20 辻村さんの言い分だと警察はブラックに見えます
三章、よろしくお願いします。
ま、ここから面白くなるので。(※翆ちゃん曰く)
小「翆ちゃん曰くってあんまり参考にならんのよ」
たまに、誰かを探す、夢を見る。
小さい足で、泣きながら、広い屋敷の中で。
ひとつひとつ、部屋を開けて、人が来たら、人に聞く。
記憶のような、夢のような。
誰を探しているのかは、夢を見ていても、起きてからも。
――分からない。
+++
「おっはー檸檬っ!」
「おはよ……伊予が先に起きている」
目を覚ますと視界のど真ん中に伊予の顔があった。
近い。
「今日は寝坊? もう八時だよ?」
「うそ~。なんでだろ、そんな遅くに寝たわけじゃないよね。いつも通りだったのに」
たま~にやる寝坊。
たまたまかもしれないけど、その日の夢の記憶はない。
「そんな日もあるっ! ごはんだよっ!」
「はぁ~い」
顔を洗ってリビングに向かう。
リビングには蜜柑さんと伊予とケイがいた。
蜜柑さんはキッチンで作業をしているし、伊予はソファでスマホを見ている。
ケイはテレビのニュース……というか、ニュース番組のコーナーの一つで、話題の人や人気のある人を呼んで生放送で話す番組を見ていた。
その番組に今回出ているのはアオ。
ケイってアオに興味あったの?
私の朝ごはんをもらいに行きながらそんなことを考えていた。
「……碧とケイって似てるよね」
ボソッと言った言葉に、瞬時に反応したのが伊予。
「どこがあッ!?」
ビックリしたぁ。
「いや、なんだろう。なんとなく? たまに碧とケイを重ねちゃうと言うか」
「笑顔優しい愛想がいいという三色団子の『え』の字もないお兄ちゃんと笑顔優しいお兄さん神対応王子という五色団子のアオとどこが似てるの!?」
詳しいね~……。
って言うか、そこまで言うとケイの悪口になってない?
「あ~……気のせいだったかも。……伊予ってそんなにアオにハマってたっけ?」
「最近、友達に布教されたの」
「そうなんだ。いただきま~す」
両手を合わせ、ご飯を食べ始める。
「正直よく分からないんだけど、『アオの悪口言う人にはアオの良さを伝えなさい!』って言われたから」
ケイと碧が似ていると言ったことで悪口になるのがちょっとよく分からないな。
でも、ケイが気にしている様子もないし、流していいのかな?
だけど、静かに傷ついてたらどうしよう……。
こういう時、お兄ちゃんってどんな反応するんだろう。
お兄ちゃん……そもそもきょうだいがいないからなぁ……。
きょうだいはどんな反応をするのが一般的なんだろう。
(……何だろう)
「……」
ていうか、何なのこの真顔。
圭理さん、何考えてるの?
何か言ってよ。怖いから。
(心の中に黒い靄がかかったみたいに)
……なんて考えながら朝ご飯を食べていた今日この頃でした。
(嫌な感じがする)
「それにしても、忘れてないよね!」
「何を?」
「今日のアクティブワンダーランドに行くことだよ!」
「あ~……今日だっけ?」
「今日だよ!!」
+*+
「こっちこっち! 次、こっちぃ!!」
「走れ~!」
はしゃぎまくる伊予に私もついて行く。
ケイと蓮はもうついて来れてないけど知~らない。
「待ってくださ~い!」
追いかけてくる蓮にゆっくり歩きながら来るケイ。
蓮はこんなので体力の限界迎えちゃダメだよ~。
伊予だって赤ちゃんじゃないんだから、ケイみたいに視界が入る所に居れば諦めるぐらいに潔く行かないと。
「よしっ、伊予。勝~負だ!」
「望むところだ~!」
3、2、1、GO! という表示がされ私たちは一気に登り始める。
そう、今はボルダリングをやっている。
今日来ているのは新しくできたアクティブワンダーランド。
二つの建物で構成されていて、
ショッピングができる建物のワンダーモール。
それと今いるイベントやボルダリングなど、めいっぱい遊べる建物のアクティブドーム。
今日は四人で来ている。
「おめでとうございますっ! 頂上まで登れたので、ワンダーモールで使える商品券、千円分をプレゼントですっ!」
なんとたまにこういうふうに景品があったりする。
「千円分なんて太っ腹だな~」
「ワンダーモールには何があるんだろうね。後で行こう!」
結構高い入場料にはこれの分も入ってるんだろうな~とかいう可愛くないことを思いながら伊予について行く。
ここはひとつ一つ遊ぶ分にはお金はかからずこの建物に入るときにお金がかかる制度。
まあでも、楽しいならいっか!
