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 Side=ラテス∥Beginning∥『Reload=The past』



 いつもと変わらない日の筈だった。


 私が産まれて100年が経ったあの日。

 龍族で100年と言っても子供だ。


 お父様は先代長の長男として産まれ、時期長と言われていた。

 お母様は白龍と言われる能力の高い龍だった。


 私はこの期待される2頭の龍の間に産まれた。


 お父様は気高く、そして強く。

 お母様は慈悲深く、そして優雅だった。


 その日も―――いつも通りの日常の筈だった・・・。








 豪雨。『龍族の谷』では滅多に雨などは降らず、雨が降る日は災いが起こる日と言われていた。


 その日、お父様はある任務で谷には居なかった。

 胸騒ぎはしていた。けれども、それも気のせいだと思っていた。


 けれど―――

「た、大変だ!!!!!」


 お父様の部隊に所属している方が、叫びながら家に入って着た。


「どうしたのです?」

 お母様は台所から顔を出し、尋ねる。


 その頃の私はその時の状況を理解してなく、椅子に座りながらその様子を見ていた。


「・・・来ていただけますか?」

 その方はお母様に尋ねた。いや、お願いではなく強制だったのだろう。


「・・・解りました」

 お母様は私の所に来て、私の頭を撫でて言った。


「直ぐに帰って来ますから、待っていて下さいね?」

 そう言って微笑むお母様。


「うん!私待ってる!!!」

 私は笑顔で頷いた。


 お母様は家に来た方と一緒に、家を出た。








 1時間・・・・2時間・・・・3時間・・・。


 いくら何でも遅すぎる。

 そう思った私は、家を出てお母様を捜した。


「お母様!!!どこぉ!!!お母様!!!」

 豪雨の中、私は必死に叫び捜した。


 けれども、私の声は雷に消され。臭いで捜そうにも雨で消されていた。


 私は子供ながらの直感で、見つけないと独りになると解った。


 私は涙を流しながら捜した。


 すると声が聞こえた。

 雨で微かだが、確実に・・・


「あの女逃げやがったぞ!!」

「捜せ!!まだそんな遠くには逃げていない!!」

「見つけ次第殺せ!!!」

「あの男と同じようにな・・・」


 意味は解らなかった。

 けれども、不安になった。


 捜さないと!捜さないと!!


 私は必死に捜した。


 そして―――見つけた―――


「に・・・逃げな・・さ・・・・い」

 血まみれで倒れるお母様は、私に言った。


 お母様の周りには、数名の龍族の死体が転がっている。


「早く!はや・・・く」

 お母様が声を振り絞り叫ぶ。


 だが、子供の私にそんなのが解る筈がない。

「お母様!お母様!お母様ああああああああああああ!!!!!!!!!」


 泣き叫びながらお母様の所に向かおうとした時、私の前に誰かが立ち塞がる。


 私は必死に叫ぶ。

「どいて!どいて!お母様が!!!お母様が!!!!」


ドスッ!!

 私の首筋に鈍い痛みが走る。


「うっ・・・・」

 私は、そのまま気を失った。









 次の日、私が目覚めたらお母様とお父様は死んだと聞かされた。


 お父様は任務中に裏切り、部隊の皆を殺したと。

 お母様も共犯で、それがバレて追っ手を殺したと。


 絶望した。


 お父様とお母様が殺しをした事にではない。

 独りになる事に―――。


 その日から、私は同族殺しの娘として見られた。


 蔑まれ、憎まれ・・・・押し潰されそうだった。


 そんなある日、成龍の儀式の前日に事が起きた。


 私が家に居る時、数名の龍族がやって来て脅された。


「コレを食べなければ・・・お前はもう此所に居られない」

「食べればお前は今の苦しみから逃れられる」

「お父さんとお母さんと一緒になれるぞ」


 脅された事もあるけど、私はお父様とお母様と一緒にいられると。それだけでその何かを口にした。


 そして、異変が起きた。


「カハッ!!!・・・・ゲホッ!ゲホッ!!な・・・に・・・これ・・・?」


 何かに体を蝕まれる様に・・・何かが私の体の中で暴れた。

 苦しい・・・・。痛い・・・・。悲しい・・・・。


 負の感情が溢れ出る。


 私は、直ぐに気を失った。








 目が覚めた時、私は縛られていた。


「な・・・何・・・これ?」

 上手く喋れない。


 ふと、周りを見る。

 龍族の長を中心とした隊長達が居る。


 動揺。それと同時に何故、私が此所に居るのか理解出来なかった。


「掟を破った者には死罰を与えるべきです!!!」

 誰かが叫んだ。


 死罰?誰に?・・・私?


