15 クリデート♡
おかか、ツナマヨ、しゃけ、大根(何これ)
「わあ~夜だったら絶対キレ~だね~(棒)」
到着した場所は新宿。
道には横に並ぶ木々にイルミネーションがつけられ、中央には大きなクリスマスツリー。
夜には点灯されるそうだ。
点いてないけど。
「点くまで他見ましょうか……」
調査不足か。
「まあ、今日の朝言われたんでしょ? 夜まで待てばよし。他見よっか」
くるっと回れ右をして蓮の前を行く。
「わっ、ねこカフェだ!」
「行きますか?」
「行く!」
自分が妖狐っていうのもあって動物は大好き。
香水とかそういうのも苦手だし、匂いがきついのはつけてない。
そういうところは狐のまま。
と言っても半妖だから結構軽減されてる方なんだけどね。
でも柑橘系は避けられるなら避けたい。
こないだのアロマは妖狐対応用だったから大丈夫だった。
そういうところがちょっと不便。
「いらっしゃいませ。本日はお二人さまですか?」
「はい」
「かしこまりました。お二人さま10分で400円で、そこから加算されて行きますが、現在カップル割引中ですのでお二人様10分200円、精算はお帰りの際となります」
指をさしながら丁寧に説明してくれる。
「続いて、こちらで手の消毒とお荷物をそこのロッカーにしまってください」
コインロッカーが五十個ぐらいずらっと並んでいた。
「猫ちゃんの機嫌が良ければ撫でていただいても大丈夫です。写真撮影も大丈夫ですが、フラッシュはおやめください。何かあればお気軽にどうぞ。では奥のスタッフが案内いたします。こちらの方へ。どうぞお楽しみください」
そう言って私たちは奥へと案内された。
「……私たちってカップルに見えるの?」
「安くなったからいいんじゃないですか?」
蓮は何とも気にしてなさそう……?
なら私も普通に慌てないようにしなきゃ。
私は何も思ってないよ~?
一人だけ意識してるとか、恥ずかしいからね~?
~その頃の蓮の感情~
俺と檸檬さまってカップルに見えるの!? いや、クリスマスにデートするなら一般的か。でも、俺には合わないだろうし!
何より檸檬さま平常心だし、慣れてそうだし、婚約者いるし、俺なんかと一緒になんかなれませんよ!
なんで、カップルに見えたんですか?
どっからどう見ても立場に違いがありすぎでしょ店員さん!
内心大焦りな二人だけど、演技力ってすごいね。
「檸檬さまは猫派なんですか?」
「ううん。どっちも。分けられないというか」
猫と触れ合いながら蓮と話す。
「自分はまあ、イヌ科と距離が近いけど、友好(妖)で猫いるし、私としても同じぐらいなんだよね」
妖間でも、友好国みたいな感じで友好妖を結んでいるところがある。
妖狐なら猫又と仲良くしている。
「犬は最高ですよ! 特に黒柴!」
「ねこカフェでワンちゃんのお話はやめましょう」
蓮は犬派なのね。
猫ちゃんを撫でていると、私の背中から登ってきて肩でくつろぎだした真っ白な子がいた。
「うそ! おむすびちゃん、私たちスタッフでもなかなか懐かないんですよ!」
とスタッフさんが驚いていた。
「そうなんですか?」
「私、三年ここに勤めてますが、おむすびちゃんが人に寄っていく姿は初めて見ました!」
「へぇ~。ちょっとうれしい」
「おむすびちゃんが人に懐いたのは今日で二回目らしいですよ。前も肩に乗っかってたとか……そうでしたよね! 岳生さん!」
奥のスタッフルームに向かって名前を呼ぶスタッフさん。
名札に「みなみ」って書いてあるからみなみさんでいいかな。
「あれ、岳生さ~ん? すみません、一番の古株なんですけど……岳生――」
「大声、出さ……」
スタッフルームの扉が開けられ、出てきたのは黒髪でピシッとした感じの大学生ぐらいのお兄さん。
名札には「うてな」と書いてある。珍しい名字だな。
臺か台か。
どちらにしてもそんなにいるわけじゃない。
ねこカフェで働いている雰囲気はないんだけど、ここになじんでる。
古株っていうのも納得だ。
「……あの時のお客さんとそっくりだね。……おむすび、重いでしょう?」
そう言っておむすびを抱き上げる。
演技を得意とする身から言わせてもらうと、この人は演じてる。
勘でしかないけど、そう思った。
「そうでもないですよ。自分から来てくれるなんて大歓迎です」
「よかった。南、悪いんだけど今から上がらせて。日曜日フルで入るから穴埋めはそれで」
「え、岳生さん?」
そう言っておむすびちゃんを置いてスタッフルームの方に帰って行った。
「岳生さん、な~んかよく分からないんですよ。ニコニコしてるし目も笑ってるし、話しやすいけど、な~んか近づきがたいというか」
「そうなんですね。おむすびちゃんはどう思う?」
私から近づいていったら、ねこパンチを食らってしまった。
痛くないし、かわいい。
一時間ほどねこカフェにいてから店を出た。
おむすびちゃんに懐かれたことをきっかけにみなみさんとも仲良くなれた。
ポイントカードも作ったし、東京に出ることがあったら来ようかな。
「うてなさんさ。私としては演技をしているように見えた。蓮はどう思った?」
「俺も同感です。それに……上手くは言えないんですけど、演じ方の〝根っこ〟……根本的な部分が檸檬さまとそっくりでした」
「そう……なんだ」
私の演技は基本的独学だからそういうのは詳しくないけど、私と似た状況、とかで似るものなのかな?
