24話:スーパーに買い出しに行くとついつい割引商品をついで買いしちゃうものだよね?
湖のほとりに立ち並ぶブティックを眺めて入ってみんなで着まわして。
ああこれです!こんな事をずっとずっとしてみたかったんです!アニメや特撮なんかでこういうシーンはよくあったのですが、実際にやるとこんなに楽しいものだなんて思いもしませんでした!
「思いもしませんでしたって、オウカ様本当に外に出られたこと無かったんですね……」
「そりゃあもう!大魔王城の空中庭園から出る事を許されていませんでしたから。あ、ナナさんこれとかどうでしょう?この色、ナナさんのイメージにぴったりだと思うんですが!」
「そ、そうです?いやいやでもこれちょっと布面積が……うん、シルヴィア様の方が似合うんじゃないです?」
と、ナナさんがチラリとサテラさんと帽子を見ているシルヴィアさんに話を振ります。
「い、いや。流石にボクには可愛すぎないかな?」
「そうです?それならビオラさんの方がいいでしょうか?
「ふぇ?!」
フレアちゃんと小さい子用のフリフリな水着を選ぼうとしているところを引き留めて、ナナさんがそのまま更衣室へと押し込んでしまいました。
「こ、これ、色々は、はみでてませんか?せ、背中とか、おへそに、胸元までがら空きなんですけど!」
「……なるほど、エロ可愛い。どうでしょう、オウカ様!」
ぐっと、ナナちゃんが親指を立てます。うん、私はすごくいいと思いますよ?色白なビオラちゃんらしい純白の水着ですし。
「だが、それだけではいやらしさが前に立つな……よし、パレオをつけてみるのはどうだろう?日焼け除けの白い帽子をつけるのも……」
「おお、なるほど!小物を使う事で上品さが……」
「待ってください!私もっと地味なのでいいんですけど!」
「「絶対にダメ!!」」
シルヴィアさんとナナさんの声が綺麗にハモる。ううん、確かにその着こなしはアリですね。私はどうしましょう。パレオはマネしたい所ですが……。
「あ、あのう――。私も泳ぐの――ですか?」
モジモジと所在なさげにしているのは予言の巫女さんである伊代ちゃん。せっかく来たのだからみんなで泳ぎましょうと言う事で、事前準備のお買い物をみんなでしているところなんですが……どうやら伊代ちゃんはあまり乗り気ではないようです。
「まぁ、うん。小さいもんね、私たち……」
「ナナさん、私も伊代様もまだ成長期ですので、同じカテゴライズには入らないかと」
「ぐふぅ!」「がはぁ!」
ロベリアちゃんの容赦ない一言にナナさんが床に突っ伏します。その後ろでライガさんまで巻き込まれてダメージを受けています。ええと、確かにお二方とも年齢の割に背が低いですが、女性なのですしあんまり気にする事じゃ……。
「げふぅ!」「ぐ、ぐぬぅ……!」
何でか更に二人がダメージを!?え、え?いったいどういう事でしょう?
「オウカ様、そっとしておくのが優しさです」
「そ、そうなのですか?」
サテラさんが目を閉じて頷きます。ううん、何だか悪い事をしてしまったような……。
「ん、決めた。己これにする」
ズビシ!とフレアちゃんが掲げているのはフリフリのスカートの付いたワンピース。確かにものすごく可愛いです!ですが……。
「フレア、それはやめた方がいいと思う」
「え、どうして?」
「たぶん……きつくて入らないから」
ロベリアちゃんの視線の先は――フレアちゃんの豊かな二つのお山さんでした。そういえばまた大きくなったってぼやいてましたっけ。
「うわ、うわああん!」「なおおん!にゃおおん!!」
ロベリアちゃんのその言葉に、またしてもナナちゃんとライガさんが頭を抱えて床に突っ伏し、今度は涙を流しているようでした。い、一体どうして……。
「オウカ様、そっとしておきましょう。もう、何をしてもどうにもならないのを彼女らは自分で分かっているのですから」
「な、なるほど……」
どうしようもないからこそ、嘆くしかないのだそうですが……。私的には二人とも悲観的過ぎだと思うんです。確かにスレンダーだとは思います。けれど、それはつまりスタイルがいいと言う事。私のようにお腹のぷにっとが少ないんですよ?どう考えても羨ましいと思うのですが!
「お腹に肉が付けど……」「胸にはつかないんですよ……」
「え、えと、ごめんなさい……?」
幽鬼のような二人の顔に思わず謝ってしまいます。そ、そういうモノなんですね……。
「でも、大きすぎても困りものなんですよ?肩こりもひどいですし、戦闘の時なんて邪魔にしかなりませんから。元々それなりにあったのですが、この姿になってさらに大きくなって……」
そういうのは見事な刺繍の施された黒いビキニの水着を着こなすシレーネさんでした。黒髪に相まってすっごく綺麗です!
「で、でかい……!」「メロン……いや、スイカクラス……!」
ワナワナと震えながら二人の声が震えます。確かに大きいです!私やシルヴィアさんを軽く超える大きさでありながら、張りがあり、細身のそのスタイルにどうついているのか摩訶不思議なアンバランスさなんですが、それがまた綺麗なんです!うう、そのお腹の細さが羨ましい……!
「肉体操作でちょっとだけズルをしているのはここだけの話ですよ?」
ふふふ、とシレーネさんはいたずらっぽい表情を浮かべます。いいなぁ……それさえあればダイエット知らずじゃないですか!羨ましすぎます!
「……なぁ、ナナ。どうする?こっちとかどうだ?」
「んー……。チューブトップタイプが無難じゃありません?」
疲れきったような表情でナナさんとライガさんが、水着を互いに選びあっていました。どうやらいつの間にか仲良くなっているみたいでした。
「不思議な――人たち」
伊代ちゃんがポツリと呟いて、何だか嬉しそうにそっとほほ笑んでいました。
うん、やっぱりこの子可愛いです!まーくん、連れて帰っちゃいましょう!……あれ、まーくん?
店に入るところまでは一緒にいたはずなのですが、いつの間にやらいなくなってしまっていました。い、一体どこに……。
「ああ、真人様なら羅刹様に連れられて目の前の喫茶店に行きましたよ。羅刹様が疲れきったような顔をされていまして……」
ヤレヤレと肩をすくめるロベリアちゃん。本当にいつの間に……。
「全くもうだらしないなぁ。男ならもう少しこらえ性があってもええと思うんやけど」
「せやなぁ。つきおうてくれとる真人はんにはホンマ申し訳ないわぁ」
椿さんと緋乃女さんもヤレヤレと行った顔。そして手には大量の買い物袋が握られていました。そ、そんなに買ったんですか?
「まぁ、うちらかてここにはたまにしか来れへんしな。たまの息抜きやさかい、気にせんといてや」
ふふふ、と幸せそうな顔ではんなりと緋乃女さんは言います。でもこんなに買って持って歩けるんです?
「荷物持ちは男の役目やからなぁ。うちの旦那はんは魔王様やさかい、この程度軽い軽い」
「うん、姉さま。魔王が荷物持ちってどうなんやろ……」
「いつもの――ことです」
伊代ちゃん曰く、いつもの事らしいです。ううん、なんだかんだと言って羅刹様もお優しいんですね。
「尻に敷かれとるだけや」
魔王なのになぁ、と椿さんが呆れた顔で窓の外で紅茶をしばいている羅刹様とまーくんを見つめます。
それでもやっぱり仲が良さそうで羨ましい。よし、後でまーくんに沢山、たーくさん甘えてしまいましょう!えへへ♪
今日も遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