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仲間は多いほうがいい

 レミ達は少し薄暗い森に来ていた。

 クエストによるとこの奥にアンデットがいるらしい。


「もうそろそろねー最初は私が弓で狙撃するから向かってきたところを足止めしてね! レミが足止めしてる間に弓で倒すから!」


 今更ながらこのクエストの報酬が半分なのおかしくないかと思うレミ。

 アンデットの数がわからないためこの作戦だと場合によっては複数のアンデットを同時に相手にしないといけないし弓で倒すにしても時間がかかるため結構長い時間足止めしないといけないのだ。


「やっぱりもう1人ぐらい壁役欲しいですよねーレミさん!」

「そんなこと言われても……あなた以外に私知り合いいないのよね……」


 少し悲しそうな様子のクロネ。

 この2日間ほぼ1人でクエストをやっていたのと元々のコミュニケーション力の低さで他のプレイヤーとほとんど関わったことがないクロネに他の仲間を見つけることなど不可能だろう。


「それにもうここまできたら今更仲間なんて呼べないし」

「全くこれだからボッチは使えませんねー!」

「ボッ……チ……」


 思いっきりトドメを刺されたクロネはへなへなと座り込んでしまう。

 そんなクロネを少し哀れむような目でレミが見たことでクロネは完全に沈黙してしまったようだ。


「あんなボッチより私のが役に立つことを証明してあげますよー! これで少しは私のことを見直して褒め称えてくださいね! レミさん反転させますよー!」


 そういうと魔剣ノイズはその辺に転がっていた魔物の死体に向けて反転を使う。

 すると死体が一瞬で消え失せ代わりにあの鍛冶屋の悪魔、ベルが死体の場所に現れた。


「え……こ、ここはどこですか!?」


 いきなり召喚されびっくりした様子のベル。

 魔剣ノイズはこんな名前をつけた本人(正確にはレミなのだが)に復讐できて満足げな様子だ。


「一体どうやったの? レミの魔剣って確か反転させることしかできないんじゃ?」

「ふふ〜ん! 私をなめないでくださいよー! これくらい朝飯前です!」


 ノイズは自慢げに言うが持ち主であるレミすら今何をしたのかわかっていないようだ。


「仕方ないですねー説明しますよー簡単に言うとスタートとゴールを反転させただけですよー! ベルさんをゴール、さっきの死体をスタートに設定してそれを反転させただけです! なのでさっきの死体は今頃ベルさんのいたところにありますよー!」

「え? し、死体!? な、なんて事するんですか……つ、つまり帰ったら私のスペースにし、死体が……そんなのひどいです……」


 普通にショックを受けた様子のベルの頭を撫でるレミ。

 一方クロネはノイズの説明に満足した様子だ。


「なるほどー反転って便利ね」

「そうですよー! どうですレミさん! これで少しは私に対する態度をですね〜……」

「……」

「あれ? レミさんもしかして怒ってます!? な、なんでですかー! ちゃんと壁役用意したじゃないですかー!」


 そんなことを言う魔剣にそっぽを向くレミ。

 どうやら魔物の死体と入れ替えたことに対して怒っているようだ。


「レミさんそれは〜手頃な奴がそれぐらいしかなかったから仕方なかったんです! 私のせいじゃありませーん!」


 全く悪びれる様子のない魔剣をレミは睨む。

 最初にどんな能力か言えばよかったのにと思うレミ。

 この魔剣はおしゃべりだが肝心なことは言わないと思いつつため息をつく。


「そ、それはレミさんを驚かせようと思って〜……すみません……」

「ううーまた親方に怒られちゃう……」

「……ごめん」


 涙目なベルに対して謝りながらベルを撫でるレミは今度から魔剣に能力の詳細を聞いてから使おうと誓うのだった。




 少しして落ち着いたベルは事情をクロネから聞く。


「わ、私に壁役なんてできないです! あ、アンデットって怖いじゃないですか! な、なんか死体とかが、う、動いてるんですよね!」

「大丈夫よ! 私とレミがついてるからね! それにもちろん報酬もあげるから……お願い!」

「そ、それなら大丈夫かな……わ、わかったのです! わ、私も仕事なくて暇でしたしレミさんがいるなら安心です!」


 ベルの説得を終えレミ達はアンデットの元に向かった。





 森の奥はより一層木々が生い茂り暗くなっている。

 そんな森の奥に複数のアンデットが佇んでいた。


「あ、あれが今回のクエストの、あ、アンデット!」

「あれは……スケルトンね……でも私が戦った奴はあんなオーラ纏ってなかったけど……」


 アンデット達は黒味がかったピンク色のオーラを纏っているようだ。

 微動だにしないスケルトン達に少し近づき武器を構えるレミ達。


「それじゃあ行くわよ! 喰らえー!」


 クロネが放った弓はスケルトンに当たった。

 スケルトンはゆっくりとレミ達の方を向くと敵を認識したのかレミ達向けて走り出す。

 幸い他のスケルトンは特に動きださず弓が当たったスケルトンだけが向かってきたようだ。


「くるわ! レミ! ベル! 頼んだ!」


 クロネはすでに次の弓矢を射る準備を始めながらレミ達に合図する。


「行きますよーレミさん! あんなスケルトンすぐ粉砕して早く帰りましょー!」

「い、行きます!」


 レミとベルがスケルトンを足止めする間クロネが次々と弓を放つ。

 レミ達も隙を見て攻撃をするがレミ達の攻撃もクロネの弓もほとんど効いていないようだ。


「ど、どうなってるですか? ぜ、全然手応えがないです……」

「そうね……多分あのオーラで能力が強化されてるんじゃない?」

「どうやらそうみたいですねー! レミさんこれ無理ですよー! 反転もさっきのベルさん召喚でMP使い切っちゃったからできませんし……」


 謎のオーラを纏ったスケルトンに苦戦する3人。

 もともと戦いに向いていないベルは既に疲れ始めているしレミもこれ以上足止めするのはきつそうだ。


「これどうしよう! 早くしないとスケルトンで全滅しちゃう!」

「レ、レミさん! も、もう私限界ですー!」

「ベルさんファイト〜! ってレミさんももうきつそうですねー……これまずくね?」


 凄まじい強さのスケルトンに苦戦するレミ達。

 このままでは残りのスケルトンを倒す以前に普通に負けると確信するレミ達。

 そんなレミ達の元に突如


「うおおおおお!」

「!?……」


 空から大剣を持った男がスケルトン目掛けて切りかかったのだった。








次回更新は明日!


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