終わりを見る者
「嘘……」
「勝算もなしに降りてくるほどバカじゃない!あなたみたいに何も考えずに生きているわけじゃないから」
最大限の煽りを加えつつトーカは召喚した魔物を盾がわりに攻撃を防ぐ。
地面をえぐるほどの破壊力で切られた魔物は当然倒れるがその魔力は即座にトーカに吸収される。
「厄介な能力ね……魔物なんて使わないで自分の力で戦いなさいよ!」
「……これ一応私の能力なんだけど」
理不尽な物言いをするFに呆れた様子のトーカ。
学校にいる時もなぜか上から目線かつ理不尽な物言いが多いFだったがその性格はゲームでも変わらないようだ。
「屁理屈言わない!まぁいいわ!私の剣であなたの召喚よりも速く切ればいい話だもの!」
「屁理屈でもないと思うんだけど……なんかもうどうでもいいや」
理不尽な剣士はそんな会話をしながらも果敢に攻め続ける。
常に最速を更新する攻撃を難なく防がれ続けストレスが溜まっていくFはだんだん攻撃が雑になっていく。
「なんで当たらないのよ!イライラする!」
「一生当たらない。私達魔族は魔力が増えると身体能力が向上する。常に魔力を消費しちゃうから魔力切れになったら負けるけど私の能力ならそんなことはないからあなたが勝てる可能性はゼロ!」
勝ち誇ったように言うとFの剣を弾き飛ばす。
魔力で強化された身体能力によって弾き飛ばされた剣はかなり遠くの方に飛ばされてしまった。
なんとかしてトーカから距離を取ろうとするが身体能力で完全に圧倒され追い詰められる。
「私の勝ち。」
剣を突きつけられ身動きが取れなくなってしまったFはトーカを睨み付けることしかできない。
「……私の負け?」
「そう。あなたの負け!リアルの話題を出すとか卑怯な真似をしても勝てないものは勝てない。これでトドメ!」
トーカは雷の剣に魔力を集中し威力を高める。
万が一雷に対する耐性が高い装備を着ていた場合を考えて確実に倒せる一撃を撃つつもりのようだ。
「なんでいつも勝てないのよ!結構レベル上げとかしてきたのに……」
「……相性の問題。あなたの能力は強いけど私の能力とは致命的に相性が悪い。レベル上げとかの問題じゃないから……」
トーカは目の前で涙目になってるFを気遣う様子を見せつつチャージの終わった雷の剣を放った。
「……ほんと最悪」
凄まじい光と共にFの姿が消え去る。
しばらく雷の剣は光を放ったあと魔力が尽きて消え失せる。
雷の剣が当たった場所は真っ黒に焦げくらったものは確実にHPがゼロになってしまうほどの威力を誇っていたことがわかる。
「戦闘終了。次の敵を倒しにいく。」
一瞬だけ焦げ跡を見るとトーカは再び空に飛び上がっていった。
戦場を照らした雷を見てすぐにFがやられたのを知ったRは特に気にする様子もなく目の前の敵に魔法を放つも全て悪魔には当たらない。
城壁にいた弓兵達も弓矢で攻撃するが空を飛ぶ悪魔は難なく躱していく。
「おいおいお前のお仲間さんがやられちゃったみたいだな?」
「そうですね、それがどうかしましたか?」
どこまでも冷静にそれでいて少しの焦りもなく真っ直ぐ敵を見つめる。
当たらない攻撃魔法を撃ちながら距離を取り考え事をするR。
目の前の悪魔は以前から度々王国に来ていた悪魔だがこの能力は初めて見る。
名前については何故か調べてもわからないため王国内ではブレイクと呼称しているその悪魔は行動も目的も謎だ。
それはRも同じ目的も行動も不明な彼らの戦いはなにを決めるものなのか。
それを知るのはもう少し後の話。
「わざわざ私を狙う必要を感じないほどの強さ!すばらしいですねー」
「そんなこと言って調子に乗せようとしても意味ないぜ!そこまでバカじゃないからな!」
もう少し能力について調べたいRはブレイクを煽るとブレイクはかなり攻撃的になった。
さっきまでは牽制するような攻撃しかしていなかったがどうやらブレイクは単純に時間を稼いでいただけのようだ。
「これでこっちの勝利は確定したようなもんだ!トーカが次に襲うのはこの城壁のはずだ、さっきの戦闘で蓄えた魔力を使えばこんな城壁は一瞬で崩壊するぜ?そんなトーカを止められそうな奴はお前ぐらいしかいないだろ?でもお前は俺の対処で精一杯、違うか?」
「……」
特になにも答えずRは攻撃魔法を放ち続ける。
ブレイクはつまらなさそうに舌打ちをすると一気にRとの距離を詰めて切り裂こうとする。
ギリギリでブレイクの攻撃を避けるとRは再び攻撃魔法を放った。
「さっきから攻撃してるみたいだがもうわかってるだろ?俺に攻撃は当たらない!お前程度の力じゃ勝てねぇーんだよ!」
上空に舞い上がりそのまま急降下して攻撃を仕掛けてくるブレイク。
目眩しの魔法を撃ちつつRは攻撃をかわし当たらない攻撃を繰り返す。
普段ならこんな行動をとることもなくあっさり負けを認めるそれがR。
しかし彼にとってこの戦いはすでに終わったものだ。
「あー!鬱陶しいな!あたらねぇーって言ってんだろ!」
「ええ当たらないでしょうね。別に当てるつもりなんてありませんし」
Rは圧倒的に不利な立場なのに余裕すらにじみ出るほど不敵な笑みを浮かべていた。




