解散の危機
「僕にじいちゃんを狩れって言うんですか!」
そんなこと出来るわけ無いじゃないか。子供の頃から両親に避けられてた僕を可愛がってくれた人なんだぞ。
この世界に来れたのもじいちゃんのおかげなのに!
「そんなことに手を貸せるわけないでしょ」
じいちゃんは僕が守る。
椅子を蹴って立ち上がり左右の手にコルトガバメントとSIG P226をアポーツしてダニロさん達に突きつけた。
僕の行動に驚いたジンは飛び上がり僕らの頭上で円を描くように飛んでいる。
「俺もそいつはお断りだぜ。仲間のじいさんを狩るような真似したくないからな」
隣に座っていたブロンの言葉を聞いて銃口をダニロさんとマギさんにしぼる。
「僕は本気です」
両手の銃はスライドを引いてあるハンマーも起こしてあり安全装置も外した。
後は引き金を引くだけだ。
「いやはや、こないだの決闘騒ぎの実力は本物だね。銀城にその武器を向けられて恐ろしさを実感出来たよ」
こめかみに汗を流しながらマギさんが驚いたように僕を見つめる。
マギさんは恐ろしいと評価したが油断はしない。彼らの手にはナイフとフォークがある。気を抜いた瞬間それが飛んでくるに違いないのだ。
「落ち着け銀城、トレントってのは木だろ。木は薬にならないだろ」
ダニロさんが口を開いたが引っ掛からないぞ。
「木から作る薬があることぐらい知ってますよ」
「えっ、そうなのか?」
驚いたふりして、大根役者め。
「銀城、薬の原料はトレントの樹液なんだよ」
樹液?まさかじいちゃんを穴だらけにして樹液を搾り取る気か。
「マギ、そりゃないだろ。トレントを切り刻んで樹液を抜き取るのかよ。俺はごめんだね」
ありがとうブロン、お前って本当にいい奴だよな。
「ブロンの言う通り、そんな真似させません」
引き金にかかる指に力が入る。
「待て待て、落ち着いてくれ」
落ち着けるわけないだろ。
「俺たちにしてもトレントは木の精霊だぞ。無体な真似をするわけ無いだろ」
「樹液を取るといっても傷つけるわけじゃないんだ。涎を掬うようなもんで」
はぁ、涎?
「トレントには顔があるよな。その口の中に樹液が溜まるらしくてな、それを汲んでくるだけなんだよ」
ガバメントにセーフティをかけ、SIGはデコッキングレバーを引く。
テレポート。
「なんだ、それならそうと早く言って下さいよ。血の雨が降ると思っちゃいましたよ。ああ怖かった」
ははは、あの2丁には電撃と衝撃の魔玉を交互に詰めてたからなぁ。撃ってたら……惨劇だ。
やべ、今になって全身から冷たい汗が……
「恐ろしかったのは俺らの方だろ、パーティーの身内を狙うなんざどこも御法度だよ」
「新人なんで、本当にすいませんでした!」
二人に頭を深く下げる。
「いいよ銀城、ダニロはわざと誤解を招くような言い方をして銀城を驚かそうとしたんだから。自業自得さ」
なんと、ドッキリですか。
「……すまん」
ダニロさんも頭を下げる。
「心臓に悪いですよ」
ホッとして僕は自分が立ち上がっていたのに気がつき椅子を戻して席に着いた。
僕が座ったのをみてマギさんが話を進める。
「それでだけど私たちの知ってるトレントは銀城の祖父どのだけだ。したがって銀城の案内で祖父どのに会いに行こうと思う」
「その道すがら肉を狩ろうぜ」
初めてダニロさん達と会った時に食べたウサギ美味しかったな。
「次の冒険の英気を養うために改めて乾杯だ!」
「「「乾杯!」」」
「キュー」
驚かせて悪かったねジン、どんどん食べて大きくなれよ。
「シェフ、ジンにリンゴ追加!」
「誰がシェフだ!」
カウンター越しに元気だね、血管切れるよ。
「待ってろよじいちゃん、土産話がてんこ盛りだ!」




