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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
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20話:運命書いてさだめと読むと何だか中学時代の真っ黒な古傷が痛み出しそうだよね?

「さて、まずどこから話したものか」


 昨日通された大広間。流石に羅刹さん夫婦と伊代ちゃんに俺だけじゃあなんだかとても広すぎる気がする。うん、もう少し狭い場所でも良かった気がするんだけど、何でもここが一番安全らしい。

 壁一面に描かれている絢爛な模様一つ一つが魔術的な刻印となっているらしく、何かが起きた時に一番対応しやすいのだそうだ。これ絶対地下への入り口とか裏部屋とかある奴だよ!


「兄様。すでに――ハセヲ様のお話はさせて――いただいております」

「む、そうかならばこの国の成り立ちもすでに聞いていると」


 うんうんと羅刹さんが頷いている。

 やはり羅刹さんは既に予言の内容について聞いているらしい。聞かれるだけでヤバイ予言ってなんだかとっても怖いんだけど、え、どういうものなのかな?


「はい、それは――私から」


 伊代ちゃんが正座のままこちらに向き直り、すぅと息を吸う。


「真人様。貴方は――この世界を救う勇者です」

「うん……うん?そうだけれど、それがどうしたのかな?」


 伊代ちゃんの言葉に首をひねる。今までさんざん勇者を連呼されてきて今更にお前は勇者か?と聞かれて流石に困る。うん、とっても困るんだよ!


「根本的に――他の勇者とは違うのです。まず――貴方は神に呼ばれた勇者では――ありません。()()()()に呼ばれた、唯一の――勇者なのです」


 だからこそ俺は勇者でありながらチートというモノがないらしい。うん、不死性をプレゼントするだけで充分と思われてたみたいだね!でもできれば欲しかったなぁ……。そうすれば大魔王にもあんまりコロコロされずに済みそうだし?


「ははは、チートとはつまり下駄だ。そんなものが必要ないからこそ、この世界に喚ばれたのだから当然だろう」

「ぐぬぬ、でもロボとか召喚したり変身!とかできるチートが欲しかったんだよ……」


 がっくりとうなだれて思い切りため息を付く。今からでもいいからくれないかな!くれないのね……。


「ごうちゃん、話がずれてますえ?」

「おっとそうだったな」


 緋乃女さんに言われていかんいかんと豪快に笑う羅刹さんである。羨ましいくらいに仲のいい夫婦だなぁ。


「そもそも、何で勇者が召喚されたか知っているか?」

「ええと、聞いた話じゃ魔王を倒すためだとか?」


 そもそもこっちの世界の神様に一人たりとも逢ったことも無いから大体そんな感じと聞いたことがあるだけであるけれど。うん、違うの?


「間違ってはいない。結果的にはそれが世界の為でもあるからな」


 そう言ってまた豪快に羅刹さんが笑う。うん、羅刹さん?羅刹さんも魔王ですよね?!


「真人様が――この世界に召喚されたのも。神々が――勇者を召喚するのも。終局的な――目的は同じです」


 それは世界を滅ぼす災厄。


 世界に仇成す究極の――悪。


――魔神。


 この世界に生まれ、この星を喰らいつくす邪神。それを斃すことが勇者の存在意義なのだ。


「だけど、そんな話今まで一度も聞いたことないんだけど?」

「はい、なぜなら――すでにその魔神は倒されているからです」


 ……あれ?俺いらなくない?いらないよね!そう、そもそもの前提がおかしい。だって、俺がその魔神とやらを斃すために召喚されたのにすでに倒されているだなんて、意味ないじゃあないか!


