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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:魔法少女'sはお役に立ちたい!
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挿話:魔法少女’sはお役に立ちたい!4

 カトレアちゃんたちのお父さん――ヴァンさんが振り上げた黒い剣を、兄さんはひょいひょいと軽々と躱して避けて避けて素手で往なし、その眼前に握りこぶしを素早く突き出す。

 一応、ここに入る前に念のために変身しておいた方がいいとアイリスちゃんに言われていたので、私とビオラちゃんはデュミナスフォーチュナーとアクアの姿に変身している。

 けれども兄さんたちの動きは目で追うのがやっとで、兄さんがぬるりとなんだか()()()()()()()()()()()()()気が付いたらヴァンさんの眼前に拳を突き出していた。何度も見てきたけれど、やっぱり兄さんはすごい。すごいけど、すごすぎて意味が分かんないよ!


「――しばらく見ぬ間にまた腕を上げたか?」

「上げた、というよりこの世界に慣れ切ったってのが正しいかな?うん、最近になってようやっと自分の全開が出せるように()()()()()、という感じですね!」

「はぁ、全く。そこが知れぬ男だとは思っておったがよもやここまでとはな。この剣は獄呪の剣。本来であれば触れただけで呪詛にて皮膚は焼け爛れ、切り裂いてしまえば魂ごとグズグズに溶け墜ちてしまう我のとっておきなのだが……お前には全く効いておらんなぁ」


 兄さんの言葉に呆れたような顔でヴァンさんは深くため息を付いた。

 そりゃあそうだ。兄さんには私の方の上でうんうんと頷いている可愛いぬいぐるみになってしまったヒルコ様のご加護が直についているのだから。私も含めて神をも殺す呪詛でも効果は無いのだそうだ。この神様、色々とふざけてた所が多々あるけれど本当にすごい力を持っている。私も既に何度も助けられているし……。


『ふふん!そうじゃぞー。すごいんじゃぞー。我こそはヒルコ神なり!褒めよ讃えよ崇め祀りたまえ!』

『まぁ、ぬいぐるみ姿では威厳も何もあったモノではありませんけれふぉー。……ひふほふぁふぁ(ヒルコ様)いふぁいれふ(痛いです)


 なにをー!と、ヒルコ様が人魂みたいなぬいぐるみになっている沙夜をむにーと抓っていた。この状態の沙夜には手が無いので正しく手も足も出ていないのだけれど、口だけで神相手にケンカをしているところが流石だなぁと私は思う。というか、割と仲良しさんなのかな?たまに将棋とかして遊んでるみたいだし……。


「か、神?このようなへちゃむくれが、か?」

『へちゃむくれとは何じ「まぁ、見た目はこんなんだけど、神であることには間違いないよ。俺が保証する」……むぅ』


 今はこんな姿なのはヒルコ様がこの世界からすれば異世界の神であり、転移の際にその力の大半を失ってしまったからだ。曰く、()()()が足りていないのも原因だとヒルコ様は言う。ヒルコ様を祀る神社なんかが無いのも弱体化の原因なのだそうだ。そりゃあ、異世界にヒルコ様の神社なんてあるわけが無いからどうしようもない。


「お前の周りは騒動で溢れているとは常々思っておったが、よもや異世界の神まで連れておるとは我の想定の範囲をゆうに超えておるな。何だか頭が痛くなって来たぞ……」


 大丈夫です、カトレアちゃんのお父さん。私も最近頭が痛いです!


 本当に兄さんは色んな意味で規格外だ。


 良く言って何でもできる。……悪く言えば何でも一人でこなしてしまおうとする。


 できるのだから仕方ないと言ってしまえばそれまでなのだろうけど、私がやる前に分身を作り出してサラっとやってしまっていることが割とある。戦いでもそうだし、旅の道中の家事一般もそうだ。……私だってお手伝いしたいのに兄さんはほとんど一人でやってしまう。


『真人様の癖のようなモノですね。他人にさせると何が仕込まれるかわからないから自分でやった方が安心なので、どんな小さなことでも何でも自分でやってしまうんです。お手伝いをさせてもらうには相応の実力、或いは心の隙間に入りこむことが重要ですね。その点、ビオラ様はそっとお手伝いをこなされています。やはり、お嫁さんという所もポイントなのでしょう』


 沙夜の言葉に頭を抱える。つまり、お嫁さんになればお手伝いができると……?兄さんの……?いや、その、えと、なれるのならなりたいけれど、流石にまだ早いと言うか、まだ私中学生だし?あ、でもここは異世界で、兄さんとは血縁上では結婚できるし……。まぁ、に、兄さんが望んでくれるなら?やぶさかではないかなぁ!


「で、小さくていいからお社を作ってくれたら嬉しいんですけれどどうでしょう?」

「む、我に宗派に入れと?」


 ――聞いてない!!見事に話をさらりとスルーされてしまった。うう、いいの。兄さんがこんな調子なのはいつもの事だし!まだまだアピールの機会はいくらでも――あれ、なんか目的が変わってるような……。


『どう思われますか?』

『やはり真理は危機感がまるで足り取らんな。よく物語であるボクガサキニスキダッタノニ!的な展開をとうに過ぎ去っておるのに、今更アピールとは……』


 何やら背後でヒルコ様と沙夜がヤレヤレと言った様子でため息を付いている。そんなことは分かってるんですー!分かってるけど、分かりたくないの!うう、まさか異世界に転移したら兄さんが転移して数か月が経ってて、恋人どころかけ、結婚してるだなんて思いもしなかったんだもの!

 だけど、まだよ。まだチャンスは残っているの!だって、ここは異世界!重婚ができる世界なんだもの!


「それで、うちの娘たちとの挙式はいつになさるんでしょう?ふふ♪二人にどんなドレスを着てもらうか決めておかなければなりませんね、アナタ?」

「「は、はいぃ?」」「お母様!?」「結婚なのです!?」「ま、真人お前まさかまた!」「あ、あはは……」「お、奥様!?」


 にこにこと嬉しそうなアイリスちゃんとカトレアちゃんのお母さんの言葉に、その場にいた私たちもヴァンさんもその部下の人も含めて驚愕の声を上げたのでした。


 あれ?あわ、私また先越されるの!?それは流石に悲しいんだけど!!

今日も今日とてものすごく遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ

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