episode.14
白雪はアークの呼び出しが無くとも不定期的にアークの部屋を訪れるようになった。
カリカリと机仕事に勤しむアークを眺めているのも悪くない。
「やはり素敵ですね」
「何がだ」
「その美しいご尊顔といい、逞しい体といい、それでいて細くて繊細な指先、あと…」
「分かった、もうやめてくれ」
「ええ?まだまだたくさんあるのに」
ニコニコと微笑む白雪を前に、アークはパタリと筆を置いた。
「あまり見るな」
「それは無理なお願いです。いいじゃありませんか、減るものでもありませんし」
「だめだ」
「なぜです?」
「………お前に見られていると、気が昂る」
白雪は一瞬キョトンとして、すぐに「あぁ」とニヤけながら自身のスカートの裾を手繰り太もものガーターベルトを覗かせる。
アークは今日中に終わらせなければならない仕事が机に山積みになっている。
白雪と遊んでいる余裕は無いと見込んで仕掛けているのだ。アークは実に優秀で分別のある男だ。
この状況で白雪を、自分の欲を優先させるとは、思えな…………
「え?」
「何を驚いてる。お前が誘っただろ」
アークは執務椅子から立ち上がると、ソファに腰掛けている白雪の隣に移動してきた。
「お仕事が残っていますよ」
「どうせ集中出来ないからいい」
「お邪魔でしたら退きますよ」
「逃げるな」
ガッチリ腕を掴まれては逃げるにも逃げられない。
「では逃げませんので先にお仕事を」
「お前、どこの悪魔だ」
「何を仰いますか、私は人間ですよ」
白雪がニッコリ微笑むと、アークは掴んでいた白雪の右手を自身に寄せ口付けをおとす。
続けておでこと唇にも短く同じようにして、盛大なため息と共に立ち上がると、机に戻った。
やはりアークは根が真面目だ。
「覚悟してろよ」
「そう言いつつアーク様はいつも優しいですから」
「……………チッ」
「舌打ちもよく似合いますね」
やはりアークは白雪のペースに呑まれる。この場の主導権は完全に白雪に渡ってしまった。
アークが白雪に完全勝利できるのは
ベットの上だけ………?
なーんて。
【拝啓王子様、あなたのキスは不要です】
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
短めのストーリーですが、これからも白雪とアークが幸せである事を願って、これにて完結とさせて戴きます!
あと、いつかアルマも心を入れ替えてくれる事も願っています(笑)
次作案は全く浮かんでおりませんが(汗)、また新作を投稿した際には是非また目を通して頂けると嬉しいです!




