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20話:深夜に炭水化物は大敵だと分かっていても〆のラーメンは背徳の美味しさだよね?

 砕け散った鎧は灰と消え、スポーティーな下着姿のアリステラさんがその場に崩れ落ちる。


 ――できた。できている。


 完全では無いけれど、鼓草が聖剣と同じく俺の望むモノを斬る能力をその身に宿し始めている。


『まだまだ甘い』『主の技量が無ければまだまだ』『むむむ……』


 頭の中でまた三つの声が響く。俺の武装さんたち普通に話してるんだけど、どういう事なんだろうね。聖剣は元からとして、聖鎧もまぁいい。もしかしなくても鼓草さんが普通に話しだしているんだよ!

 今までも鍔を鳴らして自分の意思をそっと示してくれることはあってもここまで声が聞こえるとは思いもしなかった。これもまた聖剣の力を学んだ結果なのだろうか?こういう時はサクラちゃんとかサテラさんに見解を聞きたいところだけど、今回は諦めるとしよう。


「ははは!大魔王をここで越えてくるか!いや、お前を侮っていたわけでは無いんだ。だが、よもやこの短期間でこれほどまでに成長を遂げるとは。コレだから勇者と言うものは度し難い」


 パチパチと楽し気に拍手を送りながらアルフレッドが階段から重い腰を上げる。


「そこを通してもらう」

「んん、お断りだ。我が神がこの先で本来の体をよび起している最中でね。ほら、君も目覚めたときに見たくも無い人の顔を見るのは嫌だろう?だからご遠慮していただきたいのはこちらの方なんだ」


 闇炎が燃える剣を振りぬいたアルフレッドが俺に刃を向ける。


「ここは絶対に通さんぞ、勇者」

「いいや、押し通る――!」


 動いたのは同時だった。刃と刃が重なり合い、火花を散らして散らしに散らす。人を小馬鹿にした態度とは裏腹に透き通るような剣技だ。なんて技量、なんて圧力!


「当たり前だ。俺が何代俺だったと思う?はは、そこの出来損ないとはわけが違うぞ」


 鍔迫り合いから弾かれた瞬間、俺のいる位置を狙って昏き闇の炎が熱線となって飛来し、氷の地面を焼き溶かし、ついでにとばかりに壁をも焼き溶かす。うへへ、これ(かす)るだけでも死ぬ奴だ!ヤベーイ!


 ぞっとする気持ちを抑えつつ、足を止めずに風を纏って二刃を振るう。


――無限流/二刃/奥義ノ壱/阿修羅(あしゅら)-羅睺(ラゴウ)


 究極までに練り上げられた超高速乱撃に風の刃を混ぜ乗せて解き放つ。


「ははは!楽しいなぁ!楽しいねぇ!」


 対するアルフレッドも炎の刃を地面からマシンガンの如く繰り出して俺のその乱撃と風の刃のその凡て叩き落す。銃の速度をも数段上回る剣戟なんだけどな、この技!


「俺は楽しくない、クソッタレめ何でお前みたいなやつが魔神に与してやがる!」

「そうなるように生み出されたからだ。それ以外に理由なんてもう、無い」


 炎を散らし、風を散らし、雷撃をも散らされた。ええい、水が足りん!水を操りたくても呼び寄せる最中に泥に飲まれて、多少ある水分は周りの魔氷に飲まれて、氷となって吸われていく。

 今更だけど、俺メタられてないかな!マジ辛いんだけど!


「偶然――いや、これもまた天恵なのだよ。この氷も魔王オウカのモノなのだろう?ならばこれは魔神様が生み出したものと同然。即ち、俺への天恵と言うわけだ」

「――は、はは。面白い事を言うじゃあないか、アルフレッドくん」


 ビキビキと頭に血が上るのを感じる。え、何?こいつ、サクラちゃんが一生懸命頑張って作ったこの氷の地下迷宮を自分の為にと言ったのかな?言ったな……?


「ぶっ殺っ――!!」

「やってみろよぉ!」


 幾重もの剣戟が爆風となって氷の地面を砕き、衝撃波で壁に幾つもの傷を作る。天井何てすでに砕けて落ちている。それでもその周囲ごと切り裂いて、目の前のこいつを只殺すために全力を尽くす。こいつだけは絶対に殺す。何があっても殺す。というか、殺すッッ!!!


「殺意高いなぁ!あはははは!楽しい!楽しいぞ水無瀬真人!俺をここまで楽しませた男はお前が初めてだ!」

「言ってろクソ野郎!」


 聖剣と鼓草でアルフレッドの炎の剣をクルンとからめとって地面に突き刺し、そのまま前進して己が全力をその顔面にプレゼントして差し上げる。


 無限流/無手/奥義の弐/摩利支天(ましりてん)-阿羅漢(あらかん)


 その顔面を突き抜けた俺の掌にはアルフレッドの頭蓋が握りしめられていた――筈だった。

 けれども、握っていた頭蓋は砕けて砂となり、目の前のアルフレッドの肉体をもボロりと砕けてしまった。


「はは、ははははは!死んだぞ!この俺が殺された!やはりお前は素晴らしい!!我が宿敵にふさわしいと言える!」


 そう笑い声を上げたのは――アリステラさんだった。

 頭には真っ黒な王冠がその頭に乗り、その身には黒い泥から生み出された少し露出度高めの鎧を身に纏っていた。目のやりどころに困るんですけど!


「――それで、何でお前がアリステラさんに乗り移っている」

「だから言っただろう。一心同体だと。こいつを殺していないお前がぁ悪い」


 アリステラさんを乗っ取ったアルフレッドは再びその手に黒い炎の剣を生み出す。……何だかさっきよりも密度が上がっている気がするのは気のせいだろうか?どう見ても、明らかにヤバい雰囲気がする。


「分かたれた力が一つに戻ったのだ。こうなる事も必然だろう?」


 ニヤニヤとアリステラさんならばしない下劣な表情でアルフレッドが笑う。


「さぁ、今度は殺せるかな?優しい優しい勇者様?」


――心の奥底からちりちりと燃えるような怒りを感じる。


 こいつは今、サクラちゃんを乗っ取った魔神と完全とはいえないまでも同じことをしている訳だ。


「……いいだろう。俺のできうる限りの力で()()を殺そう」


 地面に突き刺していたジ・アンサーと鼓草を抜いて再びその二刃を構える。


「さぁ、実験を始めようか――!」


 ガタガタゴットンズッタンズタン!って感じにね!……本当にどうしようかな。うん、ヤベーイ!!

今日も今日とて遅くなりまs( ˘ω˘)スヤァ

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