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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
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27話:異世界のスポーツって魔法を使っても使わなくてもモノすごんいド派手になりそうだよね?

「炎よ!今ここに集え!ばあああああああああくねつ!ブレイズぅサアアアアアアアブ!!!」


 羅刹さんから放たれる爆炎の火球!それは正しく炎の弾丸!だが、それが来るのを待っていた!


「アクア・プロテクト!!シイイイイルド!!」


 水の分厚い壁を空中に展開し、その爆裂的な威力を押し殺して受け止め、そのまま天空へとトスを上げる。


「いまだ、ライガー!」

「任せろ!部分開放!うおりゃああ!」


 跳躍と共に瞬間的に解放された獣の本能は驚異的なサーブ力を生み出し、音速をも羅刹さんの認識速度を超えて砂地へとめり込みクルクルと砂煙を巻き上げる。く、流石ライガー。なんて威力だ!


「くく、やるではないか」

「相性はまだこちらが有利ですよ」


 汗をぬぐう羅刹さんに俺は不敵な笑みを浮かべる。そう、羅刹さんは炎使い。水の神の巫子だった俺とはものすごく相性が悪いのだ。


「しかし――ああ、お前はまだ分かっていない。分かっていないぞ!俺が――()()()()()()使()()()()()()()?」


 バチバチと放たれるは紫電。ま、まさか雷を――!?


「サンダー……ブリッツ!!」

「ぬ、ぬわああ!?」


 光速に迫るほどのサーブが地面へと突き刺さり、紫電が弾けて爆風が巻き起こる!

 ああっと、俺氏みごとに吹っ飛ばされたぁ!!ていうかボール跡形も無いんだけど!?


「……何やってるのでしょう、あれ」

「なんでも異世界なんだから魔法使って必殺技的にスポーツやってみたいって事みたいですね。いや、うん。確かにそういうサッカーとかテニスとかあった気もしないでもないですが……」


 離れたところで水辺でぱちゃぱちゃと遊ぶロベリアちゃんとナナちゃんが、何だかジト目で男同士の戦いを見つめている。うん、結構大変だけどすっごく楽しいよ!まともに当たったら即死しそうだけど?


「ふふ、まーくんとっても楽しそうです」


 そういうサクラちゃんは氷のお城風の休憩室を作ってみんなで涼んでる。全部終わったら俺も涼ませてもらうとしよう。


「それで、仕掛けの方はどうなんだ?」


 パラソルの下で優雅にビーチチェアでくつろぐシルヴィアが、サングラス越しにジュースを持ってきた分身の俺をちらりと見る。


「細工は流々仕上げを御覧じろって感じだけど。うん、聞き込みしてたら少し気になることを聞いたんだ」

「と言うと?」

「殺生石ってシルヴィアは知ってるかい?」


 俺の言葉にシルヴィアは首をかしげる。まぁそりゃあそうだろうね!俺の世界の故郷では超有名な石なんだけれど、こっちの世界で知られているはずもない。


「故郷であの石は、九尾の狐という大層な名前の妖怪が封じられていると言われていてね。ものすごい陰陽師が命がけで戦って倒したけど、死骸が巨大な毒石になったかそんな感じの奴なんだけど」


 そんな石がこの世界のあの山――芙蓉山にあるというのだ。


「とある高僧が殺生石の呪いを弱めようとしたら砕けて、各地に飛び散ったと言う話があって、その欠片だけでも周囲にものすごい厄災を振くはた迷惑な奴でさ。本物ならアレはその一つなんだろうね」


 まさか時空を飛び越えて異世界にまでやって来ているとはどれだけ生き延びたかったのだろうか?ううん、本当に迷惑なんだよ!



「それがまた、何と言うか俺キラーというか、弱体特攻ついてるというか……」

「どういうことだい?」

「簡潔に言うとアイツ、キングスレイヤーなのよ」


 あらゆる時代、国の王を喰らう存在。それが九尾の狐。人々の絶望を喰らい、世界を破滅に導くと言われる伝説の大妖怪である。


「俺には多少なりともその血が流れていてね。もしも本物ならその血が流れているだけでも呪いがかかる。つまるところ、俺は弱体化させられる可能性がある訳だ」


 狐の本質は呪いだ。


 そして、大妖怪――いや神獣とも呼ばれる九尾の狐に呪いを直にかけられて果たして無事にいられるだろうか?


 まぁ、血縁レベルで言えば菊とタンポポレベルなのだけれど、それでも呪いの効果はかなりのモノだろう。だってあいつ、絶対に恨んでるからね!夢枕に立って命乞いしたのに追い打ちしちゃったし!


「だから、今回の戦いでもし九尾の狐が現れたら真っ先に狙われるのは伊代ちゃんじゃなくて俺の筈なんだよね」

「……まて、それだと辻褄が合わない気がするぞ?」


 そう、獣は伊代ちゃんを喰らうと予言されている。俺が食われるとか呪われるとかそんな話は一切ないのだ。


「そもそも死んでる石がどうして動き出す?復活するにしても何かしらの要因がある筈だろう?」

「ああ、それが俺にもわからん」


 ため息を付いて、波打ち際で体操座りをしながらぼうと山を眺める伊代ちゃんの方をちらりと見る。


 ――要因、か。


「生贄だろうな」

「だろうね」


 俺とシルヴィアの意見はどうやら同じのようだった。


 死に絶えたものを蘇らせるには何かしら対価が必要となる。


 そう「命」だ。


 しかし、その命もただの命では事足りない。純粋な力何かしらのを持つ生娘でなければならないのだ。


「予言なんて大層なことができる彼女なんてその贄にされてもおかしくはない」

「だろうな。しかし、こんなに人がいる中いったい誰が伊代ちゃんをさらうんだろうね?」


 それを防ぐための仕掛けはしている。けれども、俺はそれでも十分ではないように思えてならない。だって予言ってどんなふうにねじ曲がってでも()()()()()()になろうとするからね!


「ともあれ、警備警戒は万全にな」

「はいはい分かってるよ」


 可能性の話をしたところで、あくまで可能性でしかない。もしもそれ以外の獣だった場合も想定して準備する必要があるのだ。

 ええと、雪男に巨大な阿修羅系な鬼に、え、九頭竜伝説まであるの!?ううん、流石に壱乃さんたちの可能性は……ないな!

今日も今日とて遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ

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