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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第八章:勇者な執事と魔法学園の姉妹の絆。ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!
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16話:ニンニクマシマシなご飯を食べると翌日は口臭だけじゃなくて体臭もすごい匂いがしちゃうモノだよね?

 ヴァンパイア、吸血鬼。闇夜に潜み、生者の生き血をすする魔人の中でも最上位の存在。傷をつけても瞬く間に再生し、心臓を正確に打ち貫く太陽の光を浴びせない限り死ぬことは無いという究極とも言える生命体である。

 元の世界と変わることなく、この世界の彼らも宵闇の王――すなわち魔王として君臨していた。以前戦ったこともあるけど、あのおっさん元気かなぁ……。


「こ……こんなに可愛い子がヴァンパイアだなんて……。ねぇ、兄さん。これ、ありじゃない?薄幸の美少女ヴァンパイアって。うん、どう考えてもありよね?カトレアちゃん可愛すぎだもの!」

(真理)よ。確かにその通りだが、その反応は割と俺だと突っ込まれる奴だぞ!」


 なんだかライガーのジトが痛い。シレーネさんにビオラちゃんは何だか苦笑いをしてる。ううん、やっぱり理解者が少ないんだよ!


「えと、その……。わ、私殺されちゃうんです?」

「え、何で?」


 涙を浮かべて大きな帽子を更に目深にかぶってプルプルと震えているカトレアちゃんに俺は首をかしげる。なんで急にそんな物騒な事をいうのかな?


「真人様、基本的に人の国ではヴァンパイアは見つけ次第に討伐する対象となっております。彼らは種族特性としてグールやゾンビを生み出し配下にすることができます。ですので、出現すると村や町が丸ごと消えてしまい、気付けばグールやゾンビが溢れでている……なんてことも珍しくありません。」


 だから、見つけ次第即殺、或いは冒険者ギルドへ通報が義務となっているのだ――とシレーネさんが丁寧に解説をしてくれた。なるほど、それなら彼女がこれほどまでに怯えるのも無理は無いだろう。


「私はヴァンパイアハーフなのです。お母様が人間で、お父様がヴァンパイアで」

「あれ?でも吸血鬼としての特性を引き継いでるのなら、ハーフとはいえ太陽の下は歩けないんじゃないのかい?」


 確かにライガー言う通り。基本的にヴァンパイアは太陽の下を歩くことができない。そんなことができるのは長らく生き延び、自らの研鑽を怠ることが無かったヴァンパイアの最上位クラスくらいだろう。だからこそ、そんな常識外れのデイウォーカーヴァンパイアは俺でも知っている。


――常闇の魔王ドラキュリア・ヴァン・ロムネヤスカ。


 俺がサクラちゃんを賭けた武闘会にて戦ったヴァンパイアの魔王だけであった。うん、まさかとは思うけどち、チガウヨネ?


「その通り、なのです。私の名前はソフィア・(カトレア)・ロムネヤスカ……執事さんの仰られるドラキュリア・ヴァン・ロムネヤスカの娘……なのです」

「ま、まじかぁ……」


 あのおっちゃんにあんなに可愛い娘さんがいただなんて!いや、それ以前に何でサクラちゃんの婚約者決めの武闘会に参加してたのさ!馬鹿じゃないかな!?


「はい、実はその事が原因で姉さんが家と連絡を絶ってしまったのです。姉さんはハーフなのですけれど、私よりも吸血鬼としての血が薄くってほとんど人間と変わらないのです。強いて言えば夜目が効くのと魔力が豊富だってことくらいです。なので姉さんは魔法学園で魔法使としての勉強をしていたのです」


 とっても優秀で主席なのですよ!と小さな胸を張って嬉しそうにカトレアちゃんが言う。なるほど、自慢のお姉さんなのであろう。


「でも、最近……何度お手紙を書いても返事を返してくれないのです。家と連絡を絶っていても私とはお手紙を交換してくれていたのに……。そうしたら、旅の商人さんが姉さんが今行方不明になっているって聞いて、私、いてもたってもいられなくって」


 だからこそ家を飛び出て敵である勇者や冒険者だらけのこの魔法学園へとやって来たのだそうだ。


「この学園は学ぶ意思と学費さえあれば入学できるのです。もちろん、学園の正式な生徒となる際に校則に従うようにとのスクロールの契約は結んだのですけれど」


 だからこそ、カトレアちゃんのお姉さんもこの学園に入ることができた。うん、冒険者や勇者を受け入れつつ裏で魔王の娘も受け入れてるとか色々とこの学園ヤバいんじゃないのかな?


「問題ありません。この学園はあらゆる国の法的な影響を受けない事になっているんです。大賢者と呼ばれる方々の偉業で成り立つ国々も多いですから、そのお陰のようですね」

「大賢者、ねぇ……」


 シレーネさんの言う大賢者を二人ほど思い浮かべる。太っちょで小さい奥さんを貰ってるマヨラーに、塔に引きこもって中々出て来てくれない腐女子さん。……とてもそんなすごい人には見えないけれど、きっと俺の知らない何かすごいモノを残しているのだろう。


「それで、お姉さんの手がかりはあったんですか?」

「……ううん、まだ来たばかりで何もなのです。だけど、最近この学園では姉さんみたいな行方不明者が続出しているのだそうです。もしかすると、犯人は同じで……」


 優しく聞くビオラちゃんにカトレアちゃんはしょんぼりとした顔で答える。本当にお姉さんのことを心配しているのだろう。

 しかし、魔法学園で行方不明と聞くと何だか嫌な予感しかしない。もし行方不明になっている原因が同じ犯人なのだとすれば、何かしら良からぬ企みをしているだろうしね!


 だけど、これはもしかすると渡りに船なのかもしれない。


 カトレアちゃんのお姉さんはかなり優秀な学園の生徒らしい。つまるところ、パーティメンバーに入ってもらえれば俺のここに来た「学園の優秀な生徒をパーティにいれて実績を上げて勇者教に潜入する」という目的の第一段階をあっさりとクリアすることができる訳だ。尤も、カトレアちゃんのお姉さんが無事であることが前提なのだけれど……。

 ともあれ、可愛い妹の友人を助ける事にもなる訳だし、まずは情報を集めるとしよう。

今日も今日とてとっても遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ

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