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閑話:
俺はまた誰かに届かぬ手を伸ばす。
――何故、俺が勇者教総本山ヴァルハラではなく大魔王城に召喚されたのか。
――何故、俺が他の場所でセーブができなかったのか。
――何故、俺が勇者として何もチートを持たされていなかったのか。
すべてはここに帰結する。
そう、これは始まりでは無く、終わりから始まった物語。
――だからどうしたと俺は手を伸ばす。
誰かはずっとそこにいて、ずっと俺を導いてくれていた。
いずれ誰かが辿り着く終着点から、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと。
――それでもと俺は手を伸ばす。
今の俺では決して届かぬ領域に。
いつか必ず俺がたどり着くと、いつか必ず迎えに行くと。
夢物語を言葉に紡いで――俺はその瞳を閉じた。
これは終わりへ向かうための物語。
――結末は、必ず訪れる。
11話は本日中に投下予定です。
のんびりーと待っていただければ幸いd( ˘ω˘)スヤァ