2 檸檬の秘密
ベッドの組み立てが終わって一通り片付いた後、私の叔母、蜜柑さんから晩御飯だと呼ばれた。
「今日は檸檬ちゃんが来たからすき焼きよ!」
「やったぁ!」
私が来ただけなのにすき焼きなんて申し訳ない。
「檸檬ちゃんもいっぱい食べなさい!」
蜜柑さんは笑顔だ。
私を歓迎してくれているのが伝わる。
けど、血を分けた双子の姉を亡くした蜜柑さんは頑張って笑顔を作っているようにも見える。
「ありがとうございます」
気を使わせないように。
向こうには感じさせないように。
私は笑顔になる。
「無理しないでくださいね」
少し驚いた顔の蜜柑さん。
「子供に心配されるような大人じゃないわ。心配してくれてありがとう」
「お母さん! 檸檬‼ 早く食べよッ‼」
伊予の方を見ると私のお皿もりもりに盛る伊予。
「私、そんなに食べれないよ~」
(あなたこそ大人の心配している場合じゃないわよ……。)
どうもあの子は自分を隠すのが得意ねぇ~……。
特技がある事が悪いことではない。
よく言えば演技の天才とも言える。
でも逆手に取れば本当の自分の意見を隠してしまう。
隠せてしまう事がいけない。
どうしようかしらねぇ~……。
自分を隠す子が二人になっちゃったわ。
♦♦♦
ご飯をい~っぱい食べて、その後はみんなで交代にお風呂に入った。
私が一番最後だったんだけど、お風呂に入る前に、「出たらリビングに集まって」ってちょっと顔のこわばった檸檬から言われた。
ちょっと不思議だけど、何かあるのかな?
そう思いながら脱衣所を出て、冬だから当たり前だけど、寒い廊下を歩いてリビングに向かう。
リビングに行くと、右側のダイニングテーブルに姿勢よく座る檸檬。
左側のソファーで本を読むお兄ちゃん。
正面のキッチンで夕ご飯の片付けをしているお母さん。
私が来たのを確認するとお母さんは手を洗い出し、檸檬は立ち上がる。
檸檬がお兄ちゃんのいるソファーを指差したので私はお兄ちゃんの隣に座る。
私たちが座るソファーの前に檸檬が来る。
「…………」
とても緊張しているように見える。
「………大丈夫よッ!」
お母さんは檸檬の肩をベシッと軽くたたく。
あれ、意外と痛いんだよね~…。
「私の子どもはこんなことで距離を置くような子には育ててないわよッ!」
「………分かりました」
フ~ッと緊張を飛ばすよう瞳を閉じて一息つき、目を開いた時には不安を感じさせる瞳から決意の籠った瞳に変わっていた。
「今から話すことは他言無用。秘密厳守でお願いします。他人に話した場合の後のことは保証できません」
冗談じゃない。
そう語るのが肌にひしひしと感じる。
「そんなに緊張しないでよ~」
そのいつもと変わらない表情で少し笑いながら言う。
「私……さ」
でも、話し始めるとキリッと読めない顔になる。
……あ。
ヤバい。
くしゃみ出そう。
「実は……」
う~……限界
「あや……」
「ブエクショイアバダケダブrrrrrrrイッ‼」
……もしや、ちょうどいいタイミングで被った?
「………」
はい。
どうやらそのようです。
三人が一斉にこっち見てるもん。
「スミマセン。穴があったら覗きたいです………」
「………フッ……アハハハハッ」
………檸檬、爆笑してるよ?
