スペードJ/近未来の航空交通システムを提言
みなさんは漫画『ドラえもん』の『どこでもドア』をご存じでしょうか。
のび太の部屋からドアを開くだけで、世界中のどこでも行きたいところへ行ける装置です。
実はこの『どこでもドア』は、理想的な交通システムと言えます。
ところで理想的な交通システムとは何でしょうか。私は以下の点を指摘します。
・安全性
・ドアツードア性
・オンデマンド性
・乗車時間および手続き時間が短い
・インフラ整備の簡易性
・無人化・省人化のよる低コストの実現
・ランニングコストの低コスト性
・乗物単体製造費の低コスト性
・運行の長距離性
・安全性
安全性が最重要なのは言うまでもありません。ただし安全性の名のもとに、行政が余計な規制を作り、公務員天下り用の独立行政法人とその箱物を作り、税金を高くし、運賃も高くする、ということがあっては意味がありません。市民オンブズマンが行政の無駄を監視し、安全性を備えつつ、低コストで利用できる交通システムを実現するべきでしょう。
・ドアツードア性
ドアツードア性は、ユーザーが自宅から目的地へ、他の場所を経由しないで、どれだけ直接的に行けるかの度合いです。電車に乗るには駅に行かなくてはなりません。ユーザーの最終目的地は一般に駅ではなく、最寄駅の近くにある場所です。駅に行くのは無駄と考えるべきです。この点、自動車の方が電車よりドアツードア性は優れています。『どこでもドア』はドアツードア性から見て究極的な移動システムです。
・オンデマンド性
オンデマンド性はユーザーが、乗車したいときに乗車できる度合いです。電車やバスの場合、駅や停留所を発車する時刻は時刻表で定められています。この点、自家用車、タクシー、ハイヤーは、ユーザーが発車したい時刻に発車できるのでオンデマンド性は優れています。
・乗車時間および手続き時間が短い
日本から欧米に飛行機で行く場合、半日以上の時間がかかります。そこで客室乗務員が食事や飲み物を何回か乗客に運びます。もし飛行機が二十分以内に到着したらどうでしょう。食事サービスは不要になります。食糧のコストと客室乗務員の人件費が浮き、その分、航空運賃を値下げできないでしょうか。『どこでもドア』がもし開発されたら、長距離旅行ほどコスト削減に寄与するでしょう。
飛行機の場合、搭乗するまでにも時間がかかります。この時間もできるだけ削減すべきです。
・インフラ整備の簡易性
電車による運行システムのインフラを建設する場合、多くの土地を犠牲にして線路を引かなくてはなりません。地下鉄やモノレールを除けば、線路を挟んだ向こう側の土地へは容易に行けなくなります。その点、船舶や飛行機は海や空を移動するので線路に相当するものを移動空間に建設する必要はありません。ただし船舶は港が、飛行機は飛行場が必要になります。
飛行場の建設費が膨大であることは周知の通りです。飛行場よりは港の方が安く建設できます。また同じ飛行場や港でも、小型乗物専用の方が安くつきます。小型セスナ機用飛行場の方がジャンボジェット機用のそれよりも、石油タンカー用港よりモーターボート用桟橋の方が安いです。
『どこでもドア』の場合、インフラの建設費は無料です。
・無人化・省人化のよる低コストの実現
ヘリコプターのチャーター機の場合、コストの大半はパイロットの人件費です。コンピュタ制御で無人化すれば、格安のチャーター機も実現可能です。しかもすでに無人ヘリコプターは開発されています。
どの乗物でも乗務員を無人化・省人化すれば人件費が減り、ランニングコストは減ります。
・ランニングコストの低コスト性
さて、前述したように無人化すればランニングコストは減りますが、その他、インフラ設備が巨大であるほどランニングコストは増大します。できるだけ小さい設備を建設すべきでしょう。
・乗物単体製造費の低コスト性
バスとタクシーではバスの方が運賃は安いです。しかしバスとタクシーではバスの方が購入費用は高いです。航空機でもジャンボジェット機より小型ジェット機の方が安いです。そして小さい方がスピードは速いのです。
・運行の長距離性
これは乗物を長距離、短距離ですみ分ければいいわけですが、できるだけ小さい運行システムで長距離カバーできることが理想です。
