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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第八章:勇者な執事と魔法学園の姉妹の絆。ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!
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8話:キャンプで焚火をしていてもクマって普通に襲ってくるってクマっちゃうよね?

 丸一日山の中を馬車で駆け抜けたところで、日が陰りを見せてきたのでキャンプを張ることにする。

 無茶をして進むことはできるのだけれど、今は俺一人じゃあない。無理無茶は厳禁なのだ。


「ごめんなさい真人さん、私にもう少し体力があれば……」


 ビオラちゃんが申し訳なさそうな顔で頭を下げる。だけど、恐らくはこうなる事を見越してシルヴィアはビオラちゃんを俺の傍にいさせているのだと思う。要は無茶をさせないようにしてくれている訳だ。今更ながらに思い返してみれば、俺一人の状況で無茶ができる瞬間は全て無理を通して無謀とも言える無茶をしてしまっている。それを目の前で見たシルヴィアだからこそ、現状をベストだと考えたのだろう。ふふ、愛されてるな俺!


「そう思えるお前が羨ましいよ」

「はっはっはー。っと、そっちはできたのか?」


 ライガーに問いかけると、もちろんだと美しく切りそろえられた食材を見せてくれた。なるほど、胸を張るだけのことはある見事な手際である。張っても主張する胸は薄いけど――ああうん、何でも無いよ!そんなに爪を立てないで欲しいな!いたぁい!!


 ライガーが女の子だと聞いてから数日。今更ながらによくよく観察してみると確かに間違いなく女の子だった。体格も、仕草も、物腰もどう見ても女の子にしか見えない。……何で今まで気づかなかったかなぁ俺!

 そして、極めつけは聞こえてしまったビオラちゃんとの会話。


「ライガさんはその、以前真人さんとお見合いまでしたとお聞きしましたが」

「ちょ!声が大きいです!あいつはまだその事に気づいてないんですから!」


 とか言っていたのだ。


 そう、以前ライおっさんの薦めて俺がお見合いをしたライラックさんはライガーだったのだ!だったのかぁ……。自分の鈍感さに本当に嫌になってしまう。というか俺、本人を目の前にライガーのことを聞いたって事だよね!うわぁ、もの至極恥ずかしいぞう!


 星空の下、焚火を燃やして明かりを灯す。獣除けの効果は微々たるものだろうが、少しは役に立ってくれるだろう。

 本来であれば魔物除けの結界を使うのが常らしいのだけれど、魔石持ちのライガーがいるのであんまり使えない。使ってもいいけど、起動させた途端につらそうな顔をして荷台の奥に引っ込んでしまったので今は切っている。まぁ、俺ってば寝ないし?寝ずの番にはなれているから特に問題ないんだけどね!あれ、付ける必要あったかな?無いな!


「またそうやってお前は無茶をしようとする。ボクが要るんだから交替で見張ればいいだろう?」

「問題ないさ。寝ずの番はあっちにいた頃から慣れてるからね!」

「元気に言う事じゃあないだろう!まったく……」


 ライガーはため息を付いてヤレヤレと首を振る。ううん、本当にいつもの事だったんだけどなぁ……。


「そういう事ではないと思うのですが……」

「ビオラ様。アレはわざとあのように言って心配かけまいとする男心でございます。気にしないであげるのが妻としてのやさしさですよ?」

「な、なるほど……!」

「ええと、シレーネさん?そういうのは本人が聞こえてないところで言って欲しいな!」


 これはまた失礼と、笑顔でシレーネさんが頭を下げる。くそう、わざとやってるよこれ!


 ミニアスの村で分けてもらった材料で今日はシチューにすることにした。馬車に魔導冷蔵庫を付けているおかげで生鮮食品の持ちがいいのは本当にありがたい。


「移動式魔導キッチン一式……実際の所これ買おうと思ったらものすごい金額になるんじゃないか?」

「そうかな?……そうだね!」


 頭の中でソロバンを弾いてみると、普通であれば屋敷が二つは建ちそうなお値段になりそうだった。ま、まぁ、開発したの俺とサクラちゃんだしね!その過程で発明品もいくつか生まれたから問題ない

。そう、問題ないのだよ!はい、ジトですね!ありがとうございます!


「なぁ、真人。本当に大賢者を旅に誘わなくても良かったのか?」

「……ああ、いいんだ。本当に大切で護るべき人を見つけた奴にその人を置いてついて来てくれだなんて今の俺には言えないよ」


 自分にできない事を他人に押し付けてしまう事は俺にはできない。本当はそういう事も覚悟して旅に出たはずだったのだけれど、そんなことをしたらきっとサクラちゃんが悲しむ。


「綺麗ごとなのは重々には分かってる。けれど、俺は俺の選んだ道を後悔したくないんだ。うん、反省はするけどね!次に生かすよ!次に!」

「次って、お前なぁ……」


 呆れ顔のライガーのジトから目をそらしてシチューを頬張る。ん、今日も上手くできてる。

 明日には街につくことができるだろう。冒険者登録が円滑にできれば旅の間に魔物を倒してゲットした素材や魔石を人の国のお金に換える事ができる。

 まずは先立つモノを確保して、そこから魔法学園へと向かうとしよう。


 ……けれど、ナニカはわからない不安が胸の奥底から湧き上がってくる気がしてならなかった。衛星通信で伊代ちゃんに聞いてみたいけれど、流石にあの子にまだ無茶をしてもらいたくない。気のせいならいいんだけど、こういう時の嫌な予感って当たるから困るんだよね!ううん、憂鬱だ……。

今日も今日とて遅くなりましt( ˘ω˘)スヤァ

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