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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
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23話:長い時間電車に乗るとどうしてもトイレに行きたくなるけど無い電車に乗ったら地獄をみるよね?

 修羅の国とは大陸の東の果てにある島国だ。


 正しく俺の元居た世界の元居た国と同じような条件で似たような気候である。

 アークルとこの修羅の国の位置関係でいうと、少しアークルより南の位置。


 つまるところ――この修羅の国はまだ夏の気候と言っても差し支えないのだ!


 うん、若干秋めいていて涼しくなってきてる気もしないでもないけどね!


「いやはやまさか富士山もどきの下に五大湖もどきまであるとは……」

「はっはっは、わが師曰く、やるのなら徹底的にとの事でな。古くからあった湖を公共事業として開発してな、今では観光地として、ええとか、かるいさわ?風にしていると伝わっているな」


 軽井沢ッッ!羅刹さんの言葉に俺は思わず頭を抱える。まったくもってうちの師匠はどこまで全力で故郷を真似しているのだろうか?うん、五大湖のほとりに軽井沢をくっつけようだなんて馬鹿かな?


「ちなみに、湖はビーチになっていて泳げるぞ!今の時期は海はクラゲだらけだが、湖は関係ないからな!」

「流石うちの師匠最高だぜ!」


 握りこぶしを天につき上げ思わず叫んでしまう。だって、ビーチだよ!つまり、水着が見れると言う事なんだ!前にのんびりお休みした時に海に行ったけれど、その時に見る事ができなかったサクラちゃんの水着が見れると言う事なのだ!話によればレンタル水着もあるし、水着の購入もできるとの事だった。うん、これはもう買わざるを得ない。愛する嫁さんたちの為に俺の財布のひもを軽くするのだ!


「真人様、話したがのびてますよ?」

「ふふ、これは元からさ!」


 ダメダメですねとばかりにジト目なロベリアちゃんは大きくため息を付く。はい、ごめんなさい!


 俺たちは今、来るときにも乗った牛車バスに揺られながらあの富士山もどき――芙蓉山の麓にある観光村へと向かっている最中であった。

 ショッピングモールに湖のビーチ、湖を挟んで芙蓉山を展望できる宿まであると聞いてはこれは行かざるを得ない!と言う事で観光二日目は宿泊場所を移動することにしたのである。ちなみに、いまだに俺の分身は元の旅館でハンコをぺったんしていたりする。ふふ、終わりが見えてきたから俺の分身だけしか残っていないんだよ!それでもお昼くらいまでかかりそうだけどね……。


「それにしてもまさか伊代ちゃんまで来てくれるとは思わんかったな」

「はい――私のおうち――消し飛んじゃいました――ので」


 伊代ちゃんはあはは、とはにかみながらもどこか寂し気である。


「ああ、そういうえば……」


 師匠の即身仏が祭られていたあのお堂は昨日襲撃してきたアラガミの男によって見事吹き飛ばされてしまっていた。ちなみに、お師匠さんの即身仏は無事だったらしく、今は別の所に移動させられているとの事だった。まぁ、うん。死んでもしぶといのがうちの師匠らしい。


「それにしても、なんというか姦しい車内であるな」

「まぁ、女性陣ばかりですからね……」


 和気藹々と語らう俺の嫁さんズと緋乃女さん、そしてサテラさんを含むメイドのみんなはいつの間にやら仲良くなって楽しそうにお菓子を食べながらガールズトークを繰り広げている。

 そういう訳で男の俺と羅刹さんは割と肩身が狭い。うん、とっても狭い!


「頼りにしてたライガーはグロッキー状態で寝てるし。ああもう、こうなるんだったらヴォルフの兄ちゃんを尻尾を引っ付構えてでも連れてくるべきだったかなぁ」

「残念ながら難しいとおっしゃられていたのは真人様だったかと」


 ロベリアちゃんの突っ込みに俺はそだっけー?と言って目をそらす。

 慰安旅行も兼ねているこの新婚旅行に同じく新婚と成ったヴォルフの兄ちゃんたちも連れて行こうと思っていたのだけれど。悲しいかな全員を連れて行くとアークルが立ち行かないことが判明したのだ。うん、分かっていたんだけどね!だから、文官のトップの玲君と部下の勇者三人、将軍に据えているヴォルフの兄ちゃんとその部下たちには申し訳ないけれどしばらくの間、領を任せる事にしたわけだ。まぁ、同盟を結んだ領からも応援に駆けつけてもらっているからそこまで負担を強いてるわけじゃないんだけどね!