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さて、上記のことを踏まえ、以下の航空システムを提言します。
・無人クワッドコプター
プロペラが四つあるヘリコプターです。ビルの屋上や公園などがヘリポートになります。ビル自体を別の目的で建設するとしたら、空港建設費が最も削減できるタイプです。
電動で稼働するEV機なので、騒音も排気ガスもありません。最高速度は300km/h弱、最高飛行距離は1000km弱。
ホテル、マンション、公民館、ショッピングセンター、駅ビル、空港ビルなどの屋上にヘリポートを建設しておけば便利です。住宅街、商業地のいずれからも利用できます。
昔、仕事で東京から大阪の会社へ日帰り出張したことがあります。その一週間後、今度は栃木の住宅街にある接骨院に営業で出張しました。
大阪の会社は新大阪駅から地下鉄で二駅か三駅ぐらいのところにありました。駅ビルか駅から歩いてすぐのビルだったか覚えていません。ただ遠距離にも関わらす、日帰り出張がそれほど大変ではありませんでした。
一方、栃木の接骨院ですが、一時間にほとんど一本のローカル線を使ったため、大阪出張と同じくらいの時間がかかりました。
直線距離にすれば、はるかに近いのに、この不便さはどうしたものか、と私は思いました。
クワッドコプターなら東京から二十分以内くらいに最寄駅ビルか公民館の屋上に到着するでしょう
・無人小型飛行艇(超音速ジェット、水陸両用)
遠方や海外へ行くときは、まず自宅の近所のビルから空港までクワッドコプターで飛びます。次に小型飛行艇や後で述べる小型陸上機で目的地近郊の空港まで飛びます。最後に目的地付近のビルまでクワッドコプターで飛びます。こういう使い方はどうでしょうか。
日本は島国です。全国のほとんどの都道府県が海に面しています。一つの都道府県で海岸沿いに港兼用で飛行艇用空港を複数建設すれば、全国どこからでもクワッドコプターで二十分以内に空港に到着できるでしょう。さらに内陸地でも湖や河川に空港は建設できます。
従来型空港のうち、海岸に建設してあれば、飛行艇用にも拡張工事できます。
離島は四方に飛行艇用空港を建設することができます。離島を発展させれば本土も発展します。できるだけ離島内で生活必需物資は自給自足できるようにする一方、大量の物流は船で、人流には飛行艇を使うのはいかがでしょう。ブロードバンドさえ確保できれば、世界中どこに住んでいても情報でハンディはありません。
ロシアにはジェット飛行艇があります。まだ超音速ジェットはないようですが、小型化すれば、1000km/hより速い飛行艇は開発できるのではないでしょうか。また水陸両用の飛行艇もあります。これは従来型空港にも離発着可能です。
飛行艇は主に国内線を想定していますが、アジア近郊などの国際線にも使えます。
・無人小型超音速陸上機
バスより乗用車の方がスピードが出るのと同じ原理で、ジャンボジェット機より、超音速戦闘機の方がスピードが出ます。
一番早い機体でマッハ3くらい。地球の反対側まで約三時間で到着します。
機体の開発費は戦闘機だと高くつきますが、旅客機にすれば、ジャンボジェット機より安くなるのではないでしょうか。
従来型空港が使える他、小型機専用空港も建設してみてはいかがでしょう。特に飛行艇空港のない内陸部の都道府県に、最低一つ作るのです。
建設費は高く、騒音問題などもありますが、従来型空港よりは安く、公害も少ないでしょう。
これは遠距離の国際線専用機です。
超音速旅客機と言えば、フランスのコンコルドを思い出します。ボーイング社のジャンボ機に比べ、事故率が高いせいでコンコルドは生産中止かつ営業中止になったような感じがします。フランスではコンコルドにかわってエアバス社がスピードの遅い豪華旅客機を製造しました。私はこの流れを正反対にしたいと考えます。コンコルドより小型で高速のエアタクシー、エアハイヤーを開発するのです。ただし事故率はジャンボ機より低くしなくてはなりません。
・無人ティルトローター機
スピードや飛行距離はクワッドコプターの二倍です。積載量によっては、短い滑走路が必要とのことで、クワッドコプターのヘリポートより大型のヘリポートが必要かもしれません。
ただ将来的にはクワッドコプターを淘汰する交通システムになるかもしれません。
