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26話:春一番を感じるのは梅の花だけど春を感じるのは間違いなく桜だよね?

「愛?それがどうしたというのです」


 傷を即座に再生させ、次元の刃がまた俺の首を撥ねた。


「――俺は愛に救われてきた」


 すぐ様に復活し、飛び交う次元の刃を躱して往なす。ああ、()()()()()


「俺を生んでくれた両親に!」


 聖剣を翻し無限流/刃/奥義ノ弐/天之尾羽張-稜威雄走を放つ。一振りに見紛う十閃はその一撃一撃凡てが必殺。けれども華のように舞うラオグラフィアのドレスの端っこを切り裂く事しかできていない。でも、届く!


「育ててくれた義母さんに!」


 不可避だった一閃を絡めとり、その神業を倍にしてお返しする。


 無限流/刃奥義ノ肆/布刀玉-八十玉籤――!

 

 死線を潜り抜けて与えたのは秒で治るかすり傷だけ。まだやれるまだやれる!頑張れ俺!マジ頑張れ俺!


「俺の帰りを待ち続けてくれた真理に」


 俺の言葉をかき消すような魔力砲が多々大量に撃ち放たれ、ありったけの木札を大安売りバーゲンセールの如く全力で使って音速を越えに越えて異空間と化している大魔王の空を舞う。


「ううん、それだけじゃあない。俺は沢山の愛に救われ、護られて来たんだ――!」


 もう木札すらいらない。契約を介してウインディアさんが思い切りよく風を巻き起こし、自由落下していく俺の背をぐぐんと押してくれる。音速なんて優に超え、俺の全力だった韋駄天の速度をも超えた神速。最早俺自身認知すらできていない。それでも体が動いた。



 ――無限流/刃/奥義ノ壱/武御雷-布都御魂!



「そして、サクラちゃんは今の俺の全部を受け止めてくれた。愛していると言ってくれた。俺の愛を受け止めてくれた。だから――負けない。ラオグラフィア、お前は俺たちの愛に勝てるモノか――!!!」

 

 無限なる刃の究極にして至高の一撃は魔神ラオグラフィアの魔力障壁を易々と切り裂き、ようやっと――ラオグラフィアは自らの手に持つ刃で俺の一撃を受け止めるに至ったのだった。


「それがどうしたのです!愛、愛、愛、愛、愛!!あなたの求めるモノは私の中にもあると言うのに!」

「断じて違う!貴様の押しつけがましい恩讐など愛であってなるものか!」


 次元の刃にて斬り払われ、ついでにと俺の頭が割られて死んだ。


 ああ、だがまだだ!今度は背後に復活し、刃にフレアの力を借りた炎を巡らせ、振り返りざまにその胸に向けて一閃を撃ち放つは無限流/刃/奥義ノ参/加具土命-焱産霊(ほむすび)!体をひねらせ躱したラオグラフィアであったが障壁を焼き切った刃はついぞ、ラオグラフィアの腕を斬り飛ばした。


「愛とは誰かに押し付けるモノでも、誰かに認められなければならないモノでもない」


 即座に腕を再生させる間にあふれ出ていた俺の血を繰って地面に足を縫い留める。やっと使える水ができたんだよ!


「――!?」

「愛とは真心だ。見返りを、施しを求めるモノじゃあない!」


 怒気を含ませて振り下ろすラオグラフィアの刃を無限流/無手/穿にて弾き飛ばし、その喉元へ聖剣を付きつける――が、唐突に現れた魔力の塊がビームのように解き放たれ、上半身が消し飛んでしまった。


「そんなもので!」

「――神の座に胡坐をかいたお前にはわからんだろう、な!」


 復活と同時にくるんくるんと勢いを加えた無限流/無手/奥義ノ陸/哪吒-阿羅漢にてその頭蓋を踵で蹴り落とす!


「が、あ!」

「俺は、みんなから愛を沢山もらっている」


 地面へ着地と同時にふらつくラオグラフィアの首めがけ聖剣を振う。が、火花が散っていつの間にか手に戻って来ていた常闇の剣で受け止められる。


「ああそうだ。沢山、沢山もらった、ぅん!」


 瞬間、どこかに大量に魔力が持っていかれてふらついたところを顔面に刃を入れられて即死した。


「まぁ、うん、たまにこういう事もあるけれど!」


 ウインディアさんタイミング選んで!と言ったらなんだかすっごく謝られてしまった。今度逢った時に紅茶をとお茶請けのケーキをおごってもらう事でチャラと言う事にしておこう!


「ともかく、俺は沢山沢山愛を貰って来たんだ」


 ここまでたどり着くのに色んなことがあった。出逢いがあった。別れもあった。けれどもそこには愛が必ずあったのだ。誰かを愛する心が、気持ちが無ければ俺はここに立ってはいない。


 聖剣を振りかざし全霊を込めてもう一度己が凡てを解き放つ。



 ――無限流/刃/奥義ノ壱/武御雷-布都御魂!



 先ほどは受け止めることしかできなかった収束魔力砲を今度は切り裂いて見せる。

 

「だから――これは愛の力だ」

「そんな、馬鹿な話が――!」

「ある!」


 土煙の上がる中を瞬く間も無く突き抜けて、その眼前へと迫る。


「っ――!」


 漆黒の剣を慌てて振るおうとするも、その腕にはどこからか飛んできた鼓草が突き刺さり、はじけ飛ぶ。ああ、愛してるぜ鼓草!


「これは、俺の――俺たちの!!!サクラちゃんへの愛だああああああああああああ!!!!!!」


 俺だけでは届かなかった一撃。


 (フレア)と、(シルヴィア)と、(ビオラちゃん)と、(伊代ちゃん)と、(鼓草に聖剣)と、俺と――人々と魔王たちと勇者たちと神々をも巻き込んで、この世界にいる俺の知るみんなの力を借りた技!





――無 限 流 / 神 業 踏 破(かみわざとうは) /奥 義 終 局 / 木 櫻 之 佐 久 夜 - 伍 天 開 花(ごてんかいか) !!!


 それは神の御業を超える一撃。木櫻之佐久夜は目の前の事象を己が描く事象へと切り換える技。


――だが神であるこいつには俺だけでは届かなかった。みんなから分けてもらった少しずつの力でバフを、掛ける五倍ではなく五乗にして撃ち貫いたという訳である。反動も半端ないんだけどね!聖鎧の隙間から血がだくだくと流れ出る。そのうちに聖鎧の効果で治るだろうけれど、しばらくは動かないかもしれない。


「――未来は、変えられませんでしたね。ああ真人、お前は愛する人を――殺したのです」


 胸を貫かれたラオグラフィアがニヤリと笑う。ああ、こいつは何もわかっちゃあいない。


「――救ったのさ。だって俺は……サクラちゃんの勇者なんだから」


 ラオグラフィアの――サクラちゃんの胸から背へと貫いた聖剣を振り払うと、巨大な魔神の魔石がはじき出され、それと同時に倒れる彼女を抱きとめた。


 ボロボロの衣装に包まれたサクラちゃんの髪は俺の放った一撃の影響で美しい銀色から黒く染まっていく。


 でも、生きてる。息をしている!俺の最後の賭けは――ここに成就したのだった。

今日も今日とてとってもとっても遅くなりまs( ˘ω˘)スヤァ

2020/11/30 文が一部抜けていたのと書き足りていなかったので修正と追記をしておりますOTL

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