 解らない。解らない。

 私は今進言した者を見た。


 愕然とした。いや、理解した。


 長に進言した者は、私に何かを食べさせた奴の一人だった。


 私は嵌められた。

 どうして?私が、同族殺しの娘だから?


「ち・・・が・・・・」

 上手く喋れない。


 どうして・・・どうして・・・。


 すると、長は立ち上がり私に言った。

「ラテス!貴様は掟を破り我等同族の屍肉を喰らった!その為、死罰を与える!!!」


 屍肉?屍肉って・・・。


 私は思い出す。

 そして、理解する。


 私が食べたモノは・・・


 誰かが喋る。

「まさか・・・自分の両親の屍肉を食べるとは・・・」


 涙が・・・抑えられない。


「アァアアァァァァァアアアアアァァァアアアアアアアア!!!!!!!!!」

 泣き叫んだ。






 その後、死刑台に連れて行かれる前に、逃げ出した・・・・。







「これが、私が知っている事よ」

 私は苦笑しながらカロに言った。


 カロは黙ったまま、私を見ている。


 哀れに思っているのだろうか。

 だが、そんなモノは要らない。


 そんなモノは、私の助けにならないから。


 もう・・・良いのだ。

 後は死ぬだけ。簡単で分かり易い。


 そう・・・簡単なんだ・・・でも・・・何でだろうか、涙が溢れる。


 私は俯いた。

「ひっぐ・・・・・・」


 私は強欲だ。


 この状況でも、死にたくないと思っている。

 お父様もお母様も居ないのに、私独りなのに生きたいと思っている。


 どんな形であれ、私は一緒に居られると言う欲に溺れ、自ら屍肉を喰らった。

 それなのに・・・・生きたいと思っている。


 もう・・・解らないよ・・・。



 Side=ラテス∥Out



















 Side=サヤ∥Beginning∥『Reload』



 大体の話は聞いた。


 反吐が出る。

 何だこの茶番は?


 知らぬ内に拳を強く握る。


 俺は長を睨み付ける。そして尋ねる。


「それで・・・何故なんの調べもせずに死罰を与える事になった?」

 俺は、殺意を必死に押さえながら尋ねる。


「調べるもなにも、現にあの子の皮膚には喰らったと言う証拠が出ている。調べる必要など無いだろ?」


 コイツは本気で言っているのか?


「アンタ、それ本気で言っているのか?本気彼女が自ら進んで屍肉を喰らうと思ったのか?」


「だが、どんな形であれ、喰らったの周知の事実!!それを私の考えでどうこうなると―――」

「守れない長なんて不要だろ?」


 俺は、完全にキレていた。

 殺気が溢れ出す。


 俺は長を睨み付けたまま、続ける。

「アンタの話を聞いても、ラテスの親父とお袋が同族を殺した証拠も曖昧。全てが曖昧だ。アンタは、飾りなのか?これだからお偉いさんは嫌いなんだ!!どうでも良い事には権力振るうくせに、重要な事になると蔑ろにする!!!アンタは何の為に何を視ていた?縛り付けるだけの掟なんて何の意味がある!!!!その掟がアンタ等に何を与えた!!!何を視せた!!!お前は何の為に長をやっている!!!最強と言う陳腐なモノの為か!?エゴの塊のプライドの為か!?お前の一言でテメェーの同族の命が簡単に消えるんだよ!!!」


 思わず感情に任せて叫んでしまった。

 今更クールキャラなんて言えないから、良いんだが。


「だが、示しをつけんと他の者が着いてこない!それに、お前の言っている事に証拠もない!!!」


「そうか・・・まぁ、良いだろう。後悔するのはアンタだからな」


 俺は殺気を放出したまま、辺りを見渡す。


 殺気に当てられ、気絶する者が居るが、大抵の奴はこっちを睨み返している。

 まぁ、これぐらいで全滅したら最強の名を捨てて欲しいが・・・。


 ・・・・ん~俺じゃ、無理だな。


「おい。カロとラテスは何処だ?」

 俺は長に尋ねた。


 長は立ち上がり、指を差しながら言う。

「向こうだ。案内しよう」


 長は俺の前を歩き、カロ達の所に向かう。


 カロの事だからラテスに聞いているだろうし。

 長の話とラテスの話に噛み合わない所があれば、それで大体は解る。


 まぁ、俺の予想ではラテスの親父さん所に所属していた部隊の生き残りなんだが・・・。

 それにしても、龍族ってのは只の戦闘狂集団なのか?


