑しながら答える。

「いいえ。大丈夫です。後は此方が。・・・では、サヤ君に言伝を願います」


「うむ」


 騎士長は深々とお辞儀する。

「・・・・ありがとう・・・と」


「確と伝えよう」

 そう言い残し、フナブ・クーは消えた。



 Side=第三者∥Out


















 Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』



 どうやら一応片づいた様だ。


 此所でおさらい!


 『中立国』に侵攻していた『ローデン』の軍は4万から102人まで減り、後退。

 『中立国』に居た、刺客は接触したのは3人。その内フォーリが戦闘を行った女以外は死亡。


 『中立国』のノーワンと言うおっさんはどうやら『ローデン』が送った工作員の様な人間だったらしい。


「いつの間にクーさんを?」

 隣で飲み物を飲みながらカロが尋ねてくる。


「戦場で指揮官殺した後に。何か刺客以外のも居そうな気がしてね。クー爺に頼んだ」

 俺はグラスを回しながら答える。


「何か結構あっという間に終わったな!!」

 フォーリが肉をがっつきながら言う。


「神々召喚したしなぁ~」

 俺は怠そうに答える。


「このごはんおいしいね!!」

 リノが口の周りをソースで汚しながら叫ぶ。


「おう!食っとけよ?次いつ食えるか解らないからな!!」

 フォーリが食いながら叫ぶ。


「そうですね。食べておいた方が良いですよ?サヤ。こんな高価な物は今度いつ食べられるか解りませんからね」

 カロがサラダを食べながら言う。


「・・・・何で?」

 俺は思わず呟いた。


 現在。俺等は城の中で、豪華な料理に囲まれています。

 先程から、メイドさんがせっせと料理を運んでいる。


 殆どフォーリの胃袋に収まっているのだが・・・。


 問題は、何故俺等が城内で飯を食っているのか、だ。



 時間は少し巻き戻る。俺等が戦場から帰って来て、オカマバーで休んでいた時に。









「で、国王の身は?」

 俺はソファーに座りながらクー爺・ケルヌ・エルに尋ねる。


「国王は無事だ。なりすましていた刺客は我が噛み切っておいた」

 ケルヌが答える。


「毒・・・もう大丈夫・・・・」

 エルが答える。


「主が思った通り、『ローデン』の工作員がおったが、騎士長が始末したぞ」

 クー爺が答える。


「そっかぁ~。まぁ、これから大変なんだろうけど、一応は解決かなぁ」

 俺は背筋を伸ばしながら言う。


「・・・モート達は?」

 クー爺が辺りを見渡しながら尋ねる。


「ん?帰ったよぉ~。何か不機嫌だったし。何かあったんだろ?」

 モート達は帰って来てもずっと睨み合っていたので、面倒臭そうだったのでお帰りしてもらった。


「ふふ、後で何か言われるかもね」

 俺の横に座っているユースが微笑みながら物騒な事を言う。


「・・・それは嫌だなぁ~。あっ!ユースも有難うな。リノの面倒見てくれて」


「全然大丈夫よ?私子供好きだから」

 ユースが微笑みながら言う。


「・・・クロノスも?」


「・・・・・」


 何故に沈黙?


 すると、クー爺が思い出した様に言う。

「おぉ~そうじゃった!騎士長から主に言伝があるぞ?」


「ん?何て?」

 騎士長から言伝ねぇ~。


「「ありがとう」じゃそうだ」


 ・・・・「ありがとう」ねぇ~。俺みたいな人間にそれは過ぎた言葉だよ。

「・・・そっか。なら良かったわ」

 俺は立ち上がり、欠伸をする。


「俺もう寝るわ。疲れた」

 現在11時。先程までフォーリとリノが馬鹿騒ぎしていたのだが、疲れた皆寝た様だ。


 俺はクー爺達が帰って来るの待っていたから起きてたんだけど、流石に疲れた。


「そうじゃな。もう眠った方が良いぞ」

 クー爺が言う。


「んじゃ、オヤスミ」

 俺はとぼとぼ歩きながら、奥の扉に向かう。


「サヤ君お休み」

 ユースが言う。


「うむ。良い眠りを」

 ケルヌが言う。


「おや・・・すみ」

 エルが言う。


 俺はヒラヒラと手を振りながら、扉を開けた。









 そして、ベッドにダイブして速攻で寝たのは覚えている。

 けれども、起きたら城の中ってどう言う事?


