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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
挿話:魔法少女'sはお役に立ちたい!
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挿話:魔法少女’sはお役に立ちたい!2

 揺れ揺れる馬車の中。ガタガタと軋む音を聞きながら私と姉さん、そしてお友達の真理ちゃんとビオラちゃん。そして真人様とその部下のシレーネさんとライガさんとで久々に実家へ帰省なのです!

 姉さんは行くのを取っても渋られていましたが、真人さんのあんな事があってご両親も心配されているだろうから一度くらい帰った方がいいんじゃないかと言ってくださり、今回の帰省が実現したのです。真人様には本当に感謝してもしきれないくらいです。


 あの日――姉さんが化け物の一部になっていると知った時。私は姉さんを……助ける事は最早不可能だと、そう思っていました。いくら魂だけ逃れられていたとしても、魔物に喰われてしまえばその総てをいずれ喰らい尽くされる運命に変わりは無いのですから。


 だけど、それでも真人様は助けると言ってくださったのです。


 とても嬉しかったことを今でも覚えています。姉さんの魂を見つけてくれただけでも嬉しかったのに、真人様は助けると、そう仰ってくださったのですから。


「お、見えて来た見えて来た……。って、なんか可愛い……。いや、ヴァンパイアのお城にしては可愛すぎないかな!?」


 馬車の御者台から見えたお城を見て真人様の表情が固まってしまいました。

 姉さんが生まれた時にお母さまの進言でかなり大がかりな改築をされて今の見た目になったのだそうですが、そんなに変なのでしょうか?


「変というか、周りの森のおどろおどろしい感じとに使わないファンシーさで、何と言うか逆に怖い?」


 真人様は何だかすごい顔でお城をじぃーと見つめられています。

 ううん、いままでずっと住んでいたのでそんな風に感じなかったのですが……。


「本当に、世間を知ると自分がいかにズレていたかを痛いほどに思い知りますね。はぁ、何であんなところによくわからないファンシーな人形が飾られているんでしょう……」

「ええ、可愛いじゃないですかくん人形!」


 そうかなぁ、とアイリス姉さんがまた深くため息を付いています。うう、あの子私のお気に入りなんですけど……。お母様にねだってぬいぐるみまで作って貰いましたのに。


「それにしても昼間なのに何でこの森はこんなにおどろおどろしいというか、変な感じがするんだけど」

「ああそれは、この地にも地脈が流れているのですが、私たち闇の眷属の好む闇の魔力が流れ込んできているからなんです。だから他の地域で住めなくなったアンデット族の皆さんの町が幾つもあるんですよ?お城への道からは外れたところにあるので、ここから見えないですけど」


 お父様はそう言った魔物たちを自らの眷属だと言って、各地で迫害されていたアンデット族の皆さんを保護されていたりします。アンデットと言っても通常の手段で死ににくいだけで、決して死なないという訳ではありません。ゾンビになって蘇ってしまったモノたちは魂が世界からあふれた闇の魔力に偶然にも触れてしまった事で生まれてしまう存在で、きちんとした手段で成長してしまえばグールに変化しきちんと元の自分の意思を持つことができるようになります。そうなってしまえば普通の人となんら変わりが無いのですから。


「でも、ゾンビって自分の仲間増やそうとするからなぁ……。ええと噛まれたらゾンビになるんだっけ?」

「いや、そんなことは無いぞ?単にゾンビに殺されてしまえばゾンビになるだけだ」

「え、同じじゃない?」


 同じく御者台にいるライガさんの言葉に真人様が首をかしげられます。


「まったく違う。噛まれた程度で人が魔物に等成るモノか。殺された瞬間にゾンビは相手に自分の闇属性の魔力を移すんだ。それに殺された魂が侵されてゾンビ化する訳。グール化した人曰く。あ、やっべ生命力吸い過ぎちゃった!生き返らせるから許してね!って感じらしいぞ?」

「なにそれこわい」

「ゾンビになると思考が単純化するらしくてな。割と善意でやってたとは言っていたな」


 そう、ライガさんの言う通りなのです!例えゾンビになった皆さんも悪気があって殺しちゃったり、仲間を増やしているわけではないのですから!なので、闇の眷属だとしても悪ではないのです!


「なお悪いとおもうぞう!?というか――なるほどな。何となくそういった連中を集めてる理由が分かった」

「兄さん、どういう事?」


 私の隣に座っていた真理ちゃんが御者台の真人さんの背中をツンツンしています。そういえば私もお父様に理由を聞いたことがありませんでした。


「ん?ああ、簡単なことさ。生命力――魔力が必要で人を襲っているんなら魔力が満ち足りた場所で過ごせば、ゾンビは誰かを襲いかかる必要がないって訳だ。魔力を吸い続けていればそのうち自然にグール化して理性を取り戻すと考えれば、ここは土地自体が一種の治療施設みたいなもの。まぁ、治世者としては食い扶持がほぼいらない領民を増やせるのだから、ある意味ウィンウィンの関係と言ってもいいんだろうけどね」


 お父様がそこまで考えて……流石は私のお父様です!


「……まぁ、お母様が始めたことなんだけどね」

「ふぇ?」

「い、いえ、なんでもありません。なんでも。ほら、到着したみたいですよ?」


 姉さんがポツリと何かつぶやいた気がしたのですが……。いえ、きっと気のせいでしょう。ふふ、久しぶりにお母様に逢えるのがとっても楽しみです!美味しいモノ作って待ってるってお手紙くれましたし、とっても楽しみです!

今日も今日とて遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ

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