閑話 無価値
藤林長門守にも思惑はあった。
「養観院の主は織田信長。
だから養観院に従うという事は『織田信長に従う』と言う話になるのではないか?」と。
だが信長は「俺は一切関わらない。養観院に全て任す」と。
忍者の『全権管理者』を養観院に任命したのだ、面倒臭いから。
・・・と、なれば『鉄の掟』に従い、藤林に連なる全ての忍者は養観院を長とせざるを得ない。
「『主』、ご命令を!」
見たこともない忍者が養観院の前に現れ、片膝を付き頭を下げている。
養観院には何が何やら、意味がわからない。
だが養観院は『これはきっと何かのごっこ遊びなんだ』と解釈した。
そうとなれば乗るしかない、このビッグウェーブに。
「これから僕の事は『主』じゃなくて『軍曹様』と呼べ!」
「ぐ『軍曹様』ですか?
それは何で?」と戸惑う忍者。
「口答えするな!
返事は『サー、イエッサー』だ!」
「さ、さー、いえっさー」
「声が小さい!」
「さー、いえっさー!」
「もう一度!」
「サー、イエッサー!」
「そうだ、無価値な豚め!
お前に許された返事は『はい』か『イエス』か『サー』だ!」
「サー、イエッサー!」
「わかったなら解散!」
「サー、イエッサー!」忍者は大声で返事すると走ってどこかへ行った!
「・・・ようかんちゃん、あれって何なの?」と朝ごはんの最中の義昭。
「何なんだろうね?
そんな事より早く食べないと朝ごはんが冷めちゃうよ!」と養観院。
養観院は『鬼軍曹』を演じただけで、別に規律なんてモノに興味はない。
むしろ規律なんてなんてモノは大嫌いだ。
だがその日以来、忍者の中で『B級映画の中の傭兵部隊』のような規律が誕生した。




