表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界駄菓子屋奮闘記 ~駄洒落スキルとセクシーハプニングを添えて~  作者: もりも理幽
第三章:王都決戦! 駄洒落よ、奇跡を起こせ
PR
20/30

秘法の扉、スキルの鍵

 王都でのゲリラ駄菓子販売は、様々な妨害に遭いながらも、少しずつ人々の間に浸透し始めていた。だが、俺たちの本当の目的は、駄菓子を広めることだけではない。ローゼンベルク家に隠された「失われた食の秘法」の謎、そして俺の【駄洒落召喚】スキルの秘密を解き明かし、黒幕たちの陰謀を阻止することだ。


 シルフィの調査によれば、王都のローゼンベルク家別邸の地下深くに、外部には存在を知られていない秘密の書庫があるという。そこには、彼女が以前見つけた古文書よりも、さらに核心に迫る情報が眠っている可能性が高い。父君の厳重な監視を掻い潜り、再び邸に潜入するのは危険極まりないが、真実を知るためには避けては通れない道だった。


 俺たちは、アンナさんの詳細な邸内図と、アル君が開発した「一時的に監視魔術の目を眩ませる錬金術薬」、そしてドワーフたちが作ってくれた特殊な解錠道具(音響解錠術とは別の物理的なやつだ)を駆使し、深夜、秘密の書庫への潜入作戦を決行した。シルフィはもちろん、戦闘は苦手だが隠密行動は得意(?)な俺、護衛兼案内のアンナさん、そして錬金術サポートのアル君というメンバーだ。


 邸内の警備は予想以上に厳重だった。巡回する衛兵、張り巡らされた魔法的な罠…。何度か見つかりそうになるピンチがあったが、アンナさんの冷静な判断と機転、アル君の錬金術、そして俺の…いや、俺のスキルは幸い(?)なことに、今回は発動しなかった。下手に駄洒落を言って、警報でも鳴らされたら目も当てられないからな!


 息を潜め、壁の隠し通路を通り抜け、俺たちはついに目的の秘密の書庫へとたどり着いた。そこは、以前シルフィが話してくれた通り、単なる書庫というよりは、古代の研究施設のような異様な雰囲気を漂わせていた。壁一面の本棚には、古びた羊皮紙や石板がぎっしりと並び、中央にはクリスタルのようなものが埋め込まれた奇妙な石のテーブル、そして隅には、正体不明の液体が満たされたガラス管や、分解された機械のようなものが置かれている。


「ここが…我が家に代々伝わる…いえ、封印されてきたものの中心…」

 シルフィは息をのみ、決意を秘めた目で室内を見渡す。


 俺たちは手分けして、書庫の中の記録を調べ始めた。ほとんどが古代文字や暗号で書かれており、解読は困難を極めたが、シルフィエットが持つ家の知識と、アル君の錬金術的な分析知識、そして俺が駄洒落ノートで培った(?)妙なパターン認識能力を組み合わせることで、少しずつ内容を解き明かしていく。


 そして、書庫の中央にあった石板に刻まれた記録から、俺たちは衝撃的な真実を知ることになった。

「やはり…『失われた食の秘法』とは、単なる食料技術ではありませんでしたわ…」

 シルフィが、震える声で解読結果を語る。

「これは、古代文明が開発した、マナを用いて生命エネルギーそのものを抽出し、操作し、保存し、さらには…創造することすら可能にするという、禁断の技術体系…。不老不死や超常的な力の獲得も目的としていたようです」


 生命エネルギーの操作…創造…。まるでSFの世界だ。

「記録によれば、この技術はあまりにも強力で危険すぎたため、古代文明自身の手によって、その核心部分は封印された、とあります。しかし、その力に魅入られた者たちが、歴史の裏で復活を試みてきた…ローゼンベルク家は、その知識を守り、封印し続ける使命を負っていたはずなのに…父上は…」

 シルフィは唇を噛み締める。彼女の父親は、守るべき知識を悪用しようとしていたのだ。


 さらに、俺のスキルに関する記述も見つかった。

「これ…見てください、蜜夫さん!」アル君が、別の石板を指差す。「古代の記述に、『異界より招かれし魂は、内に秘めたる言葉の力…“言霊”の響きをもって、世界の理に干渉し、奇跡、あるいは災厄を呼び起こす』とあります! まさに、蜜夫さんのスキルのことでは!?」


 言霊の力…。やはり、俺の駄洒落は、その力の不完全な発現形態だったのか?