十四時を回ってワンダーモールにご飯を食べに来た。
お腹は空いてたけど、席が空いていることを優先してちょっと遅めに来た。
「よかった。空いてる」
四人掛けの席に座る。
「結構楽しいね」
「めちゃめちゃ楽しい! また来たいね!」
「確かにね。いつになるかな」
「明日!」
「「明日~?」」
蓮と声が重なる。
「さすがにすぐすぎるって。飽きて来ちゃうよ。たまに来るって言うのがいいんだから」
「俺らはバイトできる年齢じゃないし、おこずかいだって余裕があるわけじゃないから、毎日はちょっと厳しいんじゃないか?」
「確かに……」
シュンとしていながらもすぐ立ち直って、「じゃあまた来月だねっ!」と言った。
「にしてもケイが来たのは意外でした。こういうところは苦手かと」
「……ここに用事があった」
「?」
用事?
今まで置いていくことはあったけど、遠くで座って待ってたり視界の入る所にはいたよね。
別行動したわけじゃないからまだ終わってないんじゃない?
時間が違うのかな?
そう思いながら眺めのいい席だったので外を眺める。
「……あ、あれ、ちょっと、辻村さんじゃない!?」
「辻村……えっ!?」
一瞬誰か分からなかったな?
蓮も外を覗く。
「あ~……そうですね。そうですね、辻村ですね!」
「やっぱり~」
アクティブドームとワンダーモールの間の広場みたいな場所に何人か集まっている大人の一人に辻村さんが紛れていた。
「う~ん、あの集まりってもしやアレじゃない?」
「あの性格を考えると友達いなさそうですし、仕事で来てるんでしょうね」
何でしょう、最近は悪口が流行ですか?
も~、ついて行けませんよ。
「接触することもないと思いますし、気にせずに……向こうに気づかれたら諦めますけど」
一度檸檬と蓮として接触してるからなぁ……。
あの人妙に勘が鋭いし、怖いなぁ……。
「確かあの人子どもいるんでしょ? なら居てもおかしくないんじゃない?」
確かに三歳のお子さんがいらっしゃいましたけど。
まあ、割と対象年齢低めのもありますし……ね。
「いやいや、連れの人たちがあんな鋭い目じゃさすがに無理があるって」
辻村さんも含め私服の人はいるけど、完璧事件が起きるから警戒してるって顔です。
「姿を見かけたからと言って遠ざかってもそれ見られてたら怪しまれるんだろうな~」
「……前回接触してしまっているから、姿を見たりしても無視。さすがに気づかないのはおかしい距離になったら諦める」
ケイの指示がされ私たちは改めてメニューを見る。
「ど~れ~にしよ~かな~」
「……あの人絶対骨治ってないよね」
「…………」
ケイと蓮が固まる。
同じこと思ってたな。
「ま、まあ、あっ、ほら! 骨折じゃなかった、とかじゃない?」
伊予が気を使ってそう言う。
「いや、骨折していたのは事実だ」
「…………」
いやなこと言わないでよ……。
骨折したのがクリスマス。
今は二月の頭だから一ヶ月ちょいしか経っていない。
つまり、完治は絶対ない。
「あの人何で仕事してんの?」
「……他人他人。辻村さんの事は忘れましょう!」
「そうだね! 私は会ったことないし!」
も~辻村さんがいただけで変な雰囲気になったじゃん!
やめてよねっもうっ!
「あれ? ねこだまりカフェ(ねこカフェ)にいた“サンタさん”彼女じゃない?」
なんだそのあだ名!
って言うか、遭遇しちゃった!
「お久しぶりです。“サンタさん“にはなれました?」
焦るな、檸檬としておかしくない反応をしろ!
「ギリギリだったけどね」
「なれたならオッケイです! 今日はお子さんと遊びに来たんですか?」
絶対違う。
「残念ながら仕事なんだ~」
ブラックなんですか?
「大変ですね。頑張ってください!」
「それだけでも頑張れるよ……」
警察ってブラックなんですか?
翆「こんにちは、こんばんは、おはようございますっ! そういえば、おはようございますだけ仲間外れっぽくなあい?」
小「あぁ、幼馴染三人組の二人がくっついた的な(?)」
翆「それはちょっとよく分かりませんけど。皆さんゴールデンウイーク中ですかね? ああ、子どもの日か。私は四月最終日の日に書いてます。未来の私、温泉行けた~?」
未来の翆「空白~」(本日の夜行きます。おそらくいけそうっ!)
小「説明しよう。翆雨一家は母の実家のある都道府県に草刈りをしに行くと言っても過言ではないほどなんですが、終わらせないと漫画がいっぱいあるスーパー銭湯に行けないという悲しい出来事があるのでそれを聞いているのでしょうね。知らんけど」
翆「『弟たちは子どもの日でただなんですっ、そこの駐車場で車中泊もできるんですよ!?』と交渉したんですが、日程的に終わらせなければいけないという鬼畜っ! 家畜になっちまえっ!(?)」
小「説明しよう。翆雨の精一杯の悪口である。悪口に困ったら『(自主規制)』と言えばいいという考えだからな」




