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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第八章:勇者な執事と魔法学園の姉妹の絆。ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!
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36話:タラバガニがヤドカリだと言われてもピンと来ないけどヤシガニも同じと言われた何となく納得できる気がするよね?

 潰れる!流れる!あふれ出るぅ!とばかりに地面からあふれてあぶれて下の方の小さい魔物が踏みつぶされて死んでいる。うん、出し過ぎじゃないかなこれ!


「君にはこれでも足りないくらいさ。黄色魔石の疑似ダンジョンマスターを鎧袖一触で倒したんだろう?なら、それ以上を出さないと失礼だろう?」


 ゆらりと人魔王ビアスが音楽の指揮者のように腕を振るうとゴウン、と音がして入り口と逆側にあった大きな扉が開く。


 その先にあったのはなんだか見覚えのある場所。


 ――そう、覚えがある筈だ。俺はついこの間あそこに行っている。


「元々あのドラゴンはここ産でね。どの程度使えるかを見てみたかったのだけれど、相手が悪すぎて実験にもなりはしなかったのだよ。尤も、どの程度で君を抑えられるかは想定ができたがね」


 激しい咆哮と共に大きな扉から顔を覗かせたのは、三つ首の巨大な竜だった。俺が倒したドラゴンと比べればおおよそ三倍程度の大きさになっているようだった。


「君は蟲毒という言葉は知っているかい?」

「そりゃあもちろん。毒虫たちを同じ壺に入れて最後の一匹になるまで、戦わなければ生き残れない!って食い合わせる奴でしょ?しかも最後はその虫の毒を使えば人が殺せます!とか言うんだからね!そりゃあ毒虫だから死ぬよ!最後の一体になったら神霊になって祭り上げれば願いが叶うとかじゃ無くてそのモノを使ってると思うな!」


 襲い迫る魔物たちを切って払って投げ飛ばし、蹴って殴って吹き飛ばす。分身を分けて分けて真理や公くんも一緒に狩っているけれどキリがないったらありゃしない!


「つまるところこれは蟲毒という訳だ。私はあの最下層の空間にドラゴンを十体ほど放っていた。そして――今はたった一体だ。意味することは分かるかな?」


 言われなくてもわかる。こいつは、共食いをさせて魔石を蓄積させてさらなる進化を自分たちで引き起こさせたのだ。自然界であれば数年かけて起きるドラゴン同士の戦いがこの短期間で繰り返された結果生まれたのがあのドラゴン。目測色程度だろうか?普通で言えば魔王クラスに近い実力を持ってしまっている。


「さて、これにて終焉だ。消えなさい」


 三つ首の龍が魔力砲を放たんと魔力を収束させ始める。なるほど、これは中々にヤバイ――!


「だけど、放つ前に倒してしまえばいい。うん、簡単だな?」

「何を馬鹿な――」


――無限流/無手/奥義の弐/摩利支天


 それは陽炎の如く目の前の敵の中身を奪う一撃。

 あそこまで(三階建てのビル)図体がでかいと首の骨を三つほど奪うので精一杯だったけれど、それで十分だろう。


「ご、ぎゃあ!?」


 と、何が何だか分からないと言ったような様子で地面に首を打ち据えてビクンビクンと痙攣し、ついには肉体がボロボロと崩れ去って行ってしまった。


「そ、そんな馬鹿な事が……」

「想定なんてしているから悪い。想定なんて想像の範疇に収まるなら人が“不運(ハードラック)”と“(ダンス)”っちって死ぬことは無いからね」


 鼓草を構え、驚きの表情の人魔王ビアスのその首へと素早く刃を奔らせる。


――無限流/刃/月


 しかし、その体はドロリとしたコールタールのようなモノに溶けてしまった。どうやらこれは本体ではなかったらしい。


「何故だ。何故邪魔をする。君は勇者なのだろう?私は人の為、強いてはこの世界の為に研究をしているのに何故邪魔をする?」


 見上げると、彼はプラントの上に立ってアイリスちゃんの頭をグリリと踏みつけている。


「そんなことも……わからないのか!」


 ふぅぅ、と息を強く吐き拳を強く握りしめる。


「そんなこと?はて、思い当たることなど――」

「今足蹴にしているアイリスちゃんを女の子たちを実験体にしたことだ!貴様は魔石を取り込んで人としての矜持すら無くしたのか!」


 首をかしげ、人魔王ビアスは何を言ってるんだこいつはと言った顔をしている。

 こいつ本当に分かっていない。自分の目的のために犠牲にしてきたともこいつは感じてすらいないのだろう。ただ目の前にちょうどいい実験材料が居たから使わせてもらった。そう、その程度の感覚でアイリスちゃんを彼女たちを使ったのだ。


「ふざけるんじゃねぇ……。お前だけは、絶対に許さない!!」

「だとすれば、どうだというのだ?」


 鼓草を掲げ、大きく声を張って叫んで見せる。


「貴様を屠る」

「……はっ。魔王となった私を殺すと?何を馬鹿なことを言っている。高々勇者風情が何ができると思っているのだ?」

「いいや、できるさ。お前を殺し、アイリスちゃん達を助け出す」

「無理だね。まるで現実的じゃあない。肉体が完全にプラントと化し、魂すらも魔石と化した彼女らを救うだと?そうだな、アイリス君の魂くらいなら救えるのではないかな?くく、肉体と魂をつながるライン(精神)を断ち切ってしまえば……ね?」


 そんなこと最初から分かっている。彼女らを救うには間違いなく聖剣が必要だ。あの力さえあれば容赦なく切り裂く事ができるだろう。しかし――サクラちゃんを救う為には俺の手元に聖剣があることを知られてはならない。そんなことをすればサクラちゃんの魔石は無造作に砕かれる可能性まであるのだから。


 だから、俺は俺の力のみで彼女らを救い助ける。


「まずはお前からぶっ飛ばす」

「貴様にできるものか」


 また地面から魔物たちが倍の倍になって蘇って来る。キリがないというレベルでは最早ない。それでも、啖呵を切ったからには絶対にやって見せる。


 一度結んだ約束はどんなことをしてでも護らないと。うん、だって男の子だからね!

今日も今日とて遅くなりましt( ˘ω˘)スヤァ

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