 長自体が頭を使うのが苦手そうだしな。

 いや、この様な考えが普通なのか?


 異端・異形がいれば問答無用で殺す。

 これがこの世界の在り方なのか?


 いや、龍族の様な種族のケースが珍しいのか。

 決まった数しかいない種族ってのは、気付かない内に仲間意識が強くなる。


 そん中に・・・腐った果実の様な考えを持った奴が居るのにも気付かずに、知らぬ内に罪を犯す。

 仲間の為、掟の為・・・自分達の考えを放棄した者に、誰かを裁く権利なんて無いんだよ。


 ん?アレは・・・おぉ~枷なんて嵌められちゃってさ。


「カロぉ~!!ラテスぅ~!!」

 俺は手を振りながら駆け出す。


「勝負は・・・勝った様ですね」

 カロが俺を見て訪ねてきた。


「少し遊び過ぎた。中々強かった。けれどもオツムの方は残念だよ」

 そう言って俺はカロの枷を簡単に壊す。


 壊れた枷を見ながら、カロが呟く。

「・・・・対魔法使いの枷を簡単に・・・貴方は本当に化け物ですね」


 おいおい、褒めるなよ。


 俺とカロは普通に会話しながらもテレパシー的ななにかで会話する。


「いやぁ~俺ってやっぱり最強だからね!!!」

『ラテスの話を聞いての感想は?』


「最強よりもやっぱり化け物の方が合っていますよ?」

『どうやら脅されて屍肉を食べたようですね。そちらは長から何か聞きましたか?』


「おいおい、俺をそんなに化け物にしたいのか?」

『長の話で考えると、親父さんの部隊の生き残りが怪しいと思うんだが、どうだ?』


「100人中100人が貴方を化け物と言いますよ」

『そちらの話の内容は良く解りませんが、多分サヤの考え通りだと思いますよ』


「俺そこまで人間の枠ぶっ壊しているの?」

『問題は長にどうやって信じさせるかだな・・・力技を使うか・・・』


「えぇ、ぶっ壊しています」

『力技?』


「外見は人なんだけどなぁ~」

『まず俺がラテスの記憶覗いて、それを直接長に流し込む』


「中身が人間じゃないですからね」

『それだと、サヤの精神的負担が大きいのでは?』


「何かもう・・・化け物で良いような気がするよ」

『大丈夫だろ?まぁ、俺に任せろ。後の事は後々』


「やっと認めてくれましたか」

『無理はしないで下さいね』


 俺とカロが会話を終えた途端、ラテスが俺に尋ねた。

「アンタ・・・まさか長に勝ったの?」


 俺はラテスの側に行き、足枷を壊しながら答える。

「勝ったよ。言ったべ?俺は化け物だって」


「本当に?」

 何故か疑うラテス。


 まぁ、仕方ないんだろうけど少し傷付く。

 俺はラテスの頭を撫でながら答える。そして、それと同時にラテスのあの日の記憶を読む。


「あぁ、俺に不可能はねぇー!!!」


 ぐっ・・・思った以上にキツイな・・・それにしても、最悪な記憶だ。


 もう何百年も経っているのに、記憶は薄れる事もなく鮮明だ。

 それ程に、ラテスにとっては強烈でショックな記憶。


 心に傷を付けた・・・出来事。


 すると、ラテスは俺を見て尋ねる。

「何か・・・した?」


 直感って言うのか?

