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最終話-前:大切な人たいと過ごす一日一日は何物にも代えがたい大切なものだよね?

 俺は、運命なんてものを信じていない。


 だってそんなモノ、決まっていたらつまらないじゃあないか。


「予言だってそうだ――!」


 無限流/刃/奥義ノ弐/天之尾羽張-稜威雄走!


 神器アマテラスのひと振りでこちらへ迫りくる共を魔神ラオグラフィアの山ほどもある巨大な腕を十閃を連ねて肩まで縦に切り裂く。


――ああ、しっくりとくる。まるで俺の為だけに作られた(つるぎ)のようだ。


『水無瀬真人!水無瀬真人!!貴様はなンだ!何故コノ神の前にマだ立っテイる!!』


 巨大な腕を一瞬で回復させ、爆風とプラズマを放ちながらこちらへとを掌を振り下ろす。


「そんなの!」「決まってるっす!」「はい、決まっています!」


 フレアと公くんが同時に焱を纏いて無手/焔虎-阿羅漢を放ち、ビオラちゃんがそれに合わせて叢雲の剣を追撃させてバゴンという衝撃音をとどろかせて弾き飛ばす。


「ああ、そうだ。俺は――勇者さ」


 すぅと息を大きく吸って、虚空を蹴って空を駆ける。


『真人、風を!』


 シルヴィアが大きく翼をはためかせた瞬間に、ぐぐぐんっと速度が上がり俺は人の身にて音速を超えに超え、神速へと至る。


『――去ネ』


 しかし、その眼前に先ほどよりも小規模ではあるが昏き太陽がその行く手を阻む。


 だが、その程度ならば!!


 勢いを殺すことなくくるんと刃を円に描く。


 無限流/刃奥義ノ肆/布刀玉-八十玉籤!


 刃が太陽に振れると同時にそのエネルギーを凡て喰らい尽くし、瞬時に八尺瓊勾玉-へと変じる。鼓草であった時よりも吸収速度が速い、というか自動で勾玉にしてしまった。何これすごい、アマテラスすごいぞお前!


『去ネえええええええええええええええ!!!』


 巨大な口がガパットと開き、その内側からどす黒い魔力が砲撃となって吐き出された。


「ああああああああああああああ!!!」


 無 限 流 / 神 器 / 奥 義 ノ 零 壱 / 天 照 大 神 - (アマツ) !!!


 閃光が瞬くとその莫大な魔力が一瞬にして掻き消える。


『!?』

「これで、どうだああああ!!!」


 勢いのままにその巨大な眼前へと飛び出た俺は八尺瓊勾玉を纏いて全力の一閃を、振い抜ける。


 無限流/刃/奥義ノ壱/武御雷-布都御魂-神威!!!


 そうして、巨大な首がズルリとズレた。



『無駄』

「な!?」


 抜けたその先に小規模の昏き太陽が待ち構えていた。この神、自分を囮にしやがった!


 刃を振りぬいた瞬間であったせいで体制が整わない。一直線に昏き太陽へ吸い込まれるように――



 リン、と音が鳴った気がした。



 気付けばアマテラスが昏き太陽に突き刺さり、昏き太陽を八尺瓊勾玉へと変えてしまっていた。


 ……今何が起きた?どうして振ってもいない筈の刃が黒い太陽を切り裂いている?時間が飛んだのかと思ったけれど、魔神との距離的に考えてそんなことはなさそうだ――って、さっき切った首!再生してるんですけど!!


 ああくそ、考える暇も惜しい。けれど、今のは恐らくアマテラスが何かしたのだろう。自動で目標に刃を突き立てるだなんて俺的にはとっても助かるのだけれど、何がどうしてそうなったのかが分からない。


 だけど、きっと鼓草――アマテラスが俺を助けてくれたのだろう。まったくもって相棒思いの剣である。


『真人様、観測結果が出ました。魔神の魔石は額の中央部位です』

「サテラさん!」


 そう、サテラさんがゴッドルクスをこの戦場に持ってきたのは何も戦闘要員として持ってきただけではない。あの超巨大な魔神のどこにその核である魔石あるのかをサーチしてもらっていたのだ。

 魔石が前面に出ているタイプだったら見ただけで分かったのだけれど悲しいかな、世の中そんなに甘くなかった。だから、各部位を斬って、焼いて、吹き飛ばして、魔石がどこにあるのかを探してもらう必要があった。マジでデカいからね!細かく刻んでも斬り零しそうなんだよ!


