表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/65

組み合わせ

 感情はない。

 うるさい音も眩しくて鬱陶しい光もない。

 暗く深く静けさと平穏だけの世界。

 引きずり出された私が求めるのはあの世界に帰る事、ただそれだけだ。


「このままだと追いつかれちゃうんですけどー! 本当にログアウトはまだできないんですかー!」


「い、今運営さんに問い合わせしてるけど通じなくて……」


 追いかけてくる魔物から逃げながらログアウトの方法を試す四人だが全く効果は出ていない。

 運営への問い合わせも混雑しているのか通じる気配は全くないのが余計に焦りを掻き立てる。


「どうするにゃ? 逃げ続けるのも無理だしいっそ戦ってみるかにゃ?」


「あんな数相手にできないわよ! 大規模な範囲攻撃魔法でも使えればなんとかなりそうだけどそんな魔法使えないでしょ?」


 そもそもこの場には魔法が使える人物がほぼいない。

 ミケ、レミ、ベルは完全な近接型、クロネは弓矢へのエンチャントぐらいしかできないためこの数の魔物を一度に倒す事はできない。


「れ、レミさんの反転でどうにかならないんですか?」


「無理ですよNPが全然足りませんし逃げるのに使うにも1人が限界ですー」


 あと1回反転を使うことができるレミだが現状を打開できるほどの効果は期待できない。

 もしレミに膨大なNPがあれば可能だったかもしれないが今のレミでは不可能だ。


「わ、わざとやられるのはダメですか?」


 プレイヤーがやられた場合は最後に寝た場所にリスポーンするが今回の戦争に再び参加する事はできない。

 今回の場合は王国軍は城壁の内側、魔王軍は魔王城付近の都市にリスポーン地点が固定されている。


「いいとは思いますけどこのイベントを離脱することになりますよー? 報酬減っちゃうし何よりまだ私全然活躍できてませんから嫌ですー!」


「ほ、報酬が減るのは嫌です! いまのは無しでお願いします!」


「まぁ報酬減るのは勘弁よね……」


 元々報酬目当てで参加したプレイヤーにとってここでわざとやられて報酬を減らす事はしたくない。

 かと言ってこの窮地を乗り越える手段があるわけでもない四人は頭を抱えてしまう。


「結局何も思いつかないじゃないですかー! だいたい皆さんレミさんに頼りすぎなんですよー! 反転ってそこまで万能じゃないんですからねー! 悔しいですけど……」


「確かにレミの能力が真っ先に出るあたり頼りすぎかもね……あれ? そういえば私ミケの能力についてあんまり知らないわね……」


「そうかにゃ? そもそもデザイアウェポンの能力の話ってそんなにしたっけにゃ?」


 だいたいの能力については話したことのある四人だが具体的な効果範囲などについては一度も話したことがない。

 基本的に切り札として使われることが多いため自然と話すのを避けていたようだ。


「一度まとめてみた方がいいかもね……もしかしたら組み合わせ次第でなんとかなるかも?」


「やってみる価値はありそうだにゃ!」


 逃げる四人は反撃の糸口を探るのだった。

 互いの能力、持てるものを全てを使った反撃を……


「くっ……強い……」


 レミ達が逃げ回っている頃、トーカはバグった魔物とは違う敵と戦っていた。


「……うるさいものは嫌い、あなたの魔物は特にうるさい」


 吸い込まれるような目をした少女はバグった魔物を次々と召喚しトーカに襲い掛かる。

 トーカも魔物を出して応戦したがレベルが違いすぎるのかすぐにやられてしまいおまけに魔物の死亡で発生した魔力を全部奪われてしまう。


「魔力は美味しいけどうるさいから消えて……」


 魔力の供給が消えてしまえばトーカの実力は格段に落ちる。

 しかしトーカも一人のプレイヤー最後まで逃げようと足掻いていたがフィールドの端に追い詰められてしまった。


「! 分断されてる……」


 どうやら警告と共にフィールドそのものが運営によって隔離されてしまったようだ。

 フィールドを見えない壁に覆われてしまったことで逃げ道がなくなってしまう。


「これで終わり……少しは静かになる」


 どこか安堵したような表情を一瞬浮かべた少女だったがすぐに元の感情のない顔に戻るとトーカ目掛けて魔物を放つ。


「……万事休すか……もう少し頑張りたかったな……」


 トーカを諦めたようにその場に座り込み魔物に襲われるの覚悟を決めた。

 後はすぐさま魔物の攻撃をくらいやられるだけ……のはずだった。


「そんなことさせないわよ! あんたを倒すのは私なんだから!」


 赤い閃光が魔物を切り裂き少女とトーカの間に人影が現れる。


「どう……して?」


「あんた自分の魔法を認識したでしょ? 私の能力は常に最速を更新すること、正直ギリギリだったけどなんとか避けられたのよ! それよりとっとと武器構えなさいよバカ!」


「……わかった!」


「普段からそれぐらい素直ならいいのに……まぁいいわ! いくわよ!」


「……加速と使役……どっちもうるさいからここで消し去る」 


「あなたに追いつけるかしら? いくわよ! トーカ!」


「絶対に勝つ!」


 赤毛の剣士と使役の悪魔の共闘はこんな形で実現するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