「そして、ここには『その力は、魂の器の感情と意志の強さに呼応し、純粋なる生命エネルギーの雫…“原初の雫”と交わることで、真の覚醒を遂げる』とも…」


 原初の雫…それは、女神が駄菓子に仕込んだという「レシピの断片」のことか? 俺の感情や意志、そして駄菓子が、この古代の力と深く結びついている…? そして、俺がこの世界に召喚されたのも、やはり、この力を利用するため…?


「全ては、父上と…そして、おそらくグスタフ卿の計画通りだったのかもしれませんわね…」シルフィが悔しそうに呟く。


 俺たちが真実に近づき、愕然としていると、書庫の空気が変わった。入り口の方から、複数の足音が聞こえてくる! まずい、見つかったのか!?


 いや、違う! 書庫の壁の一部が、音もなく開き、そこから現れたのは…ローゼンベルク侯爵と、グスタフ卿! 彼らは、俺たちがここに来ることを予測していたのだ!

「やはり来たか、シルフィエット。そして、異邦人よ」侯爵が冷たい目を向ける。

「ご苦労だったね、蜜夫君。君のおかげで、我々も確信を得ることができたよ。君の力と、君が持ち込んだ『触媒』…そして、この場所に眠る知識こそが、我々が新時代を築くための鍵となるのだ」グスタフ卿が、いつもの柔和な笑顔で、しかし目は笑わずに言った。


 罠だったのか! 俺たちは完全に包囲されていた。屈強な兵士たちが、俺たちの退路を塞いでいる。

「さあ、大人しく投降したまえ。抵抗は無意味だ」侯爵が手を差し出す。


 絶体絶命のピンチ! 緊張で心臓が張り裂けそうだ! スキルが暴発する…! いや、待てよ? スキルが「言霊の力」なら、俺の「意志」が重要なんだ。駄洒落じゃなく、俺の本当の気持ちを、言葉に乗せれば…!


 俺は、震える足を叱咤し、侯爵とグスタフ卿を睨みつけた!

「誰が、あんたたちの思い通りになるか! 俺たちは、未来を諦めない!」

 叫んだ瞬間、俺の体から、温かい光が溢れ出すのを感じた!


 だが、同時に! 極度の緊張と恐怖は、やはり俺の口から、余計な言葉も引きずり出した!

「そうだ! あんたたちの計画けいかくなんて、全部お見通しだ! まるで、景品けいひん付きのお菓子みたいにな!」

 なんで駄菓子に例えるんだ俺は! しかも景品って!


 脳内判定『判定:意志強固! だが例えが微妙! 言霊励起中に駄洒落混入! システム不安定!』

 不安定!? どうなるんだ!?


 光は一瞬強く輝いたが、すぐに収まってしまった。代わりに起こったのは…ポトッ。

 俺のポケットから、なぜか『おまけシール付きチョコ』の、まだ開けていないパッケージが一つ、ひとりでに転がり落ちたのだ。


「「「…………は?」」」


 俺も、シルフィも、アル君も、アンナさんも、そして侯爵もグスタフ卿も、兵士たちも、全員が、床に落ちた一つのチョコレート菓子に注目して、固まってしまった。

 …なんだこの、締まらないにも程がある状況は! これが「不安定」の結果か!?


 しかし、その一瞬の静寂と油断が、俺たちに隙を与えた!

「今ですわ!」アンナさんが叫び、懐から煙玉を投げつける!

「アル君、閃光弾を!」シルフィが指示を出す!

 ボムッ! パァン!

 煙と閃光が書庫を満たし、敵の視界を奪う!

「逃げるぞ!」

 俺たちは、その隙に書庫から脱出し、再び邸内の迷路のような通路へと駆け出した!


 追手が迫る中、俺は確信していた。俺のスキルは、まだ完全じゃない。でも、使い方次第では、本当に何かを変える力があるのかもしれない。そして、その鍵は、俺自身の意志と、仲間たちとの絆、そして…やっぱり、駄菓子にあるんだ、と!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