 俺が何かした事に気付くなんて、中々だな。


 俺は首を傾げる。

「ん?」

 態と惚けた振りをする。


「いや・・・何でもないわ」

 気のせいだと思ってくれたらしい。


 さてと、俺は長の腕を引っ張り、ラテスから離れる。


「なっ!何だ?」

 長が俺に尋ねる。


 俺は何も言わずに長にアイアンクローを喰らわす。

「ぐがっ!何だ一体!!!!????」


「まずは視な」

 そう言って、俺はラテスの記憶・・・あの日の出来事を長に流し込んだ。


 ふぅ~。後は長の出方だな。まぁ、あの記憶を視たら少なくとも今までが間違えだったって気付くだろうさ。


 俺は長にアイアンクローを喰らわせたまま、カロとラテスの方を見る。


 ラテスは何か慌てているが、カロはニコニコしている。

 多分俺が長にアイアンクローを喰らわせているからだと思うが。


 まだ、龍族に対しての思いがあるのか・・・。

 強いな、ラテスは。


 もし俺がラテスの立場だったら、間違いなく皆殺しにしているだろうさ。

 同じ苦しみをってな。


 多分、この長も全てが悪い訳じゃない。

 いや、逆に長は良くやっているのかもしれないな。


 最強種って事は、序列も多分全て個人の強さで決まる。

 仲間を蹴落とし、自分の存在をアピールする。


 強さこそが全てって言うのも、考えもんだな。


 ・・・・ん?

 違和感。長の頭の中に何か・・・・呪い?封印?なんだこれ・・・。

 長の思考に何かが掛かっている。


「おぉ~いカロぉ~!!!」

 こう言うのは苦手の為、カロに尋ねる事に。


「何ですかぁ~!!」


「長の頭の中って言うか、思考に何か仕掛けられてる!!」


「・・・どんなのですか!?長とリンクしている今の貴方なら解ると思うのですが!!」


 どんなの?・・・これは・・・えぇーと・・・。

「ん~・・・どす黒い陰湿なやつ!!!」


「直ぐに解除して下さい!!!多分それは洗脳系の魔法です!!」


 何!?そうと解れば・・・

「フンバラァ!!!!」


 声だけ聞いたら力技の様だよね。

 あっ、長の耳から黒い液体が流れ出ている。気持ち悪い。


「これは・・・」

 いつの間にか側にいるカロ。


「おぉ!!!お前は瞬間移動が出来るのか?」


「貴方も出来るでしょ?」


 いや、流石に俺でも瞬間移動は・・・・。


「それよりも、これの事なのですが、思考を鈍らせる魔法です。ラテスちゃんの話を聞いて可笑しいと思ったのですが、やはりですか」

 そう言って、勝手に納得するカロ。


「おい。俺にも教えろよ!お前だけで納得するな!!」


 そう俺が言うと、カロは微笑みながら説明する。

「ラテスちゃんの話だと、長は頭の切れるどっちかと言うと頭脳派だったようです。ですが、あの日・・・つまりはラテスちゃんのお母さんとお父さんが死んだ日を境にキャラが変わった様です」


「キャラって・・・」


 だが、これで納得。どうやら、腐った果実が長に仕掛けたのか。それで長は十分に調べもしないで死罰なんて与えたのか。


 少し長に言い過ぎたかも。まぁ、何とかなるか。


「んはっ!!!!」

 おっ、どうやら戻って来たらしいな。


「・・・・アレは・・・あの子の記憶だったのですか?」

 長が俺に尋ねる。


「あぁ。どうだ?」


「・・・今凄く頭が冴えているんです。それに、あんな記憶視て、あの子に死罰を与えるなんて出来ませんよ」


 何か口調も変わっている?まぁ、良いけど。


「説明してやる。で、どっか人気の無い所とかあるか?此所だと誰かに聞かれる可能性もあるから」


「なら、私の家に。そこなら」


 よし。んじゃー作戦会議と行きますか。


「カロ。ラテス呼んで」


「解りました」

 そう言って、ラテスの所に駆け出すカロ。


「あの・・」

 すると、長が俺に何か言いたそうな顔をしている。


 感謝とか?いやぁ~そんなの要らないけど、貰えるなら。

「何だ?」


 ニヤニヤしながら尋ねる。


「・・・手、離してくれませんか?」


 ・・・・アイアンクロー喰らわせたままだった。


「・・・ふぅん!!!」


「イタタタタタタタタタタタタ!!!!!!」


 何となく力を入れた。



 Side=サヤ∥Out












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