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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第八章:勇者な執事と魔法学園の姉妹の絆。ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!
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42話:冷凍モノが冷蔵で届いたときは怒りよりも悲しみが先立つよね?

 目の前を遮る魔物を斬って殴って蹴り飛ばし、くるんくるんと勢いを止めずにその首を胴を切り裂いていく。通り魔的な犯行でいささか申し訳ないけれど、一身上の都合と言う事で勘弁してもらう事にする。


 魔獣プラトニアスの本当の恐ろしさとは、家の中もどんな防壁も安全ではないという所だろう。


 何故ならアレがダンジョンだと判定した範囲()()ダンジョン(出現ポイント)なのだ。つまるところ、ざっと見渡す範囲全部どこからでも魔物が湧いてくる。部屋の中も、タンスの中も、井戸の中からも、はたまたトイレの中からこんにちわである。真面目にたまったモノではない。


 だからその範囲から逃げない限りは湧いた魔物に襲われる。けれど、そんなこと普通の人が分かる訳もなく、皆家の中へと非難して――襲われていた。


『――私なんて見捨ててください』


 ……どこかからか、そんなか細い声が聞こえた。


 嗚呼、そうしてしまえば簡単なのだろう。だけど、そんな結末は俺が許さない。


 街路樹を鼓草にて切り刻み、即席にて木札に変える。魔力もない只の樹木では持って三分。それでも十分だ。


 分たれた俺たちがこんにちはーと扉を蹴破り窓へダイブして各家庭の魔物を駆逐していく。


 それでもポコジャカと切りなく湧いてくるから住民たちを蹴り出して、そのまま一緒に運び出すついでに閃光弾と催涙弾を投げ込んでおく。各家庭で爆音が轟くと湧き出る魔物のスピードがほんのちょっぴり遅くなった気がする。流石に異臭と煙の立ち込める場所からは出現してこないらしい。鼻の良い魔獣なら気絶するレベルの匂いだし仕方ないネ!


「な、何なんだアンタは!俺たちの店をよくも!」


 キッチンの片隅で震えていたところを投げだしたガタイ良いおっちゃんが胸ぐらをつかんでくる。奥さんは燃え盛るお店を見て呆然と立ち尽くしちゃってる。うん、どうこう言ってる暇なんて無いから死にたくなけダッシュで適当な俺に着いてに行って欲しいなって!


「何を――」


 言ってるんだ――と紡ぎそうな言葉を刃を振るって黙らせる。うん、ちょうど真後ろにゴブリンロードさんがいたんだよ!もう死んでるけどね?


「泣き言も文句も後でね!聞くかどうかは別として、今移動しなきゃみんな死ぬよ?」

「アッハイ」


 真っ青な顔をしておっちゃんはコクコクと首振り人形みたいに首を振っている。そんな暇があるならダッシュだよ、ダッシュ!大きなお尻を蹴って転がりながらおっちゃんが奥さんを抱えて走っていく。うんうん、元気いいなぁ!


 皆を誘導しているのは魔法学園。結界が張ってあるのか、学園に魔物たちは出現して来ていないようであり住人が避難しているのが見える。ならばみなを誘導するならばそこしかあるまい。


「真人さんがいつの間にか増えてます!?」

「あ、おいすー」


 驚きの声を上げた俺たちで代わる代わるにビオラちゃんと一緒に居た真理と沙夜とついでに(俺の分身)に手を振って、その場を任せて駆け抜ける。


「とりあえず住宅街片っ端から押し入ってるとこなんだよ!」「強盗じゃないよ?」「本当だよ!」「奥さん三河屋デース」「宅配便デース」「水道の点検で――」「ガスメーターの故障が――」「この古代の壺が――」「アナタハ神ヲ――」

「兄さん、遊んでないで真面目にしてください!」


 違うんだよ真理、そんな顔して怒らないでおくれ。うん、ゴブリン投げつけないで!?兄さんはいたって真面目なんだ!だってほら普通に蹴破ったら不審者というか犯罪者だし?ちゃんと挨拶して蹴破らないと――え、同じだって?そうだね!!


 無限流/刃/(ぎょく)にて一息に目の前に飛び出して来た数十匹のゴブリンの首を跳ね飛ばし、空を蹴った勢いで角を曲がったところに現れた地龍の頭をくるんと回って――無限流/無手/(りん)にて蹴り砕き、そのまま前へ前へと突き進む。


「す、すげえ」「なんなんだあのアンちゃん……」「ユウシャ様……?それにしてもなんて桁外れな……」「ねぇ、これ喰っていいかな?」「


 後ろの方で息を切らしながら住民の皆さんがぶつぶつと話しているのが聞こえる。うん、ダンジョン産の魔物はドロップ品と魔石にしかならないから食べれないからね!


 先行する俺が学園に到着しようやく一息つけると思ったところで、目の前に魔法学園へと群がる魔物たちが見えた。数は既に数百――いや、数千を軽く超えているように見える。どうやら湧いて出る魔物たちもここへ向けて進んできているようであった。


 何だかすっごく気になるけれど、今はそれどころではない。住民の皆を避難させる場所は最早ここしかないし、学園の賢者さんたちにお話をしにここまでやって来たんだしね!


 であるならば――押し通るのみ!


 ふぅ、と息を吐き鼓草を両の手でしかと握る。地面を踏み抜くように加速しその眼前()()を切り開く。


――無限流/刃/奥義ノ伍/素戔嗚!!


 暴風が瞬く間に吹き荒れ、魔物たちで塞がっていた道が()()開ける。


 ……うん、勢いつけ過ぎてを結界を抜いて門を壊しちゃったけど、気にしたら負けだよね!と思ったら門に居た冒険者のおっちゃんに上からすごい目で睨まれてしまった。ええと、はい!すみません!後でちゃんと直しますので許してください!……ダメカナ?と首を傾けたら、さっさと中に入れと怒られた。このおっちゃん、いい人だ!初めて逢う人だけども!


 住民の皆が入ったところで即席の木札で土壁を作り、今度こそようやっと一息付けたのだった。うん、俺は各地で戦ってるけど!休めてねぇ……!

今日も今日とて遅くなりまs( ˘ω˘)スヤァ

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