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9 近くの町まで行こう

ブクマと評価をくれた方、ありがとうございます。書き貯めしていたUSBメモリが破損して心折れかけていたんですが励みになりました。忙しい仕事の合間に書き直してるためなかなか遅いですが、生暖かく見守ってください。


「ということがありました。ガリアス帝国って知ってる?」


 コテンと頭を傾けてニコッと笑う横山さんは、焚き火の明かりのせいか可愛くも悲しげにも見えた。


 そんな彼女の説明にまず俺が思ったことは、『情報量多いなぁ~』だ。

 二十年前?百年後?女神が許さない召喚?知りたい事は沢山あったがそれ以上だった。


「ガリアスか、その辺りは明日話そう。ついでにこの世界についても少し話すよ。今日はもう遅いから寝よう…… というかちょっと頭の整理したい」

「だね、情報多いよね。じゃあ先に寝るね」

「布団無いから寝心地悪いけどな」

「初!! 野宿だぁ」


 そう言うと彼女はリュックを手元に寄せる。

 あれ?そう言えば学校で使ってるリュック持ってたんだ、自分の事で一杯だったからか気が付かなかったよ。俺のカバンは無かったよな、呼ばれた者と巻き込まれ者の差だろうか。


 横山さんはリュックのファスナーを開けて手を入れると中から、にゅにゅにゅーっと毛布を取り出した。


「はあ? ちょっ、それ!!」

「ん? この毛布女神様から貰った。野宿に必要だからって」

「いやいやいや、そうじゃなくて!! そのリュック、毛布が入る大きさじゃないだろ」

「ああ、こっち? さっき言った沢山荷物が入るカバン……マジックバック?」

「容量は?」

「んと、お屋敷が十個入るくらいだって言ってた」

「お屋敷がどの規模のお屋敷か分からんが、村一つは余裕じゃん…… いきなりチートかぁ」

「やったねっ」


 グッと親指を立てた彼女はお休みを告げて横になった。マジックバックか、おおよそ馬車一台分の容量を買うには一般家庭の五年分の生活費が必要と言われている。


「はあ…… なんか思い知らされた感があるな」


 彼女は呼ばれた者で俺はそれに巻き込まれただけ。彼女が主役で俺はただのモブ。必要とされたのは彼女で俺じゃない。

 そう、俺は必要じゃなかったんだ。

 また[ニケウイング]がちらついた。


「まあいいや、それでもいい」


 そうだ、それでもいい。またやり直せるんだ。

 あの日一角ラビットにやられ、悔しい想いとともに命を落とした人生をやり直せる。良いじゃないか、日本に未練は無いとは言わないがこの世界で二度目の人生も良い。


「横山さんを見た時『まさか俺の召還に巻き込まれたのか』なんて思ったのは恥ずかしくて秘密だな」


 自然と苦笑いが浮かんでしまう。自分が巻き込まれた側なのに…… 穴があったら入りたいってやつだな。

 俺は革袋から魔物除けのお香を取り出し火をつけると、入り口の所へ設置してから横になった。

 これからやる事や必要な事を考えているうちに瞼はいつの間にか閉じていた。


 * * *


 朝日が登るより少し早く起きた俺達は、魔の森の入口と呼ばれる所へと西に向かって歩いてる。なにも問題がなければ昼前には到着するはずだ。

 そこから更に徒歩で一日程行くとマテスという町がある。魔の森で活動する冒険者が集まるため、別名冒険者の町と呼ばれている。あまり学が無い冒険者が付けそうなネーミングだ。


「そこで冒険者登録するの?」


 まだ眠そうな、しかしワクワクしたような目で横山さんが聞いてくる。


「まずは身分証明の代わりになる冒険者カードを作らないと。あと服と装備も買わないとな」

「エヘヘ~、異世界小説あるあるだね」

「だな」


 今の俺たちは学生服だから町へ行ったら目立つだろう。町の入場税と服代くらいは革袋の中に入ってる、前世で(レオン)がコツコツと貯めたお金だ。

 因みにこの革袋もマジックバックだったりする。日本の一番安いレンタル物置程度の小さな容量だけどな。[ニケウイング]から出て行く時に腹いせで持ってきた物だ。

 もっともメンバー全員持ってるから問題ないだろう。


「ねえねえ、小説あるあるだと街道で貴族か商人の馬車が襲われてたりするよね」

「いやいや、流石にそれは無いと思うぞ。あ、呼び方!! あるあると言えばこの世界も平民は名字が無いぞ」

「名字が有るのは貴族だけ?

「そうだ、だからこれからは名前で呼ぶことにしよう。俺は慣れてるけど出来るか? ちょっと呼んでみてくれ」

「ええ~!! お互い名前で呼ぶなんて…… なんか恋人同士…… ゴニョゴニョ」

「ん? よく聞こえなかったけど」

「えっと、ひ…… ひろ…… ああ~ん、比呂君!! で良いかな?」

「ん、オッケーだ。じゃあ俺は絵美で」

「……」


 何故か顔を真っ赤にして照れる絵美。何故かそれを見た俺も照れてしまう。お互いそれ以降言葉が出ずに、森を歩く足音だけをBGMに先を進む事となってしまった。


「入り口までそろそろかな…… ん? 人の声?」


 魔の森は不思議な場所だ。

 平地に境界線を引いたかのように、いきなり大きな木々が城壁のように立ち並んでいるのである。徐々に草木が増えるのではなく、まるで森という家がドンと置かれたような感じ。

 森の木は切り倒しても、何故か数日で新しく大きな木が育っている。魔の森の面積は常に一定なのだと宮廷学者が研究発表していたっけ。

 まあ、そのお陰で木材には不自由しないのだが、それは森を切り開いて道を作る事が出来無いという意味であり、しかも一定期間で木の位置が微妙に変わるので地図を作っても意味がなく初級冒険者はダンジョンに辿り着く事すら不可能に近かった。

 魔の森の入口とはそんな森の基準位置として冒険者達がいつの間にか決めた場所なんだ。

 その入り口まであと一時間ほどかなと思ってたところに離れた所から争うような声が聞こえてくる。


(囲まれてるぞ!!守れ)

(何でこんな所に!!)


 やばい、たぶん誰かが魔物に襲われてる!!

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