「ああ、確かに倒された。けれど、先々代では殺しきれなかった。先代でも駄目だった。だから、お前がここにいる」


 なるほど、前にも俺のような勇者たちがいたらしい。それにしてはその話も聞いたことが無いのがどうにも不思議なんだけど。


「簡単な話だ。その魔神は封印されてすでに数百年の時が流れているだから、人々の記憶からも消え去っているのだよ」

「しかし、魔神の封印が――綻び始めたため、世界の裏側に――潜んでいたアラガミたちが――表舞台に出てき始めたわけです」


 そして俺が召喚されたのだそうだ。

 召喚されたおかげでサクラちゃんに出逢えたわけだし、その魔神さんには感謝してもしきれないくらいだけれど、それはさておき、一つ大事なことを叫ばなければならない。


「どうして!勇者なのに大魔王城に召喚されるのさ!」


 しかも位置固定!そこからどう頑張っても変える事ができない!うん、遠方に出た時は本当に不便なんだよ!


「それは……残念ながら私にも何とも。むしろ、そこからが――おかしいのです」

「おかしい、というと?」

「本来――真人様は勇者として人の国――それも勇者教の総本山である勇者教ヴァルハラへ召喚されると予言されていたのです」


 けれども実際は俺は大魔王の国のしかも大魔王の間に召喚されてしまった。うん、まったくもって正反対なんだけどどうなのかな!


「私にも――わかりません。わからないの――です」


 俺が召喚されるはずだった場所が変わった事により、全ての予言が狂い始めたのだそうだ。死ぬべきだったモノが死なず、死なないはずだった魔王が俺によって倒されたりして、伊代ちゃんは大混乱だったそうだ。うん、てんてこ舞いな伊代ちゃんも何だかかわいいなと不謹慎なことを考えたけれど、そっと流しておこう!


「しかし――最後の結末だけは変わりません。たとえ、真人様がどう動かれても、世界が――どう動いても――この結末だけは変わらないのです」

「と、言うと?」



「勇者真人の手により――魔王オウカを聖なる剣にて貫かれ――世界は平和になる――と」

「………………は?」


 あり得ない言葉が聞こえた。俺が、サクラちゃんを聖剣で貫く、だって?

 いやいやいや、そんなことするわけが無い。天地がひっくり返ってもするものか!俺はサクラちゃん愛している。それなのに、どうして――魔神……?


「はい。いずれ――あの方は魔神となり果てます。それも――近いうちに」

「いやいや、そんな前兆すら――!」

「ありません。ですが、オウカ様のお心持は関係ないのです。どう足掻こうがそうなる()()なのですから」


 思わず、頭を抱える。

 サクラちゃんが魔神になる?一体なにがどうなってそうなるというのだろうか?


「残念ながら俺たちが分かるのはそこまでなんだ。本来ならばもっと話してやるべきなのだろうが、話してしまえばその結末すら変わってしまいかねないからな」


 つまり、俺がこの話を聞くことすらその未来への道標。


――俺がサクラちゃんを殺すやもしれない未来への。


「最後に我らが師であるハセヲ様の言葉をお前に伝えておこう。――真人、結末の()()()がお前の目指すべき道だ。終局の果てをお前なら見ることができる。故に、極めよ無限なる極致を識れ」


 終局の果て。無限なる極致。即ちそれは――


「無限流、終局ノ奥義……」


 無限なる全ての技を極め、その果てにたどり着く極致。


 今までの無限流継承者たちが、師匠ですら至ることが()()()()()()その極致を識れと師匠は言っているのだ。うん、無理無茶じゃあないかな!


「至る道はここにある。その為に我らが師はこの国を作ったのだからな」


 羅刹さんの言葉に思わず涙がこみ上げる。


――ああもう、どこまで弟子の事考えているんだあのバカ師匠は!


「終局の儀を行うのはお前の帰る予定日に開始でいいだろう。うむ、死んで帰ればお前を一人残しても問題ないし!」

「くそう、デスルーラ(死に戻り)前提かよう!」


 便利だけど!確かにそこだけは便利だけど!帰りの分の嫁さんたちとのイチャイチャはどうなるのかな!うん、諦めないと駄目なのかな!うわああん!ウゾダ(嘘だ)ドンドコドーン(そんなことー)

大変大変大変遅くなりましたOTL

これもすべてユグドラシルの……クライシスの……乾巧って奴の仕業なんだ!

おのれ、ディケイ……滅亡迅雷ネットぉぉぉ( ˘ω˘)スヤァ

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