「ともあれ、男が少なすぎる……隣のバスから補充をすべきだったかな?」

「いやいや、流石に真人の部下たちに余計な心労をかけてしまうのは本意ではないからな」

「流石は羅刹様、真人様と違い常識的ですね」

「うん、ロベリアちゃん?羅刹さんを褒めていると見せかけて俺をけなすのはやめて欲しいな!」


 え、事実じゃないです?とロベリアちゃんはジト目で首をかしげている。ぐ、ぐぬ、言い返せねぇ……!


「まぁ、二人しかいねーがここは男子トークで盛り上がるとしよう。そうだな……こういう時に定番なのは……下世話な話だな」

「なるほど!」


 そう、男同士だからこそ話すことのできる話。つまるところのエロトークである。うん、ロベリアちゃんはあっちでガールズトークに参加してきてね!


「はいはい、変なことを話し過ぎないようにしてくださいね?」

「ん、分かってるって」


 まるでオカンのようなことを言ってロベリアちゃんはサクラちゃん達の方へと行ってしまった。


「……それで、何か聞きたいことでもあるのだろう?」

「まぁ、色々と」


 聞きたいこと。つまるところは昨日の予言の事だ。決して避ける事のできない予言と話してくれたのだけれど、その予言は俺が大魔王城に出現したことによりかなり大幅な変化があったとも言っていた。

 だから、俺に伝えられた未来も変える事ができるのではないかと思ったのだ。


「結論から言えば、その予言を変える事はできない。予言ってのはそういうモノだからな」

「……なるほど。それなら、予言を()()()()()()変化を加える事は?」

「それは――ふむ、なるほど。行きつく結論は同じでもその結論を通過点とするわけか」


 俺がサクラちゃんを聖剣で貫くという未来は変える事ができない。ならば、その貫くという結果を経過に変えてしまえばいい。まぁ、今の所どうすればそうなるか皆目見当もついていないんだけどね!


「できないことも無い。だが――わからん。予言とはそれほどまでに強力なモノだ。あの子も――伊代もそれを分かっているから言葉を選んで話したのだ。自分の未来すらも……視てしまったあの子だからこそ、な」

「自分の……未来?」

「ああ、あの子は――」


 ガタン、と音が鳴り。牛車バスが停車する。どうやらいいタイミングで目的地に到着してしまったらしい。


「残念、付いてしまったようだな。だが、これだけ」


 そう言って、羅刹さんが俺の耳元にポツリとつぶやく。


「伊代は今日、化け物に喰われる。それが――あの子の運命だ」

「は、え?」


 思わぬ言葉に俺は目を白黒とさせてしまう。伊代ちゃんが、喰われる?一体どんな化け物に?


「答えはあの子しか知らん。だから真人。お前の言う結果を過程とすると考えるならば――伊代を救ってみろ」


 それが、俺の疑問への答えだ、と。そう言って羅刹さんは止まったバスから先だって降りてしまった。


「まーくん、どうしたんです?」


 バスから降りようとするサクラちゃんが、なんだか心配そうに俺の顔を覗き込む。ああ、本当にうちの嫁さんは可愛いなぁ!


「うん、伊代ちゃんを助けなきゃならなくなっただけだよ」

「なるほど、いつものことですね」


 そう言ってサクラちゃんは俺の手を握ってくれる。


「大丈夫です。まーくんなら、何とかできます。だって、まーくんはすごい人ですし、私に、シルヴィア、フレアちゃんにビオラちゃん、ロベリアちゃんもいます。サテラさんだって力になってくれますし、うん、みんな、みーんなまーくんの味方です。だから何だってできちゃいますよ?」


 サクラちゃんの言葉に胸の奥から熱いものがこみ上げる気がした。


――ああ、本当にサクラちゃんは最高の俺の奥さんだ。


「ありがとう、サクラちゃん。うん、一人で悩んでも仕方ないしね。みんなで色々と頭を捻ってみるとしようか!」


 そう、俺は一人じゃない。頼りになる仲間に愛する家族がいる。だからみんなで考える事にする。うん、本当にどうしたモノかな!

とってもとってもとーっても遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ

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