「――……諒解だ!行くぞ、ファイナルシークエンス!!」

『諒解いたしました。ゴッド・ルクスティアーズ・エクステンド、ファイナルシークエンス!』


 俺の掛け声と共に一時退避していたゴッドルクスティアーズが轟音を鳴り響かせながら空を奔る、と同時に空の果てから三筋の光線がゴッドルクスに向けて再び放たれた。恐らく、サテラさんの言っていた支援衛星α、γ、βなのだろう。


『主砲エネルギー充填、百二十パーセント!オーバーリミテッドチャージ・完了!、サテラ様トリガーを!』

『アイハブ!主砲!ゴッドルクスブラスターカノン、照準合わせ!!!――オウカ様!!』

「まかせて!行くよ、まーくん!」

「おうさ!」


 キラリとサクラちゃんが光の筋が魔神へ向けて飛び上がり、俺もサクラちゃんに合わせて空を駆上がって行く。


『矮小なる者たちヨ。我に、還レ――!』


 強大な魔力が全身から解き放たれ、ゴッドルクスが後方へと吹き飛ばされる。だが、体制は崩していない――!


『ファイヤああああああああああああああああ!!』


 先ほど魔神が解き放った魔力砲と同等の光線がゴッド・ルクスティアーズ・エクステンドから一直線に解き放たれる。


『無駄ア嗚呼ああああアアアアアアああぁああ!!』


 巨大な腕が盾へと変形し、更に魔力を纏って障壁を展開してそのビームを受け止める。どんだけ怖いんだよあのビーム!


 その隙に首元へと先に駆け上がったサクラちゃんがジ・アンサーを構えた。先ほどの衝撃はをまともに喰らって少しボロボロになっている。ちょっと色っぽいぞう!


「今こそ応えて――ジ・アンサー。私はただ、大切な人を護りたいの!」


 無 限 流 / 神 技 / 奥 義 終 局 / 木 櫻 之 佐 久 夜 !!


 それは人の域を凌駕し神の頂へと至った至高の剣技。


 目の前の事象を切り裂き、望むべき事象へと()()()()ことができる技である。尤、俺が放つ技よりは格段に威力が落ちているようではあるけれど、今はそれで十分だ。


『こノ、残骸ガあああああああ!!』


 肩から袈裟斬りにされた魔神が逆側の腕でサクラちゃんに拳を振るう。


「そうは!」「させない!!」「やらせない!!!」


 その腕にめがけてフレアと公くんが蹴りを加えて軌道を反らし、ビオラちゃんが八岐大蛇を模した八つの叢雲の剣にてその腕をずたずたに切り裂いてしまう。


 それでも魔神は周囲に昏き太陽を数百展開させ、俺たちに向けて解き放つ――


「お前らだけに――いい格好をさせられるか!!」


――大気がウネリ、揺れる。


 そう、魔力を纏った幾つもの竜巻が放たれた太陽たち同士をぶつけ合い、吹き飛ばしてしまったのだ。


 そこには――長い髪をポニテにまとめ、背中がガッツリと開いた白いドレスな魔法少女然としたシルヴィアが短めのスカートをはためかせていた。後ろの方で半透明のウインディア様がピースしているところを見るに、デザインは菜乃花さんあたりなのだろう。く、今度じっくり見せてもらうからね!!


「まーくん!!」


 サクラちゃんの声を後ろに俺は神器アマテラスを力強く握りしめる。


 先ほどのサクラちゃんの一撃は一時的ではあるが、この星と魔神との接続を断ち斬った。ああ、流石うちの愛する嫁さんだ!いい仕事してるぜ!だから、魔神は完全に回復ができていない。


 そして、今までの攻撃――その総てが魔神では回避不能だった為に次元震を起こしての再生ができていないのだ。


 そう、つまりは躱すことのできない必殺であれば魔神を斃すことができる訳だ。本当に七面倒くさいな、こいつ!



――だけど、たぶんそれだけじゃあ足りない。



 たとえ必殺の一撃を放てたとて、あの魔石を砕く瞬間に“砕けなかった”という事象に上書きされる可能性がある。もう、そんな予感がする。うん、俺の予感って割とってかかなり当たるからね!



 だから、必殺なだけではだめだ。躱せない一撃なだけでもだめなのだ。



『勇者、如きガあああアアアあああああああああああああ!!』


――ああ、そうだ。俺は勇者だ。けれど、ラオグラフィア。お前は気付いていない。その前に俺は――


「ただの人間だ」


 これは俺の凡て。


 俺の人として、勇者として生きた、俺一人では到底辿りつけようもなかった集大成である。




「 無 限 流 / 勇 者 一 閃 / 奥 義 終 局 / 木 櫻 之 佐 久 夜 - 万 華(ばんか)ああああああああああああああああああああああああ !!!!!!」



 それは見事に咲き誇る満開の桜の大樹のように、無限に広がり続ける明日への一撃であった。

今日も今日とて遅くなりまs( ˘ω˘)スヤァ

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