「サヤに言ったら断ると思ったので、寝ている間に運びました」

 俺の横でカロが満面の笑みで言う。


「・・・いやぁ、そうだけれど」

 俺はフォークで肉を突きながら眉を細める。


 ふと、辺りに視線を向ける。

 ・・・皆、ニコニコしている。何かカロ増殖みたない感じだ。


 何?この溢れんばかりの感謝です的な雰囲気。

 ・・・あれ?俺は自分で自分の事悪人って言ってた様な・・・。


「見事に救世主です」

 カロが俺の頭を読んだ様に言う。


「はぁ~・・・結局こうなるの?」

 俺は溜息を吐きながら呟く。


「おい!食わないのかサヤ!!食っとけ!食っとけ!!ほれ、ジンもリノも食ってるぞ?」

 そうフォーリに言われ、2人を見る。


「・・・おい少年。お前俺の弟子なんだから俺が運ばれるのを阻止しろよ?」

 俺は弟子一号を睨みながら言う。


「で、でふが、フォーひさんとカロふぁんが「大丈夫だ」と言ってひたので」

 弟子一号は物を詰め込んで膨れあがった頬で言う。


「・・・お前詰め込み過ぎ。フォーリがフォーひになってるぞ?」

 俺は溜息混じりに言う。


「すいまふぇん。ほんな料理、食べた事がなふて」

 弟子一号は詰め込みながら、そこに更に詰め込み言う。


「たべないともったいないぞ!さや!!」

 リノは身を乗り出しながら料理をがっついている。


「・・・お前はもっと女の子らしく食べろよ」


「ぎょうぎよくたべるのがおんななら、わたしはおんなをすてる!!」

 リノはまた訳の解らない事を叫んでいる。


「お、お前!!そんな事を言うもんじゃねぇーぞ!!」

 フォーリが再度お父さん化。


「ふるふぁい!!」

 リノが料理を詰め込みながら叫ぶ。


「な!お前もっと静かにだなぁ~」

 そう言いながらも、フォーリもがっついている。


「・・・どっちもどっちだろうが」

 俺は溜息を吐く。


「まぁ、少し獣の肉での生活が長かったせいもあるので」

 サヤはニコニコしながら言う。


「・・だが、此所までだと引くわ」

 俺は肉を突っつきながら言う。


「食べないのですか?」


「ん?いや・・・だってよ」

 俺は目の前を見る。


 ・・・国王さんと王妃さんが座ってますね。

 何故、国王と同じ料理を囲んでいるので?


 マジ・・・何なの?


「ハハハッハ!コレはお礼だよ」

 国王が笑いながら言う。


 先程まで俺等を見ながら微笑んでいた。


「お礼って、俺等は別にアンタ等の為に何かした訳じゃねぇーぞ?」

 俺はフォークで国王を指しながら言う。


「ふふふ。ですが現に、私達は救われましたよ?」

 王妃さんが言う。


 ・・・俺この人苦手だ。


「俺等は俺等の名を売る為に行っただけだ。その結果がアンタ等の手助けになったに過ぎない」


「それを救世主と言うのじゃよ?」

 国王が言う。


「救世主って・・・俺等はアンタ等と一切関係無いのだが?都合が良過ぎるぜ?もし俺等が軍勢を潰せずに戻って来たのなら、アンタ等はこの様なもてなしをしたか?しないだろう。結局は結果が無ければアンタ等俺等を殺すぐらいのつもりだっただろ?」

 俺は国王を睨む。


「殺すなど!!」


「でも、歓迎はしないよな」

 俺はそれだけ言って席を立つ。


「どこへ?」

 王妃が尋ねてくる。


 王妃は俺を真っ直ぐに見てくる。


「・・・・お手洗い」

 俺はそれだけ言って部屋を出た。


「はぁ~」

 扉を閉めて、思わず溜息を吐いた。

 ホント、王妃さん苦手だ。普通あそこであんな真っ直ぐに見れるか?


