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魔王に巻き込まれた大賢者、今世こそ隠遁生活を送りたい(願望)  作者: 白ゐ眠子
第五章・転生した大賢者は伝えたい。

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第89話 元大賢者は、襲い来る者達に困惑す。(下)

数年ぶりの投稿で申し訳ございません。

不定期更新ではありますが頑張ります。

若干、文章の書き方に変化が出ているのは、ご了承下さい。


 時は夜襲迎撃の時刻に戻る。

 目的不明の夜襲と破壊工作に晒された学院。

 その行為を命じたのは〈人亜連合〉ではなく学園運営の大元締めこと〈ノタルジア工魔会〉という謎組織と国家を滅ぼすために存在するはずの懲罰部隊だった。中身が魔人と亜人であろうとは誰もが思いも寄らない新事実だったが。

 私は透視水晶を執務室のテーブルに設置し、


「たちまちはヨハネス達に期待かしら。私は結界を維持する事しか出来ないけどね」

「というか、一番危険な場所が殿下ですね…」

「それとレイズ殿が向かった後方中央もです」

「心配なのは分かるけど、あの二人なら問題無いと思うわよ? いくら魔人が居たとしても」


 亜空間へと送り込んだ四人の様子をこの場へと残る、エリス様とアイカとリディ、リリィとライナとリンスの六人で監視する事にした。


「シーナ達の場所は比較的手薄に見えますね」

「手薄というより、激減してないか、これ?」

「おぉ! ライナ、大正解!」

「やっぱりかぁ!? 以前視察した時よりも人数に偏りがあるからおかしいと思ったんだよ」


 空気は緊迫した様相なのに迎撃に向かった者達以外は未だにゆるゆるの寝間着姿というね。


(リンスのネグリジェが一番エロいと思う…)


 透け感からライナを誘惑しているみたいで。

 当のライナはリリィの子熊寝間着を凝視して大人っぽいリンスが可哀想に思えるけれど。

 私はライナの大絶叫を聞き流しながら癒やし効果のある紅茶を淹れる。


(これがリリィではなく隣のリンスを抱き寄せれば、少しは(さま)になるんだけどね)


 ライナの言う視察云々は公務の一環として行われている帝国軍との連携訓練の事だろう。


「まさか正解するとはね。ライナは妹贔屓な残念皇子では無かったんだね…」

「ざ!?」

「残念皇子では無かったんですね。兄様」

「がーん! 妹よ、貶すよりも慰めてくれ!」

「婚約者様に慰めてもらってください」

「お、おう」「……」

「そんなに見つめ合って、相思相愛なのね?」

「お二人が羨ましいです!」

「今すぐ妹離れしてくださいね!」

「そ、それとこれとは違うだろう!?」

「ライナ様は今すぐ折檻が欲しいと?」

「ヒッ!?」

「(連携訓練と言いつつ帝国軍の戦力分析を行っていそうな気がするけど…)」


 そんな賑やかしはともかく、


「先生、全員分のカップをお持ちしました」

「アイカ、ありがとう」


 紅茶を淹れ終えた私はアイカと共に全員分のカップに注ぎつつテーブルに並べる。

 アイカと共に座っていた椅子に戻る。


「ライナの言う通り激減しているのは確かよ」


 そして先程の答え合わせを行った。


「アリス様、それはどういう意味でしょうか」

「そのままの意味よ。主力は前後、左右は別働隊って意味でね。激減したのはそちらだけよ」


 すると、エリス様とリンスとアイカはきょとんとオウム返しした。


「「「べ、別働隊?」」」


 ライナは意味深な笑みを浮かべつつ頷いた。


「なるほどな」


 普段はアホでも地頭だけは良いからね。

 一方のリリィはウンウンと唸っていたが。

 私は理解不能を示す四者に対して明かす。


「実はね、彼らの装備品から前後左右の懲罰部隊の一部が違うと判ってね、もしやと思って隔離しているの。これは先の滅亡時に彼らと出くわしていたから、判った事でもあるけどね?」

「ああ!? ソイオンス滅亡時の!」

「ええ。先日は黒い装備、全身が見えない黒い甲冑を着た者達だけだったから、パッと見で懲罰部隊だと判ったのだけど、今回は黒い甲冑の中にローブを着た者達が紛れ込んでいてね…」

「で、では、そのローブを着た者達を?」

「懲罰部隊の別働隊として隔離したと?」

「そうね。で、伯父様達の準備が終わり次第」

「ああ、ヘリオ達の拷問部隊に送り込んだと」

「そうなるわね」


 そう、ヘリオがこの場に居ないのは帝都でも似たような出来事が起きていたようで、捕縛した間諜共の拷問で戻っているだけである。

 ライナとリリィが知っているのは当然の話だが、これは表立って言えるような事情ではないので個人都合と学生達には伝えていたけどね。

 するとここで、


「やはり黒いローブの奴等か。あいつらは確か、情報を洗い浚い回収する諜報部隊だな」


 ライナが出来る男風に演じつつ呟いた。

 いや、出来る男ではあるのよ。嫌そうな顔をするリリィを抱き寄せていなければ、ねぇ?

