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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第九章:白銀の煌めきと勇者な執事。いいえ、光る蕎麦はありません!
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17話:デートの時は男がお金を出すのは変えられない運命というモノだよね?

 クエストの開始時刻は本日深夜、月が真上に上ったころからだ。

 皆が眠りについた頃合いを見計らって、暗闇に紛れて夜襲をかけてしまうつもりだとの事だった。


 だが――この情報は漏れている。


 と言うか絶賛俺が漏らしてるところだし?うん、駄々洩れだな!


「――こちらが掴んでいる情報と同じですね。なるほど、あなた以外にも参加している者たちで離反者がいるようね」


 とあるさびれたカフェテラス。待ち合わせに指定されたからやって来たけれど、黒縁メガネをかけているからって変装になってないですよ?と目の前の席に座るクロエさんをじっと見る。……うん、この紅茶あんまりおいしく無いんだよ。を飲みなれてるせいかなぁ。


「仮面だけで変装だと思っているあなたと同じだよ?」

「そうです?そ、そうですか?」


 ううん、十二分にわからないと思うんだけどなぁ。ほら、俺ってば忍者だし影に生きる男だし?目立たなくてなんぼなんだよ!


「どう考えても仮面のせいで注目を浴びて目立ってる、というのは今更何だろね……。このメガネには君の仮面と同じく認識阻害の魔法がかかっているモノなんだ。だから、これをかけている限りは私が正しい認識を持って欲しい人以外には私が(クロエ)だとは分からないのさ」


 なるほど、それならば安心だ。そもそも、彼女は魔法学園長のアリアちゃんや大賢者である菜乃花さんと友達なのだ。だとするならば、彼女の信頼のおける魔道具もそれなりの力があると言う事だし、早々に俺らの密会がバレると言う事も無いだろう。


「さて、情報には対価が必要だ。我らが組織存亡にかかわる情報だ、それなりの対価でなければなるまい」

「お金ならいりませんが?」

「情報には情報だ。今の君には喉から手が出るほど欲しいものだと思うけど?」


 ニヤリと笑うクロエさんを思わずジトと睨んでしまう。この人、俺の探し物を知っていて割と足元を見てる気がする。ああでも逆らえない!情報欲しいし!あとその長い脚で踏んでくださ――あ、痛い!何で本体の俺の足を真理が踏んでるのかな!変なところで第六感を覚えないで!?


「――君の探し物の一つは私たちのギルドが確保している」

「それはどちらの方ですか?」

「君が一番探し求めてやまない方さ。ああ、安心してくれたまえ。私らの切り札でもあるからね。丁重に取り扱わせていただいているよ」


 紅茶をグイと飲み干して、大きく息を吐く。

 回りくどい言い方しているけれど、間違いない。クロエさんはサクラちゃんを――ナナちゃんを確保している。


「その話、昨日聞いておきたかったんですけど?」

「昨日話していたら君は私に斬りかかっていただろう?」

「……そこはご想像にお任せします」


 ふふ、バレテーラ……。

 俺がサクラちゃんを見つけることができなかった原因が、目の前の彼女が先に確保してしまっていたからだとしたならば、細かい話を聞く前に抵抗ができないようにしてしまっていただろう。……ここだけ聞くと危険人物だな、俺!


「で、サクラちゃん達の居場所は教えてもらえないのかな?」

「ふふ、その目。それが君の本性という訳か」


 ううん、人聞きが悪い事を言うなぁ。本性も何もこんなにもさらけ出してるって言うのに。こんなにも明け透けに自分を見せてる人なんていないと思うんだよ!


「そうかな?君ほどの傑物があんな風に飄々とした話し方をする理由なんて、本当の自分を他人に見せないようにするための仮面(ペルソナ)でしかありえない。今君が付けている仮面のように……ね?」


――ああ本当に怖い人だ。この人、菜乃花さんが話していなくても俺らの正体位軽く見破ってくれたんじゃあなかろうか?


「あまり私を買いかぶらないでくれよ?私は弱い。君に襲われてしまえば成す術もなく殺されてしまうだろう。下手をすれば無傷で取り押さえられることも容易いだろう。それほどまでに私と君には力量差があるのだよ」


 それこそ買いかぶり過ぎだ。俺はそんなに強いつもりはないし、無傷でと言うのも無理な話。彼女の力量は歩き方からも分かるほど。無駄が無く、洗練された戦人の動きだ。腕の筋肉のつき具合を見るに、彼女が得意とする武器は恐らく弓。それもショートボウ。ギルドの長ともなれば相応の実力はあると考える方が賢明だ。そんなクロエさんを俺みたいな平和な国出身の人間が無傷で取り押さえられるなんて言えるはずもない。


「取り押さえられ無いという所を否定しないところが君らしいね。まぁ、その通り。この距離じゃ私は勝てない」

「中距離だと分からない、ですか?」

「……さぁ、どうだろうね?」


 クロエさんはクスクスと笑う。


「他の反勇者教ギルドも今夜の襲撃に備え始めている。もちろん秘密裏に。裏で手を結んでいることはまだバレてはいないとは思うけれど。正直、十勇者が出張って来る時点で敗北は必至だ」

「それほどまでに力量差があると?」

「ある。彼らはそれほどまでに強い。尤も彼らが全員と教皇が揃ってやっと君と渡り合えるくらいだろうがね」


 頼りにさせてもらうよと彼女は笑うが、ギルドを護るために戦う事は無い。むしろ――


「ああ、潰してもらって構わない。目的させ達することができたなら私も彼らも本懐だからね」


 どこか、遠い目をしてクロエさんはそう言う。


「七竃撫子くんとは作戦の時に逢わせてあげよう。なにせ、彼女らも作戦に参加すると言ってくれたからね」

「なっ――」

「待ち合わせは昨夜と同じ場所だ。教会側の作戦が始まる頃にまた逢おう」


 ひらひらと手を振ってクロエさんはお店から出て行ってしまった。……あれ?ここの支払いって俺持ちなのかな?伝票置いたままだよクロエさん?クロエさーん!……どうやら声はもう届かないらしい。

 ふふ、困ったな。今の俺ってば分身だからお財布持ってきてないんだけど。これは……ピンチだ!

今日も今日とてとってもとっても遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ

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