墜落ばかりしているオスプレイのせいでティルトローター自身に悪印象を持っている人もいるかもしれませんが、国産の安全なテイルトローターを開発するのです。
技術的に進歩すれば安全なティルトローターも可能と考えます。
東京から関東圏内がクワッドコプター、名古屋、新潟、仙台がティルトローター、大阪が新幹線、北海道、九州、沖縄、台湾、朝鮮半島、ロシアがジェット飛行艇、欧米が超音速陸上機、という棲み分けができるかもしれません。
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20xx年
あなたは北越谷の複合ビルマンションに住む商社マン。
大宮にある本社には二週間に一度、出社すればよく、それ以外のウイークデーは、自宅のPCで作業をするか、取引先に直出直帰で出張する。
業務連絡は上司にメール。営業会議はスカイプ。自宅の書斎ですべてこなしている。
朝、六時に起床したあなたは、シャワーを浴びた後、スーツに着替える。鞄の中を確認し、玄関から出ようとすると、背後から妻の声。
「あなた、これ」
おにぎりが入った弁当箱だ。
「朝食は食べなさいよ」
あなたは無言で受け取ると鞄に詰め、外へ出た。時刻は七時十分前。
エレベーターで屋上に上ると、昨日、スマホで予約した無人クワッドコプターはもう着いていた。
あなたは座席に座る。弁当箱からおにぎりを出し、頬張ろうとするともう離陸していた。
台場空港に到着したのは、それから約十分後。ちょうどおにぎりを食べ終えたところだった。
本当は羽田か成田へ行きたかったのだか、予約がいっぱいとのこと。
最終目的地はニューヨークのエンパイアステートビルだが、自宅から最速で到着するルートをサーバーが検索してくれた。
だから多分、間違いないだろう。
台場空港は飛行艇専用の海上空港だ。
無人出国手続き装置はわずか三十秒で通過。手荷物検査を同時に行ったようだ。
あなたは予約してある超音速ジェット飛行艇の無人ハイヤー機をさがし、桟橋から搭乗した。五人まで乗客が載れるタイプだったが、もちろん客はあなた一人だ。機内にはトイレもついている。
ハイヤー機が離陸したのは七時二十分。
ハイヤー機の中で有料映画を見て約三時間過ごす。
日本時間で十時半前ぐらいにJFK国際空港に到着。無人ハイヤー機は水陸両用飛行艇で通常の陸上機向空港ではタイヤを出して着陸する。
無人クワッドコプター乗り場は、無人入国手続き装置を通過するとすぐ見つかった。
大空港だけに乗り場は混んでいた。十分ほど待った後にようやく乗れた。
すると今度は五分も経たないうちにエンパイアステートビルの屋上に到着。
取引先の企業アドバンスト・メディカル・テクノロジーズ社は五十階建エンパイアステートビルの三十階にあった。
あなたは三十四階で降り、喫茶店で時間をつぶす。
日本時間十一時少し前にあなたはアドバンスト・メディカル・テクノロジーズ社の受付嬢に名刺を渡す。
応接室に通され、同社の担当者と商談すること一時間弱。
再びエンパイアステートビルの屋上に上り、クワッドコプターでJFK国際空港に戻ってくる。
タブレットPCで上司に業務報告を済ませると日本時間で十二時を回っていた。
無人ハイヤー機で日本へ帰国。ただ今度は寄り道をしたくなった。
無人ハイヤー機のパネルで行先を変更できる。
妻のおみあげにうなぎパイを買って帰ろうと思いついたのだ。
浜名湖水上空港は日本時間十五時半に到着。空港から無人タクシーで繁華街のデパートまで行き、うなぎパイを買う。
デパートの屋上がティルトローター乗り場になっているとはラッキーだった。
デパートから南越谷駅のヘリポートに着くまで三十分はかからなかった。JR駅のほとんどは必ずティルトローターの発着所を屋上に用意している。
あなたは東武伊勢崎線の無人モノレールに乗る。二駅で北越谷。駅と複合ビルマンションは続いているが、自宅に帰るまで、結構歩かされるのが難点だった。
「おかえりなさい。遅かったわね」
マンションに戻ったあなたはうなぎパイを妻に渡す。時刻は十七時半だった。
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いかがでしょうか。ニューヨークの日帰り出張。これは極端な例でほとんどSFですが、これに近い状況が近い将来可能だと信じます。
(完)