その後はお店をいろいろと回ってめちゃめちゃ楽しんだ。
「あと三十分あるね~……」
暗くはなってきたんだけど、イルミネーションが付くのは三十分後らしい。
「どこかで暇をつぶしましょうか」
「あ、その前に」
ケイにコインロッカーに頼まれてコインロッカーに行かなきゃいけなかった。
圭理に言われた場所のコインロッカーに向かう。
暗証番号制のロッカーで、中には……
「あの人、これが仮にもデートだってわかってるのかな?」
「ケイが協力的だった理由が分かりました……」
私たちの怪盗セットだった。
「もしも~し?」
受け取った後、即ケイに連絡を取る。
多分反省してないでしょうね。
『ちゃんと指定時間に来てくれたな』
言わんこっちゃない。
「分かりましたよ~。着替える場所とタゲの特徴、場所お願いしますね」
『物分かりが良くて助かる』
全く。
今回盗むのは盗品で、しかも形見の品ならしい。
ケイに連絡が来たんだって。
全く知らない人だけど、断る理由もないからって。
♢♢♢
「おおっ! こないだ出たばっかの新人怪盗サマでは!?」
ケイに指定された建物……でっかい研究室みたいなビルに入ると、そこには人がいた。
くせ毛気味の銀髪に銀の瞳。
右手には三つの紙袋を持っており、左の耳だけ月のピアスを付けている。
白のタートルにグレーのコートを羽織った成人ほどのお兄さん。
柔らかい雰囲気なのに何かをずっと探られているような瞳が恐ろしくて下手に動けない。
「……知り合い?」
もしかしたらニコニコのメンバーかもしれないと思って、Eに聞くが、首を横に振る。
「知名度ないなぁ……僕は辻村左紅。刑事だよ!」
刑事……敵じゃん!
いや、知名度ないのも普通では?
『辻村左紅、刑事。単独行動が多いが、並みの刑事や警官より頭脳が良く、身体能力も高い……そして、今回の……依頼人だ』
「「……」」
『今調べがついた。すまない。引き返しても構わない』
こんなところで捕まるわけにも行かない。
でも、周りに人はいない。
「……私たちを捕まえる気ですか?」
「どうだろうねぇ……でも、依頼したことは事実だし、いくら請求してくるかと思ったら0円だし、母の形見の品が盗られてるのは事実だからね!」
口調は語尾に”☆”でもつくんじゃないかってぐらい明るい人。
「そっちの男の子が元ワンダーだね」
「さぁ」
見事に当てた。勘が鋭い?
いや、身長か。身長って難しいなぁ……。
「あと一人は?」
「別行動」
「ううん、おやすみだね」
どこまで調べがついてる?
協力者がいる?
「ねえ。自己紹介してよ」
「「はあ?」」
「そんな嫌そうな顔しなくても~」
そんなわざわざ情報を渡すわけないだろう。
「一つ情報をお渡ししたらお帰り頂けますか?」
「じゃあいいや。女の子の方がRちゃんだね。元ワンダーがEくんであってる?」
ああもうわからない。どこで盗聴されてた?
Kの返事を待つと、
『……おそらく勘がいいだけだ。最善の注意を払え』
とバカみたいな返事が返ってきた。
マジで言ってます?
冗談じゃない。反則だ!
ねこカフェの一番最初に案内してくれたお姉さんの心の声。(南さんではない)
「ガキどもがクリスマスにデートしおって。こちとら夜までバイトですよ~だ!」
最近(本編執筆終了前後)推し様が猫を飼っていると知ったので猫の好感度が上がっています。どうも翆ちゃんは檸檬と同じくきのこ派、犬でも猫でも派です。前回メタかったので入れるのはやめました。
翆「皆さん、筋肉痛ってなったことありますか?」
小「あります。さよなら」
翆「END……になるかぁ! 同じネタは飽きられるんだよ、オイ!」
小「ちっ」
翆「二日前、幕張(千葉県)にあるトランポリンで遊べるところに行って来たんですが、ボルダリングで前腕部が筋肉痛です。昨日は消しゴムを使うのも結構きつかったです」
小「翆雨は若いので筋肉痛は翌日に来るんですよ~! って言いたいんですか?」
翆「そんなこと一言も言ってませんけど!?」




