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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第八章:勇者な執事と魔法学園の姉妹の絆。ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!
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3話:猫をナデナデするときは耳裏と後頭部と眉間辺りと喉元を同時責めすれば大体喜んでくれるよね?

 ライガーの首につけられた黒く大きな首輪に思わず目が点になる。何でライガーに奴隷の首輪なんか付けられているのかな?


「この方が都合がよいから……と言う理由と、ライガさんへの処罰となっております」


 メイド長のダリアさんの言葉に俺は首をひねる。ライガーが何の悪い事をしたというのだろうか?ライガーはこちらに戻ってきていの一番で俺に頭を下げに来た。


 守れなかったと。


 助けられなかったと。


 己の力が足りていなかったと。


 謝っても謝り切れないから自害する――と嗚咽を漏らしてボロボロと泣き腫らしながら言っていた。まぁ、そんなことをしたらサクラちゃんが悲しむから絶対にダメだって止めたけどね?俺もライガーに死なれるのは辛いし。友達だしね?


「姫騎士として――オウカ様の親衛隊として、その任を受けていながら目の前でオウカ様の魔石を奪われてしまったのです。本来であれば責任を取って自害をも許されず、死罪となってもおかしくはありません。ですが、直属の上司である真人さんが減刑を大魔王様に直訴をされたからこそこの程度で済んでいます。……これ以上の減刑はこの国の民にもアークルの民にも示しが付きません」


 ダリアさんがメイド服のすそをギュウと握って、震える声を振り絞るようにしてそう言った。

 俺的には三カ月くらいの減俸くらいで済ませてしまうつもりだったのだけれど……。


「真人、いいんだこれで。こうでもならなければボクは自分が許せない。ううん、奴隷に堕ちたとしても自分を許すことができないんだ。例え、他の誰にでもあの状況を覆すことができなかったと言われても、あの場にいたのはボクだった。ボクしか止められなかった。なのに……止められなかった。それだけで、死に値する罪なんだよ。まだ――聞こえるんだ。あの子の、ナナの叫びが。なのに、ボクは……ボクは……」


 いつもの明るいライガーは影を潜めたライガーはどうにもライガーらしくない。でも、ここで笑顔になってくれ!と言うのはあまりにも酷過ぎる仕打ちだ。

 それならば罪を受ける事でライガーの心が少しでも救われるのであれば、それでいいのかもしれない。


「だけど、誰の奴隷になるのかな?やっぱりライおっさんあたり?父親だし、その方が安心だよね!」

「いえ、違います」

「んじゃ、大魔王?」

「違います」

「え?まさかアリステラさん?」

「いえ」

「むむむ、大穴で――」

「真人さん。ライガさんは貴方の奴隷になるんです」


 ……?うん、ダリアさんの言ってる意味がよくわからない。え、俺の奴隷になるの?ライガーが?いやいや、流石にそれは……え、決定事項なのかな?


「はい、これは大魔王様と四天王の皆さまの総意で決まった事です。覆すことはなりません」


 どうぞ理解ください、とダリアさんが頭を深々と下げる。


「まぁ、確かにその方が都合がいいのは確かだな」

「けれど……」

「真人の気持ちはわかる。だけど、真人もわかっているだろう?あちらの国で亜人と呼ばれる種族はもれなく狩りの対象だ。ライガくんを奴隷の首輪の無い状態で連れて行けばひっきりなしに襲われ続けることになる。特にライガ君は特に珍しい獅子族だ。間違いなく格好の標的になるだろうね」


 シルヴィアの言う通りだ。()()()()()ライガーが奴隷であることは都合がいい。基本的に人の国の法では他社の奴隷を奪う事は禁じられている。もちろん、殺すことも犯すことも、だ。尤も……人に比べればその罪があまりにも軽いのは言うまでもないけれども。


「真人、どうする?」


 心配そうに俺の膝に座ったフレアが俺を見上げる。うん、大丈夫。答えはもう決まった。これは……ライガーを護るためでもあるんだしね。


「わかった。奴隷契約を結ぶよ。ええと、その首輪に連動した羊皮紙の陣に血判状を押せばいいんだっけ?」

「その通りだけど、やけに詳しいね」


 ジトりとシルヴィアの視線が痛い。違うよ?何となく気になって調べただけだよ!他意は無いんだよ!無いからね!?


「まぁ、真人が変な事に興味を持つのはいつもの事だとして。「ちょっと!?」ライガ、奴隷契約をすると言う事はそういう事だけど……構わないのかい?」

「はい、覚悟しています」


 憂いを帯びた表情のままライガーがシルヴィアに返事を返す。一体何の話だろう……?


「おお、ついに決心を……」「ライガさん……」「大丈夫――です。真人様は――受け入れて――くださいます」


 と、フレアもビオラちゃんも伊代ちゃんまでも何のことか分かっているらしい。うん、本当に何のことなのかな!?


「それは契約をすれば分かる事でしょう」

「そうなんです?」

「いいからさっさとやる!」


 ライガに押されるように親指先を切って羊皮紙の魔方陣へと押し当てる。ジリジリと魔力を吸い出される感覚が広がり、ライガが少し辛そうな顔を浮かべて下腹部の当たりを抑える。


「――これで完了です。奴隷の主は現在の奴隷のスペックをこの羊皮紙知ることができますのでお渡しいたしますね」

「奴隷のスペックが分かるって、奴隷の履歴書か何かかな?いや、それなら普通契約を結ぶ前に――ん?」


 ダリアさんから渡された履歴書(契約の羊皮紙)の中に俺は摩訶不思議なモノを見た。

 身長、体重に年齢はいい。三サイズも特技も気にすることはない。ただ、一か所どうしても見逃せない箇所があった。


「……ねぇ。えっと……奴隷になったら性転換とかしちゃうの?」

「ボクは!最初から――女だああああああ!!!」


 ライガーの悲痛な叫びが大魔王城の空中庭園にこだまする。


 あまりの事に俺の口が顎が落ちんばかりに開く。それはもうアングリと。え、え、え?ライガーが女?女の子なの?最初から?ま、まてまてまてまて、落ち着こう俺。だ、だって、俺ってば男だと思って、お風呂に一緒に入ったり、人には見せれない顔をさせたり、べたべたと普通に……。


「ま、まさかみんな最初から知っていたり?」


 声を震わせながらギギギと見回すと、みんなが大きくうなずいていた。


 ……どうやら知らなかったのは俺だけのようだった。


「むしろ何で気付かなかったのかがわからん」

「ん、分からん」

「ライガさんってどこからどう見ても女の子ですしね……」

「はい――とてもお綺麗な方だと――思います」


 嫁さんたちの言葉がトゲとなって俺に突き刺さる。た、確かに、ライガーは男のくせにやけに可愛いし、仕草も女の子っぽいことも多々あって、これで女の子だったらなーとか思った事もある。いや、うん、何でそこで気付かなかったかな俺!


「最初に男の子だと思ったからでしょうね。だから、他人に間違いと言われるまで気づくことができなかった、と」


 ダリアさんの解説になるほどとうなずく。つまり、俺は最初の選択肢を間違ったせいでこんなことになってしまったのだ。ふふ、思い込みって怖いね!女子全員の視線がジトとなって俺をつらぬく。はい、本当にぃ申し訳ございませんでしたぁ!!!!!


 そっと、フレアを隣の椅子に降ろしてからのDOGEZAで、俺は何とかその場をやり過ごすことができたのだった。

誤字報告ありがとうございますOTL

そして、今日とて遅くなりましt( ˘ω˘)スヤァ

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