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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第九章:白銀の煌めきと勇者な執事。いいえ、光る蕎麦はありません!
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18話:電話会議ってカメラに映る場所だけ気にすればいいから下半身は油断しがちなモノだよね?

 はじめてのおつかい。

 そう、何だか聞きなれた音楽を想像しながらも俺の財布をもってとててと小さな足で走る小さい女の子をそっと追いかける。彼女の名前は公くん、ご存じ白ネズミ系魔王クラス美幼女である。


 彼女が何故お使いに出ているのかというと、そろそろ話すことも無くなっている筈なのにダラダラと続く本日深夜の襲撃作戦の会議中、ひっそりと分身で秘密のお茶会としゃれ込んでいたら相手がお金も払わずに立ち去ってしまったからだ。もちろん、自分が払う分は持って行ってはいたんだけどね!


 教会の中、ネズミ姿で現れた公くんに小袋に居れたお金を預けて、分身の俺のところまでお使いを頼んだという訳なのだ。


 とはいえ、初めての町でのお使い。ちょっと心配になって、偵察に出していた別の分身で尾行をすることにしたわけである。ネズミ姿で行けばいいのになんで人型の姿になった理由はといえば、どうやら彼女は人の姿にちょっとした憧れがあるからとの事だった。


 公くん曰く、俺が身の丈を超える魔物たちを一対多々数で圧倒している姿に感銘を受けたのだそうだ。つまるとこ、無限流を使いこなしてみたい!と何かにつけて戦い方を教わろうとしてくるのだ。


「お願いっす兄貴!オイラ強くなりたいんす!姉さんや兄貴のお役に立つ為にも!なにとぞご教授を賜りたいっす!!」


 と、プルプルルンとたわわな果実をグイと両腕で挟み込みながら言ってくるのだ。そんな、柔らかな胸――基、まっすぐな眼差しで言われてしまえば、教えざるを得ないのが俺の性である。決して邪な考えはない。無いから踏んだ足をぐりぐりとしないで欲しいな!真理さん?本当に聞いてますか?聞いて?!


 人の姿になっているとはい大きな白いネズ耳はそのままなので、変な輩が物陰からヌッと現れて麻袋に突っ込もうとしたり、後ろから羽交い締めにしようとしたり、勇敢にもその場で押し倒そうとしてきた男たちがいたけれど、軽ーくひと撫でされてすり潰されたり燃やされたり切り落とされたりしていた。男として、見ていてヒュン!となったのはここだけの話である。





「――と、いう訳だ。後は各々のパーティーで話し合って役割を決めてくれ」 


 何だかとっても疲れたような表情での勇者が言ったところで会議はそれぞれの班に分かれることになった。このまま一同で話をしても纏まらないと判断したのだろう。うん、そうだね。冒険者の皆さんがかなり報酬に関して文句言ってたし、分けて話した方が話が進みそうだもんね!はぁ、何だか俺まで疲れて来たんだよ。


「気の抜けた顔してんなぁ。まったく反勇者教如きにそもそも作戦なんていらねーんだよ。こう、バーッと言ってガーっと戦って、ガツンと倒しちまえばいいっつーことなんだからな!」


 ふんす、と鼻息荒く同じ班になった百瀬の兄ちゃんが言う。まぁ、確かにその通りなんだけど、倒せばいいという訳じゃないって話は聞いてたかな?と横を見ると兄ちゃんは首をかしげていた。……何だかとっても不安になって来たぞう!


「本当に申し訳ない。モモのバカは何年たっても馬鹿なんです。最早バカの化身。馬鹿という存在そのものと言っていいほどでね」

「おい、こら、カメ!お前なぁ、言っていい事と悪い事があるだろ!誰がバカの化身だ!馬鹿っていう奴がバカなんだぞ!」

「はいはい馬鹿さんは黙っていましょうね」

「だから、この……」


 ぐぬぬと武甕さんに百瀬の兄ちゃんが拳を振り上げた状態でぷるぷるとしている。ううん、仲が良いのか悪いのか……。


「相手の構成人数はこちらよりも多いみたいだし、計画的に戦っていかないと散り散りに逃げられて、今回の殲滅と言う目標を果たせなくなる可能性がありますね」

「確かにその通りです。闇夜に紛れて一人ずつと言うのが確実でしょうけど、それだと朝まであっても時間が足りなすぎます」

「というよりも、絶対にこいつが我慢できずに叫び出すと思うのよね……」


 ジトな視線で武甕さんが百瀬の兄ちゃんを睨む。

 ああ……うん。確かにうえははは!俺が最強だー!的な事を叫び出しながら建物を粉砕しつつ大暴れしそうなイメージではある、かな……。


「はは、短い間なのにモモの事をよく見ていますね。なるほど、教皇様がお認めになられるわけです」


 ニッコリと楽し気に織姫さんがほほ笑む。その後ろで百瀬の兄ちゃんが修羅の如き形相で睨んでいた。怖いからやめて欲しいな!


「だけど、そのシャングリラとかいう組織を潰すのが俺らとお二人だけじゃ流石に少なすぎないかな?」

「なら私がこちらに加わわるわ」


 やって来たのは十勇者が一人、法の勇者である富益レキだった。長いローブを身に纏い、フードを目深めに被る彼女は法――つまるところ、攻撃魔法全般においてあのアリアちゃんをも上回る力を持っていると言われているのだ。まぁ、見た目的にもごく一部の所も似ている気がするけれど――うん、真理さん?踵!かかとで踏みつけないで!だから痛いって!


「ふうん……兄妹?」

「……似たようなモノ、かな?」


 正確に言ってしまえば従妹であり、義妹であるのが真理だ。今の俺はピーターであるからして、設定上は記憶喪失であるのでこの答えが正しいのだと思う。だけど、真理にはそんなに寂しそうな顔はしないで欲しかった。しかたない、後でめいっぱい頭を撫でてあげるとしよう。


「まぁ、レキが加わってくれるなら心強いですね。スミレさんたちのパーティーの中には獣人に魔法使いもいるとの事でしたが、後衛の火力がもう少し欲しいところでしたから」

「織姫は嬉しい事を言ってくれる。分かった、このお兄さんのことも気に入ったし、頑張る」


 うんうんと頷く様子は見えるけれど、フードのせいでどうにも表情が読めない。折角パーティーを組むのだし、顔くらい見たいんだけどな!


「……ダメ。私は――醜い、から」


 そう言うと、また目深めにレキちゃんはフードをグッと両手で引き下げる。そこまでして見せたくないのなら、無理に見せて欲しいというのは諦める事にする。


「ともあれ、後の細かい話は外に出てからにしましょう。襲撃開始の時間さえ合わせれば他のパーティーに迷惑も掛からないと思いますので。ああ、スミレさん。他のパーティーメンバーも呼んできてくださいね?目通ししておかなければ間違って攻撃してしまうなんてことになれば大変ですから」

「かしこまりました。ピーターさん、お願いしますね」


 ビオラちゃんにお願いされてしまった――。と、可愛らしい俺の嫁さんの笑顔を心の写真に収めて、俺は一路、ホテルへと行くことにしたのだった。





 一方、公くんは未知に迷いに迷った挙句、ついて来ていた俺の分身にヘルプを求めて喫茶店へと向かったのは公くんの名誉のためにも言わないでおいてあげよう。

今日も今日とてとってもとっても遅くなり申し訳ございm( ˘ω˘)スヤァ

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