 そこはリンスでしょうにっと思うけども。

 リンスは寂しそうな表情で思案して呟いた。


「その諜報部隊のみを除外したから激減と」

「そうなるわね。隔離されて減ったから左右は大混乱となっているけどね。シーナ達の斬撃も加わるから、阿鼻叫喚であるのは確かね…」

「お膳立てをしてもらった以上はシーナ達も負けられないでしょうね」


 ちなみにリディは、ヨハネスとレイズ殿の動向を(つぶさ)に注視しているから今はほぼ無反応ね。

 明らかに過剰戦力の蹂躙戦となっているが。

 私達はヨハネス達よりシーナ達を見てるけど。


「亜人相手に通用するのは知っていましたが」

「狼狽した魔人相手でも通用するとは…」

「お二人は末恐ろしいですね」

「「流石は我が国の隠密!」」


 それから暫くして左右の蹂躙戦は終結した。

 亜空間の中はバラバラの肉塊が多数だね。

 リーナだけは実際に魔族を狩っているから負けないとは思っていたけどね。

 魔族はそこらの雑魚魔人よりも強いから。

 私はシーナ達の近くに扉を設けて私室に帰してあげた。血糊を浴びていなくても汗は掻いているだろうから、湯浴みを行って戻っておいでという意味でね。女性であるのは確かだから。

 そして左右の亜空間は空間圧搾で閉じた。

 次いでヨハネス達の様子見に移ると、


「本当なら前後が陽動だったのでしょうね」


 こちらも蹂躙戦の様相のままレイズ殿の冷笑とヨハネスの高笑いが空間内にこだましていた。流石のライナも頬が引きつっているね。


「ああ、陽動で夜の学院を夜襲して」

「騒ぎの間に左右から侵入して奪うと?」

「何が目的なのかは諜報部隊の拷問で判るからいいとして」

「ここまで一方的な戦闘は初めて見るわね」


 平然と眺めるのはリリィと私とリディだけ。

 エリス様とリンスとアイカは茫然自失だね。


「「「……」」」


 事前にヨハネスから「あまり映すな」と言われているのでシーナ達の状況だけを映していたけど、事後であっても相当なまでにキツいね。

 これは魔人達と知って、己が立場(・・)を明るみにした、あとなのかもしれない。


(あ〜、ダークエルフの胸だけが…)


 ヨハネスは大きい女は好みではないらしい。

 これを見るとエリス様は身長以外は大きいから『どんまい』としか言えないねぇ。


(胸だけが地面でプルプルと震えている…)


 そう、抉られたように乳房が地面にあった。

 抉られたダークエルフは四肢をも切り落とされて首と身体だけの状態で気を失っていた。

 質素な下着も自身の血で汚れていて悲惨の一言に尽きる。男共は粗物が地面に落ちていた。

 残りの肉体と共に核も潰したらしく、これで魔人共も生き返る事が不可能なようである。


  ◆◇◆


 一方、女だったダークエルフを担いだヨハネスは反対側から来たレイズ殿と合流した。


「さて、掃除完了だ。だが、アリスを悪く言った此奴だけはじっくりと甚振ってやらねばな」

閣下(・・)も人が悪いですね。わざと明かして近付いて気が緩んだ瞬間に殺ってしまうとは」

「その名で呼ぶな。それは昔のことであろう」

「別に良いではないですか、今だけは嘗ての右腕として呼んでも」

「仕方あるまい。ただ、アリスが見ているから程々にな?」

「!? そ、そうなのですか!?」

「ああ、声は聞こえないようだがな」


 合流したのだけど意味深な会話をしていた。

 というか聞こえないのではなく聞かないようにしているだけです。エリス様への配慮でね。


(それよりも二人の関係ってもしかすると、もしかする?『嘗ての部下で〈千牙〉の元の持ち主です』ああ、やっぱり…)


 あの敬称で呼ぶ者は一人だけだったもんね。

 あのゴライアスの不意討ちで瞬殺された可哀想な部下の一人。彼は剣に生きるという珍しい魔族だったから可哀想な最期だったな、うん。


(ん? 〈千牙〉? それって、まさか!?)


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