表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
542/554

25話:誰かを愛していると叫ぶのは見栄も恥じらいもかなぐり捨ててて全力で叫ぶ方が男として格好いい気がするよね?






























「――は?」


 次に目を見開いた瞬間、先ほどの戦いでボロボロになった大魔王の間にいた。

 ……――死んだ?何を、どうされて?俺は、どうしてなぜ死んだ……?


「簡単な話です。貴方の首を撥ねました」

「――!」


 気づけば砕けかけた玉座にサクラちゃんが――ラオグラフィアが腰かけて座っていた。……色は黒か


 幻覚でも、幻影でもない。そもそもそんなモノ、俺に効く訳が無い。ならば、俺は確実に殺されたと言う事。うっわありえねー……。知覚外の攻撃とかも対応できるはずなのに、それを上回って来るとかヤバすぎるんだけど!


「わかりましたか真人さん。貴方では私には勝てません」


 ニッコリとサクラちゃんの顔でラオグラフィアがほほ笑む。



――ああ、なるほど。勝てるヴィジョンとやらが全く見えない。



 切りかかれば首を跳ねられ、殴り掛かれば臓物を抉られる。木札を斬って炎を放てばそのままに返され、風を吹かせてもそよ風ほどにしか感じないだろう。大地を揺らしたところでサクラちゃんのたわわな胸が揺れるくらいだ。……コホン。そして水は……うん、水が多少なりともあればもう少し頑張れる気がするけれど、残念ながらこのあたり一帯の水は目の前のラオグラフィアに抑えられてしまっている。


 ……はは、これはどう考えても詰みと言う奴だろう。どう足掻いても勝てない。どう頑張っても死ぬ。今の俺ではどう考えを巡らせても勝つ道が見つからない。


「どうやら……理解していただけたようですね」


 玉座から立ち上がったラオグラフィアが俺に向けて手を差し伸べる。


「さぁ、真人さん。どうぞ――私の中に。私と一つになりましょう。一つになれば永遠に永劫に。世界が幾度滅びても。世界をいくら滅ぼしても。ずっとずっと一緒に居られますよ?――あなたの愛するサクラ(この私)と。ええ、もちろんあなたの愛する人たちも一緒です。すべて私の中へ還るのですから。何の苦しみも、痛みも、飢えも、悲しみもありません。それはとても幸せな事でしょう?」


 確かに。なんて魅力的なのだろうか。凡ての苦痛が取り去られた世界。それもみんなも一緒に行けるだなんて、理想郷と言わずしてなんなのだろうか――。


「ほら、真人さん。手を。これでずっと――」





「いいや、お断りだ」


――瞬間俺の首が飛んで死んだ。


「真人さん、手を」

「いやだ」


 真っ二つに切り裂かれて死んだ。


「真人さん」

「べーだ」


 反応するまでも無く黒い炎が俺の体を焼き尽くされて死んだ。


「……まだ言うの?」

「ああ、言うさ。なんどでも」


 鎧の兜ごと頭蓋を砕かれて死んだ。


「断る」


 死んだ。


「やだ」


 死んだ。


「やだって」


 死んだ。


「俺に質問するn」


 死んだ。いや最後まで言わせてほしいな!


 何度も何度も問答を繰り返し、幾度も幾度も殺された。これ大魔王に殺された記録を軽く越えてる気がするよ!


「それなら何度も問いかけてあげましょう。ふふふ、けれどもう幾ばくも時間はありませんよ?ほら、地鳴りが始まりました。さぁ、さぁ、答えを――」

「分かっているんだろう。何度問われても答えは同じさ。絶対にお前と一つになんかなるモノか」


 何とか、ふらりと立ち上がる。何度も何度も殺されたせいか体の中の感覚がぐちゃぐちゃになっていてまともに目も見えやしない。ガンガンと耳鳴りがして、正直なところ立っているだけでやっとこさと言う所だろう。


――だが、だけれども、それでも俺は勝つのだ。


「まだ、俺は折れていないぞ」

「でもそれだけです」


 また、死んだ。今度は何をされたのかもわからなかった。


「貴方は私に勝てない」

「知っている」


 死んだ。また何をされたのか分からない。


「それでもまだあきらめないのですか?」


 死んだ。まだわからない。


「諦めない」


 死んだ。


「狂っていますね」


 死んだ。


「そうさ」


 死んだ。


「そうさ」


 死んだ。


 死んだ。


 死んだ。


 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。

 死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。













「ああ、分かっている。俺は最初から狂っていた」

「――!?」


 そして、ようやっと受け止めた。


「まぐれですね。また死んでください」


 ラオグラフィアの振るう俺は不可避の斬撃を、聖剣で()()()()斬り払う。


――神域に至る一撃。


 時空斬とでも言われるものなのだろう。


 そんなもの人間に知覚などできる筈も無い。聖鎧のその中を昇順に時空を超えて斬撃を加えていたのだ。んなもん気付けるかい!というか避けれるかい!


 だけど、何度も何度も死んで、ようやっと体が動いた。――動いて、くれた。


 時空の刃の切っ先を聖剣の一振りにて切り裂いた。理屈も何もわからない。けれど、どうすればそうなるかは――うん、大体わかった!


「……そうだ。狂って、壊れていた。いや、今だって壊れたまま。何せ――死を()()()()恐れてはいなかったのだから」


 だから、何度殺されても平然とできた。だから、誰かに殺されても赦せていた。俺は……人間として壊れてる。


「ならば何故、生きようとするのです」


 ラオグラフィアが再び刃を振い、それをまた斬り払う。何故、か……。その答えなら――もう目の前にある!


「決まってるだろうがああああああああああ!俺が、サクラちゃんを!!愛 し て い る か ら だあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


 勢いのままにくるんと、刃を翻し。俺は初めてラオグラフィアにその切っ先を届かせることができたのだった。

今日も今日とてとってもとっても遅くなりまs( ˘ω˘)スヤァ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