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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第九章:白銀の煌めきと勇者な執事。いいえ、光る蕎麦はありません!
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26話:観光地なんかによくあったブランド品のパチものってそれはそれで買って楽しいものだよね?

 巨大な剣が四方に向かって降り注ぐ。俺を含んでみんなは軽くそれを往なして反撃を試みる――けどここ狭すぎるよ!


 だから俺が真っ先に動く。


 無限流/刃/御雷(みかづち)


 が、その一撃は真正面から受け止められる。


「くかか、これが無限流。なるほど技のみでチートに勝るとも劣らぬとはなぁ」

「何故――俺の腕?」

「ああ、だから貴様の腕から貴様の技をコピーしたぁ。恭司が取り込んだチート、複製でなぁ!」


 くるんとタメを込めてグラトニウスは出現させた剣を振るうは無限流/刃/玉!なるほど確かに俺の技だ。

 だけど、やはりコピーはコピー。細部に劣化が見える――が。同じ技を振るったところで相殺にしかできない。って、なるほどなー。今の俺の腕は現在水と血をまぜこぜにして無理やりに腕にした模造品。実際の腕のように細かい調整ができていない。だから、目の前の模造品と同程度に俺の技も落ちている。これはまた、困ったものだ!


『真人、加勢はいるか?』

「いいや、いらない。他人から奪ったモノばかりのコイツにゃ今の俺で充分さ」


 シルヴィアのヤレヤレと言う言葉を聞き流してジ・アンサーを構える。ならば今の腕になれてしまえばいいだけだ。こういう場面が今までに無かったわけじゃあない。腕なんてよくとれるものだよ!


「真人さん、腕は普通よく取れないと思います」


 そうだね!ビオラちゃんの言う通りかもね!けれど俺の腕さえなければ倒せると踏んだ連中が切り落としにかかって来た事が何度もあったのは事実だ。そのたびに腕が無くても戦えると言う事を見せてやるのだ。


「何だ――水?」


 外に設置してあった噴水から拝借したからそこそこしか無いけれど、今のコイツであればそれで十分だ


 聖剣を抱えてグラトニウスの放つ数多の魔法弾と降り注ぐ大剣を切り伏せる。ああもう数放てばいいってもんじゃあ無いんだぞ!


 ――無限流/刃/嵐!


 有象無象を瞬時にざんざんばらりと乱切りにして、その先にいるグラトニウスをも斬りつけた。……っ。浅いか!


「ぐむ!やはりコピー品はコピー品、か。だが、この程度ならば――」


 グチグチと音を立て、グラトニウスの肉体が再生をしていく。ふむ……自動回復のチートかな?うへぇ、気味が悪い!だからお水で流して差し上げることにする。


 空中で付与付与と浮いていた大きな水の塊が勢いよく細い線となって噴出する。幾重にもグラトニウスの体に切れ目が入り、そのままばらばらと崩れて落ちた。


「これ死ぬな。尤も……この石が無ければ、だが」

「なっ――」


 手に持った石が光輝くと瞬く間に砕けた肉片が繋がり合って元の綺麗な状態へと戻ってしまった。グラトニウスが持っているのは青色をした勇者結晶。あんなもの、いつの間に……?


「なに、そこに丁度いいのが転がっていたのでな。少々拝借させてもらったのだよ」


 ニヤニヤとしながらグラトニウスはその指輪をはめ込む。この場に居て、あれ程の回復のチートを持っていたのは……。


「勇者、周防……!」

「御明察だ。流石は十勇者。良いチートを持っている。まぁ、実際にチートを奪うのはお前を殺し、聖剣を奪った後にでもさせてもらうとしよう」


 ふははは!と楽しそうにグラトニウスは笑う。なるほど、あの石は保持できるチート以上の数のチートが欲しかったから生み出したモノだろう。なるほど、強欲だ……。


 けれど、そのチートに巻き込まれる方は溜まったモノじゃあない。周防さんも美人で可愛かったのに肉体ごとあの石に封印されたらしい。ううん、もったいない!というか、よく見たら柱の陰に服と下着だけ散らばってるし……なるほど、水色か……。あ、いえ、何でもありません!見てないよ!見てません!くぅ、妻たちとナナちゃんの視線が痛い!はい、ありがとうございます!


「今のままですらお前に勝てないのが少々腹立たしいが――まぁ、この程度のチートの寄せ集めではアレに勝つには足りぬと言う事なのだろう」


 グラトニウスが手を合わせると地面に描かれていた魔法陣が起動する。恐らくはこの仕掛けは元々ここに施されていたモノなのだろう。あれ?でも、この感じつい最近感じたことがあるような……?


