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城から現れる謎の使者?



「まあそうよね、アンにはハルがいるものね」

「べっ、べべべべべ別にハルは私のものだというわけではないしっ」

「慌てすぎじゃない?」

「アンの一途なところは私偉いと思うけど、でもそろそろいいんじゃないとも思うの、私」

「私なんてはっきりやめなさいと言ったのよ。でも聞かないからこの子」

「は、ハルのことはもういいでしょ、皆…」


皆して好き勝手言ってくれる。だけど私がハルの前ではいつもの私でいられないのは確かで、絶対に叶わない恋だというのにもう10年以上片想いをこじらせてしまっているのも事実だ。

だけど、年月だけ見れば長いものでも、実際生きてきた私の中ではあっという間の日々だった。

諦める?まだまだ早いわよ、無理無理。そんな感覚がずっとある。

我ながら一途というより粘着質で困る。


「……あのね、私アンには幸せになってもらいたいの」

「ブレッタ…」

「アンはハルがいいのよね、分かってる。だけど…」

「ううん、ありがとうブレッタ。私が悪いんだわ」

「…この話はもうよしましょうね」


ブレッタは少し悲しげな視線を私に向ける。

彼女は私を心配してくれている、それが分かるだけに胸が痛い。

そしてブレッタは少し表情を引き締めて、どこか恐れを抱いた声色で町での別の出来事を語り始めた。


「それよりね、私お店の方に不思議なことを聞かれたの。お宅の村は大丈夫だった?って」

「?大丈夫って何が?」

「私も意味が分からなかったんだけどね、城からの使者があちこちに現れているんですって。隣町は勿論、小さな田舎町や町ですらない街道にぽつんとある宿屋や酒場にも顔を出しているらしいわ」

「何それ、不思議というより不気味ね」

「どうする?凶悪な殺人鬼が逃げ出してそれを探しているとかだったら」

「やだ、エリーったら怖いことを言わないでよ」

「でもあながち間違いじゃないかも。どうも人を探しているみたいだったって」

「やめてよブレッタ。私が怖がりなの知ってるでしょ〜」

「それってつまり、そのうちこの村にも来るってことよね」

「あ、アンまでぇ」

「こんな小さな村にそんな不審者がいたらすぐ分かるでしょ?怖がらなくて大丈夫よ」

「そうね、でも何かおかしなことはないか、他人が入り込んでいるような形跡はないか、しばらくの間は注意しておきましょう。さ、そろそろ私は仕事に戻らないと」

「もうこんな時間だったのね!気付かなかった」

「ごちそうさま、ブレッタ。エリー、後片付け手伝うわ」

「ううん、アン、それはいいの。それより、はい」

「?」


エリーは小さな包みを私に差し出す。

紙の袋に包まれたそれは仄かに甘い匂いを漂わせていて、今食べたばかりのお菓子に似ていた。

お土産というのならば喜んで受け取るけれど、何故私にだけ渡されたのかが分からない。


 

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