↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
64/65

本物の見合い相手に

「デリク様?」

 カロリーナの魅惑にしてやられた数日後、デリクから誘われた。


「お茶に行く約束だったでしょう?」

 と言われたが、あの話、私の偽の見合い相手というのはまだ続いているのかしら。

 そうじゃないにしても、美味しいケーキを食べに行く誘いを断る気はないけどね。


「あの、気持ち悪くはないですか?」

 連れてこられたカフェの外、テラス席に座った。

「ええ、1メートルの距離はありますが、そのスプレーがいい仕事をしているようです」

 偽の見合い相手として頑張ってくれていてありがたいが、やはり近づくことが難しい。


 そんな時、シャンダのとこに寄るとあるスプレーを渡してくれた。

「あれ? どこかお出かけですか? つか、貴族の奥様?」

 服がいつもと違い、きれいで落ち着いたドレス姿は何だかどこかの奥様のようだ。

「こんな服はこっぱずかしいんだけどねえ」

 と言いつつも良く似合っている。

「まあ貴族に変装する勉強になりますしね」

 なんてほほほと笑っている。


「魔法省に行ってたんだよ」

「魔法省? 何で?」

「ほら、あのお嬢さん、王太子妃なんだってね。あの子から誘われてね」

 という。どうやら、シャンダの薬の知識を研究に残すためらしい。

 禁止するばかりではいみがありませんしね、薬は悪いことにもなりますがいいことになることもあるんです。そのための研究ですのよ。

 ってことらしい。


 で、これも研究のひとつってことらしいが、嫌われ薬にいいハーブやら鉱石やらを液体状のスプレーにしてくれたのだ。

「あまり強い効果はないけどね」

 と言われたが、多少でも効果があるのはありがたい。

 まるで消臭スプレーかフレグランスのようだ。


「デリク様」

「はい」

 目の前には丸いテーブル。

 私たちはその一番端に離れて座っている。

「長い間お見合い相手をしていただいてありがとうございました」

 私は頭を下げてお礼を言った。


「カロリーナ様に誘われて魔法省の研究に参加することになりました。癒し魔法のことをもっと調べて本として残すんだそうです」

「カロリーナから聞いています」

 デリクは微笑むと、

「エマ様の魔法は素晴らしいから残すべきだと自分も思いますよ」

「いえ」

 焦った私は手を横にぶんぶんと振る。


「それで魔法省にお勤めといことですか」

「うーん、お勤めと言っても客員というか、毎日でなくてもいいみたいで」

 カロリーナには、毎日出てきてもらってもいいんですよ、と言われたが、やりたいこともあるし、何とか一週間に数日ということにしてもらった。


「デリク様は騎士団にそのままお入りになるんでしょう?」

「ええ、王室付きの騎士団です。今は一応平和ですからね、ありがたいことです」

 デリクは飲んでいた紅茶のカップをテーブルに置いた。

「それで」

「はい?」


「エマ様お見合い相手はもう首と言うことですか?」

「え? あ、まあその、なんというか」

 このままではいけないわよね、と思っていたのだ。

「私の仕事も決まりましたし、このまま続けるのもデリク様には弊害にしかなりませんでしょう?」

「そうですか?」

「だって」

 騎士団では既に重要な地位にいるデリク。結婚話も多数きているはず。私なんかとのお見合い話で流れては大変だ。


「エマ様、このままでは駄目ですか」

「え? えーっと」

 まさかそんな返しが来るとは思っていなかった。

 どういうこと?


「このまま、ですか?」

「はい、このままお見合い相手にしてもらえませんか」

 ん? どういうこと? あ、もしかいして。

「もしかして、嫌なお相手に迫られているとかですか? それなら」

 デリクは「違います」とにゅっと手を突き出したが、なぜかくすくすと笑いだした。


「まいったな」

 少し上を向いたデリクは、ごほんと咳払いすると、

「エマ様の本当の見合い相手になりたいんです」

「本当の?」

「はい」

「えーっと、今までは偽物の相手だったわけで」


 えーっ

 思わず立ち上がって頬をおさえた。顔から火が出そうなんだもの。


「エマ様?」

「あの、それはその」

「構いませんか?」

「えっと、か、構いません」

 ふうぅと息を吐きだしたデリクは「よかった」と飛び切りの笑顔を見せてくる。

 ますます顔が赤くなって熱くなって倒れそうだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。