「真人さん、これ!魔法学園の時の魔力の流れに似ています!!」

「!まさか――プラトニアス!?……待て、核はどうなる?」


 ビオラちゃんの悲鳴のような声にハッとする。


 あの事件の後、ビアス先生協力のもと地下の遺構で焼け残った資料をかき集めて調査が行われた。

 プラトニアスとは魔石との融和性の高い生物が地脈と繋がる事により、ダンジョンマスターとなり得る――とあった。


 そう、目の前に魔王の魔石と完全に融合している勇者が……いる。


「そう、この私だぁ。私がダンジョンマスターとなり、私の魔石の欠片を埋め込まれたプラントたちは私の子機となる。どういう意味かは、分かるよなぁ?」


 魔石と融和性が高い人間……つまり、地下にいる数百人もいる捕らえられた勇者たち全てが目の前のこの勇魔王グラトニウスの子機プラントとなると言う事だ。


 うん、これはもうよく考えなくてもやばい事になるんだよ!


 グッと地面を踏み込み、目の前のグラトニウスに斬りかかって、斬り裂いて、細切れにしてしまう。けれど、何度斬っても瞬時に回復してしまった。げ、自動回復の速度がぐぐんと上がってないかな!?


「ああ、魔力が満ち満ちる。さぁ、我が子たちよ今こそ目覚めの時だ!」


 地面がぐらりと揺れて、魔法学園に出た奴に比べると小さなプラトニアス達が石畳の床を突き破って溢れ出し、そのまま空へと飛び上がって行く。小さいとはいえ一体一体は三メートルほど。そんなのが数百も外に溢れ出している。

 やばい、マジでヤバイ。アレが全部プラントなのだとすれば一体一体が総て魔物を呼び出すことができると言う事だ。


「さぁ、謝肉祭(カーニバル)の始まりだ。この聖都にいる勇者たちの、全てのチートを――もらい受ける」


 寄り魔物に近くになった様相のグラトニウスが右手を掲げると魔力が更に集い、今度は魔物が溢れ出してくる。以前魔獣プラトニアスが喚び出したという三つ首の黄色魔石の巨大魔竜まで数体いるのはやめて欲しいな!


『真人、外の魔物たちはボク達で抑えよう』

「頑張って――きます」


 ばさりと翼をはためかせ風を巻き起こして伊代ちゃんをのせたシルヴィアが天井を突き破って外へと飛び立つ。外にもユウシャ達がいるし、俺の分身をこっそりと乗せておいたから何とかなると信じておこう。うん、流石シルヴィア!速いな!


『真人、己も外が良い。代わりにコレ、おいてく』

「あー!」


 コレと言って放り投げられたのは幼女姿の公くんだった。正直助かるぅ!


「んもう、扱いが雑っすよー」

『己の頭でずっと寝てたのが何言ってる』


 石畳に打ち付けた頭をさすりつつ、公くんがてへ☆っと可愛い顔で舌を出している。てへぺろなんてどこで覚えたの!と言うか誰が教えたのかな!……はっまさか真理が!?後で問い詰めないと!


「真人さん、回復は任せてください。私が――何とかして見せます!」

「頼りにしてるよ、ビオラちゃん」


 ああもう本当に頼りになる奥さんたちだよ!


「話は済んだかぁ?さぁて、その聖剣をぉ――さっさと寄越せぇ!」

「え、普通に嫌」


 飛び立つフレアを見送って、素直に答えたついでに聖剣をその気に入らない顔面にぶん投げる。グラトニウスは受け止めようとしたらしいが、その手すら切り裂いて頭を貫き、砕く。しかし、それすらも瞬く間に回復してしまった。普通なら再生できない筈なんだけどな!どうやらアレを倒すには魔石を砕くしかないらしい。らしいけど、その程度で終わらなさそうで何だか怖い。こういう予感って俺大体当たるしね……。


「地脈と繋がった私を殺すことは今の君にはできぬよ。あの技も――今の状態では放てぬだろう?」

「さぁてね」


 ケンプと繋がっていたと言う事は、あの時俺が最後に放った奥義終局/百櫻繚乱の事も当然知っているのだろう。ああ、その通り。今のこの腕の状態で放てる自信はあまりない。今でさえ霊力と魔力を消費しまくっていて、正直手の形を頑張って保っている状態だったりする。それになんだか普段よりも水の精霊さんが冷たい気がしないでもない。うん、まぁ理由は大体察しているんだけどね!


「水無瀬真人――君とその妻たちを私のコレクションに加えてやろう。なに、永遠にそばに居させてやろう。尤も触れることも叶わないだろうがなぁ!」


 うん、こんなにお断りしたい気持ちは――あれ、最近割と多いぞ!困ったものだな!

今日も今日とてとってもとっても遅くなりまs( ˘ω˘)スヤァ

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