どうしよう。
ホントにごめん。
お兄ちゃん、ジト―――――って目で見ないでよ。
「い……伊予。穴は覗かないで、入りなさい?」
お母さんが笑いをこらえながら言う。
・・・もしや、「穴があったら入りたい」が正解⁉
この時の私はリンゴに負けないぐらいに顔が真っ赤だったと思う。
檸檬が落ち着いてようやく話せるようになった。
その時に話した言葉は
「私、実は妖です」
だった。
笑った後だったからか分からないけど、一瞬冗談に思えた。
でも、檸檬の表情はいつもの優しく、明るい表情。
それに加えて真剣さを感じる。
だから、冗談じゃない。
お兄ちゃんもそう思ったのか、開いていた本を閉じ、横にどけた。
むしろ今まで、本をどけていなかったのがビックリなんだけど、心理学的には相手の話を聞きたいと思う時は目の前にある物をどけるんだってお兄ちゃんがそんなことを話してた気がする。
「今、私が二人に話すのは私と暮らすうえで重要だと思ったから。そして、二人なら信頼できると思ったから。だから、蜜柑さんに相談した」
「私としては~圭理にはネットでは絶対に入らない情報を知ってほしかった。知っていたらもっと世界は広がるし、ネットにすべてがあるわけじゃない。人から聞かないと分からないものもあるから」
「…………」
お兄ちゃんはネットが得意で頭もいい。
でも、人と話すことやたくさん人がいる場所に行くのは苦手。
図星なのか、ちょっと俯いているような気がする。
「伊予には、人には大きな秘密がある。それを知るということ、教えてもらうってことはとても大切だっていうこと。それを受け止めるっていうことを教えたかったからかな」
「…………分かった。どんなものでもどんとこいッ!」
少し、驚いた顔をしている檸檬。
「………ありがとう。妖って言ってもいろんな種類がいる。昔の話とかで出てくるように鬼、九尾、天狗、猫又……他にもたくさんいる」
「……妖と妖怪は何か違うの?」
「それね。
調べるといろいろあるけど、違うものもある。
私もよく分かってないんだけど、昔はいたずら好きだったり…とかいろいろ聞いたけど、歴史は苦手だからそんなに……。
あと、日本三大妖怪に出てくる鬼、天狗はいるけど、河童はいないよ。
存在するものとしないものがある。
理由はいろいろ。
人間が作ったもの、絶滅したものが多いかな」
へ~そうなんだ。
全部覚えられる気がしない。
「……檸檬は何の妖だ?」
お兄ちゃんが質問をする。
そういえば聞いてない。
「私は九尾の直系……つまりは妖狐」
「……九尾の直系ということは妖狐の中では立場が上なのか?」
檸檬は指をパチンと鳴らし、お兄ちゃんを指差して「ビンゴ」と言った。
「面倒くさいことに丁寧に扱ってもらってます」
「妖狐は全国にどのぐらいいる? 全国の割合は?」
「七人に一人。と言っても、妖狐であるという定義として1/8まで妖狐の血が入っている人は妖狐。半妖とかになると子供に話さない人もいるから、あんま宛になんないかなぁ…。妖狐が一番多いのは大阪。本家が大阪だからね。二番目が東京でやっぱり、都会が多い」
「俺らは存在を初めて知った。鈴木家や堂前家(蜜柑さんの旧姓)は人間ってことか?」
「調べた限りは人間だった」
だ………だめだ。
完璧に置いていかれた。
何言ってるか分からない。
「狐崎晃さんは同じく妖狐か?」
「ええ。狐崎家は代々家に仕えている。晃さんのお父さん、旻さんが私の父、叔父、叔母に仕えている。旻さんは一人っ子だし、一人で三人を見てくれていたみたいだね。昴さんと晃さんが結婚するかは知らないけど、どちらかの子どもが私の子どもに仕えることになるんじゃないかな」
晃さんって確か檸檬と一緒に来たスーツの人だよね。
「今、檸檬の父、飛鳥さんが亡くなったが、妖狐や会社の経営は大丈夫なのか?」
「おっとぉ。会社の事まで気づいてたのね。(株)狐坂はご存じの通り社長は私の叔父、飛空。妖狐全体をまとめる当主は私の父、飛鳥が務めて分けていたの。でも、今は私の叔母、飛奈と二人で回して、いずれは飛空一人で回すんじゃないかな」
うッッ……ダメだ。
人の名前と情報量が多すぎて……。
キャパオーバーです……。
伊予の頭から湯気が出始めてプシュ―って鳴るほど(比喩ですよ?)伊予の頭はパンクしていた。
「れ…檸檬、お兄ちゃん……後で表にしてまとめて……」
そう言って私は容量を開けるために今話されたことを一回捨てる作業に取り掛かった。
途中、切れててすみません!
色々書いてあるので解読頑張って!
翆「ナンプレって知ってます?」
小「知ってるバイバイ」
翆「で終わるか、(自主規制☆)! (小雨はグルグル巻きにして捨てておきました(^^)v)最近、はまってしまいまして、執筆が……終わらねえ…」
霧「一話二時間ぐらいで終わるのに、難易度高いのを選んで昨日はあと一分あれば一時間かかってたもんね」
翆「ぜひ試してほしい。ハマるから」
小「てなわけで(?)今年最後の投稿だと思う…のでよいお年を~」
翆「グルグル巻きにしたはずなのに!」
ッとここで翆、小、霧の説明!
翆は皆さんご存じ(でいてほしい!)作者の名前、翆雨ユイカの翆ですね。
じゃあ小と霧は何なのか。
小は小雨ユイカの小で、霧は霧雨ユイカの霧です。
うんうん、皆さんの声が聞こえてきますよ。「どちら様?」でしょう?
まあ、別の活動をしていた時が小雨、霧雨だったし、母の話によると性格が今と多少ちがかったまあ、反抗期あたりでしょうかね。
そんなんだったんで、反抗期みたいな性格の小雨とその前の今より無垢でこんなに重くないこの作品の大元の作品を考え、書き出したのが霧雨みたいな感じですね☆
まあ、名前を憶えてくれているなら十分です!
それでは、良いお年をお迎えください!
一話同様変更しました。