 俺は壁に凭れながら、ずるずるとしゃがむ。

「マジ、こう言う空気は肌に合わない」


 歓迎されるのが嫌いな訳ではない。

 だが、この歓迎は結局は俺等が軍勢を潰したからだ。


 失敗していたなら、救世主どころか余計な事をした者とか言われていただろうさ。

 他の奴等も、掌返した様に笑いやがって。


「はぁ~」

 俺はもう一度溜息を吐く。


「お疲れかい?」


「んぁ?」

 俺は横を見る。すると、騎士長が微笑みながら立っていた。

「お疲れだよ。あんな雰囲気は好まない」


「君を歓迎しているのだよ?」


「俺じゃくて、『軍を退かせた男』だからだろ?俺自身の事はちっとも見てねぇーだろ。救世主と称えればぺこぺこすると思ってるのか?」

 騎士長に言った所でどうにもならないのだが・・・。


「国王も王妃も君を歓迎しているさ。君は国王自身の恩人でもあるのだよ?」


「それは過程でそうなっただけだ」


「それでも、国王も王妃も君を信じていたよ?君ならってね」

 騎士長は微笑みながら言う。


 俺はその顔を見ながら、溜息を吐く。

「国王さんや王妃さんがそうだとしても、他の奴等は違うだろ?いつ寝首を掻きに来るかも解らない所で、飯なんて食えるか」


「だが、私の知る限りでは君は十分城の人間には救世主だよ?」


「・・・結局は無関係な他人だぜ?俺等はこの国に属するつもりは無い。もしかしたら敵になるかもしれない。それでもか?」

 俺は騎士長を見る。


 騎士長は笑みを消して答える。

「近い将来そうなろうとも、今は我々を救った救世主だ。それに変わりは無い」


 ・・・ホント、この国にこんな奴ばっかりか?

 俺は立ち上がりながら言う。

「・・・国王さんにも言っとけ、俺等はお前等の仲間にも家臣にもならないぞってな」


「解っているよ」

 騎士長は微笑む。


「はぁ~・・・静かに飲める所はあるか?」


「案内しよう」

 騎士長は微笑みながら歩き出す。


「お前もつきあえよ?」

 俺は騎士長の後を歩きながら言う。


「解っているさ」



 Side=サヤ∥Out



















 Side=カロナス=ナイハ∥Beginning∥『Reload』



 サヤが出て行った直ぐに、国王が暗い顔をして呟いた。

「・・・余計な事をしてしまったであろうか?」


「余計ではないですよ?」

 私は言う。


「だが、彼は怒って出て行ったではないか?」


「サヤはこう言った事をされて、誤解されるのが嫌なんですよ」


「誤解?」


 私はサラダをつまみながら言う。

「えぇ。我々は何と言われようとも、この国とは無関係です。友好な関係などもそれ程望んでいません。もし、貴方方が自国に我々を取り込もうとか考えていらっしゃるのでしたら、それは無理ですよ」


「考えていないと言ったら嘘になるが・・・」

 国王は益々暗い顔をする。


「結局、我々は売名にこの戦場に踏入ました。そして、我々は勝手に軍を潰した。それをお忘れないで下さい」

 私は国王を見ながら言う。


 すると、王妃が私に尋ねる。

「それは、私達『中立国ガデラン』と一切関係無いと?」


「はい」


「そうですか・・・やはり。お優しいですね」

 王妃は微笑む。


「何故、そう思うのですか?」

 私は微笑んだまま尋ねる。


「だって、他の国々が私達と貴方達との関係を疑うのを考えての事でしょ?それで態々無関係だと言ったのでしょ?」

 王妃は微笑み私に尋ねる。


「・・・それは考え過ぎでは?」


「いえ。現に。先程から貴方達の言っているのは一つですから」


「それは?」

 私が尋ねると、


「まるで私達との繋がりを無かったかの様に・・・無関係だと。私達に貴方達の存在を忘れろと言っている様な感じがしますよ?」


「・・・やはり考え過ぎですよ?」

 私は飲み物を飲みながら言う。


「そうですね。結局は無関係なのですし、これ以上考えても仕方ありません。それに、救世主などは居ませんですしね」

 王妃はまるで確認するかの様に言う。


「えぇ。救世主はいません。勝手に軍に戦いを挑んだ愚か者が居ただけで、貴方達は旅をする商人に旅の疲れを癒す為に食事を振る舞っている。それだけです」

 私は笑みを一瞬消して言う。


「えぇ。そうですね。商人さん達は・・・これから何処に?」


「・・・団長にでも尋ねますかね」

 私は微笑みながら答える。


 ・・・これぐらいで何とかなるとは思わないが、他の国々が動く前に私達が動けば問題は無い。

 今は料理を堪能しますとしますか。


 私は横を見る。

 フォーリが料理をがっついている。

 リノもジンも同じく。


 ・・・子連れの商人などいるのでしょうかね。



 Side=カロナス=ナイハ∥Out









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