アクト11
どこのCRDだか分からないが、デカイ電光掲示板に大ニュースが放送された。
「カーム・エキソンが生きていた。」「カームが化学兵器使用罪で逮捕」
そうか。カームは捕まったのか。ファルカが捕まえにでも行ったのかな。ホスハが歩いてきた。
「ファルカはいい仕事をしてくれた。あと少しのCRDを廻れば、作戦は成功。まああなたは無理やりだけ…」
「なあ。もう分かった。もう疲れた。自分で歩くよ。」
「人を助けるのが嫌いなんでしょ。だから縛り付けて人を助けさせてやった。」
「いいや。人を殺したくはないけど、お前らが俺に人を殺させたんだ。」
「もう聞きあきたわ。デメリットの部分だけをいつまで言い続けるの?」
「もう諦めた。もう遅い。同じ結果なら、せめて自分の足で歩きたい。」
もう遅いのだ。パンデミックはどんどん広がっていく。俺はやはり生きているべきではない。人として生きたかったが、もう遅い。誰も認めない。俺は機械同然なのかもしれない。
「そう。ならどうぞ。ファルカが戻ってきたら自分の世界に帰るわ。ファルカもね。」
何を言っている?自分の世界?もうどうでもいい。
「俺には行きたい場所があるんだ。」
「そう。」
背中の磁力がなくなった。久しぶりに立ち上がる。世界がこんなに鮮やかだったとは。
トラックから飛び降りる。勿論奴らに従って残りのCRDを回ろうなんて思ってない。死に場所を探すだけだ。電光掲示板にはカームのニュースばっかやっている。カームの研究は成功したなんてホスハが言っていたが、そんなのウソだ。カームは俺という化学兵器を作り出し、犯罪者として捕まる。俺も捕まるだろう。カームは死刑。俺も死刑。俺は機械だろ。死刑なんてない。そこらへんで壊れていればいい。
警察に捕まりたくはない。実は死ぬ前に行きたい場所があるのだ。そこに行きたい。




