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殺したのは俺?  作者: おもち
解散に至るまで

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大盾使いのドラム




 たった今、Aランクパーティ『一騎当千』は解散した。


  一騎当千は、その名の通り精鋭揃いの優秀で仲の良い冒険者パーティだった。メンバーは七人、剣士でリーダーの俺クリスタ、大盾使いのドラム、シーフのレジーナ、弓使いのモーリス、魔術師のマーク、回復術師のアリア、ポーターのサイモンだ。王都ギルドからの合同依頼をきっかけに、俺、マーク、レジーナがパーティを結成し、徐々にメンバーが増えていった。初めに三人で結成してから五年経つ。冒険者ランクはSランクが一番上で、その下にAランクからFランクまである中、上から二番目のAランクまで上がった。俺たちは王都に一軒家を買い、皆でそこで暮らしていた。


 だが、現在残りのメンバーは俺、マーク、モーリスの三人。他のメンバーは何者かに殺された。犯人は見つかっておらず、お互い疑心暗鬼になり、散々言い争った結果、パーティは解散することになった。俺も今は残った三人の中に犯人がいると思っている。


 事の発端は、俺とドラムがダンジョンでの戦闘中に襲われたことから始まった。

 その日は、俺、ドラム、レジーナ、マークの四人でダンジョンに潜り、アリアは街の治療院の手伝い、モーリスとサイモンは必需品や食料などの買い出しに出ていた。簡単な依頼のときは、こうやって別れて行動することも多く、この日の依頼も日帰りで簡単にこなせるはずだった。

 受けた依頼は、ダンジョン中層での魔鉱石の採取。Cランクでもこなせる依頼だ。俺たちは無事に魔鉱石を採取し、戻る途中で通路にいた二体の蜥蜴人(リザードマン)と戦闘になった。


「ドラム、レジーナ、片方は任せた!もう片方は俺がやる!マークは後ろから支援してくれ!」


「「「了解!」」」


 一体の蜥蜴人(リザードマン)が突き出した槍をドラムが盾で防ぎ、隙ができたところにレジーナがナイフを持って飛びかかる。俺はもう一体の蜥蜴人(リザードマン)の攻撃を剣で受け流し、首を切り落とそうとした瞬間だった。左上腕に痛みが走る。痛みを無視し、そのまま勢いで蜥蜴人(リザードマン)の首を落とした。その後に腕を確認すると、一筋の切り傷ができていた。


「痛っ!誰だよ!」


 後ろを振り返って確認するがマークしかいない。


 ゴトッ⋯⋯


 固く重いものが落ちるような音がしたので、音の方を見るとドラムの首が転がっていた。


「ヒィッ⋯」

「えっ?」


 レジーナとマークも気づいたようで息を飲む。もう一体の蜥蜴人(リザードマン)はレジーナが倒したようだ。


「マーク⋯、何か見たか?」


「いや⋯何かが通った気もするけど⋯僕には見えなかった。」


「レジーナは?」


「私は何も気づかなかった。⋯目の前の蜥蜴人(リザードマン)に集中してて⋯クリスタは?」


「俺も戦闘に集中してて、俺も腕を少し斬られたけど気づかなかった。首が落ちた音でドラムのことに気づいた。」


 結局誰も何も分からないということで、マークの死体を俺が担ぎ、ダンジョンを出ることにした。

 ダンジョンの出入口に向かって歩いていると、段々と息が上がり、体中から汗が吹き出してきた。マークを担いでいるとはいえ、俺は普段から鍛えていてこのくらいじゃなんともないはずだ。腕の傷も少し斬られただけにしては熱く、ドクドクと脈を打っている。


「おい、毒消しポーション持ってないか?ご丁寧に武器に毒が塗られてたみたいだ。」


「持ってないよ、このダンジョン毒持ちの魔物なんて下層まで潜らないと出ないし⋯。」


「ちょっと大丈夫!?」


「マークちょっと代わってくれ。」


 ドラムの死体はマークに担いでもらい、俺は途中からレジーナの肩を借りて、フラフラになりながらもダンジョンを出ることができてホッとした。そこで気を失った。


 その後はレジーナにドラムを預け、先にマークが俺を背負ってパーティハウスまで戻って来たらしい。幸い先にアリアが戻っていて、すぐに回復魔術をかけてもらえた。俺は翌日の昼まで目を覚まさなかったが、先に帰ってきていた他のメンバーにもマークがダンジョン内で起きたことを説明しておいてくれたようだ。しかし皆、ドラムが簡単に殺されたことが信じられないようで、目を覚ますと俺にも話を聞いてきた。ドラムは大盾を軽々と振り回す強靱な大男だ。それを戦闘中とはいえ、一瞬で誰にも見られずに殺したのだ。


 その時俺は、少しだけ困ったことになっていた。皆に話した通りの記憶はあるのだが、断片的になっていて所々繋がっていない。ほんの少しの時間だ。剣を鞘に戻した記憶がないとか途中の階段を登った記憶がないとか、記憶を思い起こそうとしなければ気が付かない程度だ。皆の名前も覚えてるし、自分が何者かを忘れたりはしていない。しかし生活する上では困らないので、気を失ったせいだと思い、気にしないことにした。


 その後すぐにマークと一緒に冒険者ギルドにも報告に行った。ダンジョンや街周辺などで異常があった時には報告義務がある。他の冒険者や街にも危険があるかもしれないからだ。


「で、心当たりはないのか?」


 ギルド長にそう問われたが、ないといえばないし、あげようと思えばいくらでもあげられる。俺たちは王都でも三組しかいないAランクのパーティだ。着実に依頼をこなし、成果をあげ、このままいけばSランクにも上がれるのではないかと言われ、ギルドからも期待されている。そんな俺たちを妬む者や僻む者も当然いる。過去に喧嘩を売ってきたので返り討ちにしてやった奴らや、依頼で討伐した組織の残党など、恨んでいる者も沢山いるだろう。候補をあげようと思えばキリが無い。


 それに、俺への攻撃はあの一瞬ドラム達の方に注意を向けさせないためのものだったとしたら、ドラム個人を狙ったのかもしれないし、パーティメンバーの誰でもよかったのかもわからない。


「なぁマーク、何が狙いだったんだろうな。」


「さあ、僕にもわからない。ドラムを殺すことだけが狙いかもしれないし⋯何にしても不気味だよね。」


「ああ、もしかしたら腕の立つ暗殺者がこの辺りで冒険者狩りでも始めたのかもしれないしな。犯人が見つかるまでは暫く別れての行動は控えよう。」


「そうだね、今回は戦闘に集中している隙を狙われたわけだし。」


「さすがに全員揃っていれば、襲撃者が近付いても気づくだろう。」


 まだ俺はそんな風に思っていた。


 パーティハウスに帰った後は、皆で今後についてや、犯人の心当たりについて話しながらの夕食を終えそれぞれ部屋に戻って就寝した。パーティハウスには一人一部屋個室が割り当てられているので、寝る時は皆自分の部屋だ。



◆◆◆◆◆



 俺は夢を見た。夢なので覚えているのは断片的だが、夢で俺は、ドラムの首を斬り落とした。ハッとして目が覚めたが⋯俺はそんなことはしていない。ダンジョンでの記憶が途切れている部分はあるが、さすがにそれはない。嫌な夢だ。⋯夢⋯だよな?


 俺は残った三人の中に犯人がいると思っていると言ったが、俺(・)も(・)含(・)め(・)て(・)三(・)人(・)だ。俺は百%自分が犯人じゃない自信がない⋯。







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