表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/20

見つけた

「え……。」


私は立ち止まった。


周りを見渡す。


だけど。


どこにも見当たらない。


湊も。


陸も。


玲央も。


さっきまで隣にいたはずなのに。


「うそ……。」


人混みはどんどん流れていく。


屋台の明かり。


聞こえる笑い声。


賑やかなはずなのに。


急に一人になったみたいだった。


私はスマホを取り出した。


だけど。


通知はない。


メッセージもない。


『どこ?』


グループに送る。


既読はつかない。


「電波悪いのかな……。」


少しだけ不安になる。


こんなこと。


今までなかった。


小さい頃からずっと一緒だったから。


迷子になったことなんてなかった。


私は歩き出した。


射的の屋台。


金魚すくい。


かき氷。


さっき通った場所を探してみる。


だけど。


見つからない。


「はぁ……。」


ため息が漏れる。


その時だった。


遠くで花火の準備をするアナウンスが聞こえた。


もうそんな時間なんだ。


みんなも探してくれてるかな。


そう思った瞬間。


少しだけ寂しくなった。


気付けば。


私は人の少ない神社の裏へ来ていた。


祭りの音が少し遠い。


夜風が頬を撫でる。


「伊吹!」


突然聞こえた声。


私は勢いよく振り返った。


「湊……!」


そこには。


息を切らした湊が立っていた。


「やっと見つけた。」


額にはうっすら汗が滲んでいる。


本気で探していたのが分かった。


「ごめん。」


「謝るな。」


湊は少しだけ困ったように笑う。


「探したんだから。」


その言葉に。


胸がぎゅっとなる。


嬉しかった。


すごく。


「陸たちも探してる。」


「そっか。」


「でも先に見つけた。」


どこか得意そうな顔。


思わず笑ってしまう。


「なにそれ。」


「事実。」


二人で顔を見合わせる。


そして。


同時に笑った。


その瞬間。


花火の一発目が夜空に上がった。


ドン――。


大きな音が響く。


私たちは同じ空を見上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