表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
375/554

22話:メイドと執事ってなんでか忍者的イメージがチラついて離れないよね?

「そもそもな話。大魔王って大魔王なのかな?」


 二日目の宴会場。みんなで仲良くご飯を食べてるさ中。トクトクと熱燗をサテラさんに注いであげながら聞いてみる。


「意図を組みかねますが、大魔王様は大魔王以外の何物だと言うのですか?」

「んー……答えはなんとなーく見えてるんだけど確信が無いんだよね。まぁうん、もしかしたら魔王ですらなかったんじゃないかなって」

「……残念ながら私には真人様のその問いへの答えを伝える権限を与えられていません」

「当たらずも遠からずって感じかな?」


 にこりと笑って、おちょこに注がれたお酒を一口飲むサテラさん。ちなみに、体の中のナノマシンのおかげでどんなに飲んでも酔いつぶれる事が無いらしい。うん、ある程度調節ができるって羨ましいな!

 俺はほら未成年だしね!それ以前にうちの神様の加護のおかげでお酒いくら飲んでも酔えないらしいし……。


「しかし、どうしてそんなことを?」

「ん、何でも俺が世界から召喚された勇者らしくってね。サクラちゃんを刺し貫くと世界が平和になるって言われたんだよ」


 うん、何言ってるんだこいつ?みたいな顔をされても困るな!実際にそう言われたんだし!


「正直、予言の意味を図りかねてるんだよね。世界が平和になると言う事が魔神とやらを斃すことと言う事なら、サクラちゃんがその魔神になっちゃうってことなんだろうけどそもそもその魔神が何かが分からない。もしかすると、大魔王城の地下の遺跡がその魔神とかいう奴の元城なんじゃないかなって思ってるんだけど、それくらいは……」

「残念ながら秘匿事項ですね。あの遺跡については何者も語ることはできない決まりになっています」


 それすらも話してくれないらしい。けれど、何かは知ってるってことだよね?とニコリと返すと黙秘しますと言って、パクパクと料理を口に運んでいく。


「うん、その黙秘が答えって事にしておくよ」


 俺は大きくため息を付いて、熱いお茶をあおる。


 サテラさんが話してくれないと言う事は同じ四天王のライオネルのおっちゃんに聞いても答えてくれないだろう。冥府侯爵ことクリュメノスさんとはあんまり親交がないし、アリステラさんはグリムに言いつけられているのなら絶対に言わないだろう。

 だから、俺の聞くべき相手は一人――大魔王(グリム)しかいない。


 よし、帰ったらグリムの事をお義父さんと呼んじゃうぞ!と脅しをかけてみよう。まぁ、サクラちゃんと結婚してるから実際に義父さんなんだけどね!


「それで、本当に一日滞在を延長されるのですか?」

「うん、今日一日お嫁さん孝行できなかったしね。あと、うん。まだまだ商人さんとの契約が残っているから……」

「またお仕事ですか」


 呆れ顔なジト目。はい、ありがとうございます!


「ありがとうございます!ではないですよ。まったく、そういう事こそ部下に仕事を振るべきではありませんか」

「うう、だけどせっかく旅行で来てるんだから、楽しんでほしいなって……」

「そこがダメなんです。そこが!」

「いふぁいよ!?」


 ほっぺをぐいと引っ張られてムニムニとされる。それ!意外と!痛い!!


「私たちは仕えてこその部下です。その部下に頼らなくてどうするんですか。優秀な部下をそろえてきたのでしょう?」

「そうだけど……って、さらりと自分も部下に加えてないかな!サテラさんは大魔王の部下だよね!?」

「ふふふ、何をおっしゃられていますか。四天王はグルンガスト様ですよ?私はサテラ……ただのメイドです♪」

「メイドです♪って……」


 笑顔のサテラさんに俺は頭を抱える。いやうん、最近アークル城に常駐してるし、実質的にうちのメイドさんになってくれているような気がしないでもない。大魔王城に行かなくていいの?と聞いたところ、グルンガスト(外側)が行ってるので大丈夫ですよ、と返された。俺も似たようなこと(分身)してるからサテラさんの事をとやかく言う事はできないのである。


「ちなみに、現在特殊メイド班を立ち上げておりまして、現在その班長を務めさせていただいております」

「と、特殊メイド班……?」


 い、いかん、知らない内に知らない班を立ち上げられている。というか、メイドに特殊性って必要なのかな?


「ええもちろん。掃除洗濯家事一般、事務に接客諜報に暗殺にトラップ作成まで――」

「待って!待とう。うん、俺の知るメイドさんの範囲を超えてる気がする!」


 そう、メイドさんというのは掃除とか洗濯がメインで、確かにお客様が来られた際には仲居さんよろしく専門でついてもらう事もあるけれど、諜報に暗殺て……あ、ロベリアちゃんがそうだったっけ?


「ええ、そういう事ができるメイドがいた方が色々と便利なんです。最近は勇者教の潜入もあるようですしね。アラガミの件もありますし、警戒するにこしたことはありませんから」


 サテラさんの視線がチラリと、おしとやかに箸を使いこなすシレーネさんと里いもの煮っころがしと格闘してるナナちゃんへと移る。……ナナちゃん箸の国から来てるのに挿し箸はどうかと思うなぁ。サクラちゃんも難なく食べてるぞ!


「……警戒してくださいね?」

「う、うん、ちゃんとしてるよ?」


 してるんだけれど、違う意味で目が離せない。何と言うか危なっかしいんだよね、ナナちゃんって。それでいて性格も普通にいい子だし?うん、いい感じに突っ込みを入れてくれるんだよ!


「まぁ、いい子であると言う事は否定しませんが。嘘をつくのもド下手ですし……」

「入って初日に諜報に来たってばれるレベルだしね……」


 何だか幸せそうに和食を堪能しているナナちゃんを眺めつつ、俺とサテラさんは二人で大きくため息を付いたのだった。

今日も今日とて遅くなり申し訳ごz( ˘ω˘)スヤァ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