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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
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15話:京都でお茶漬けは早く帰れという意味らしいけど美味しいとお代わりしちゃう気がするよね?

 襲い来る数々の襲撃を躱して避けて弾けさせていく。


 うん、失敗するとすぐに自爆して(はじけて)いくから本当に面倒くさい!何人かは爆散する前に口まで縛り上げて生け捕りに成功したのだけれど、どうやら俺らに挑みかかる前に毒を飲んで挑みかかっているらしく、捕らえて数分もしないうちにぐったりと動かなくなってしまっていた。……まぁ、うちには林檎ちゃんがいるから死んでいなけりゃ回復させられるんだけどね!まぁ回数制限もあるから、林檎ちゃんのチートを使う時までは延命治療で十二分に苦しんで待ってもらうとしよう。自業自得だしね!


 そして、今回のこの襲撃に一番腹を立てているのは――フレイだった。


 何というか、襲われるタイミングがすごく悪かった。

 ものすごく美味しいと評判の長蛇の列のできるラーメン屋で、ようやっと食べれるというその瞬間に襲われたのだ。それはもう、烈火のごとく怒ってしまい上空に放り上げられた可哀そうな間者さんは(ちり)すらも残ることは無かった。


 まぁ、色々と周りの商店にご迷惑を掛けながら襲い掛かって来た間者であったので、周りからは拍手喝采ではあったのだけれども、悲しいかなここは法治国家、修羅の国。俺とフレアは見事お縄についてしまったのであった。






「「「「そういうわけでお縄になったわけだけど、うん。何から話せばいいのかな?」」」」

「と、とりあえず一人になってもらってもいいでしょうか!」


 沢山の俺は町奉行のちょんまげのお兄さんに深々と頭を下げられてしまった。

 ここは街の東方にある町奉行所の尋問室。つまるところは警察署の取調室だ。流石は法治国家!悪いと見たら即処断とは違うよ!うん、割と取り調べが長くなりそうで怖いんだけどね……。うう、新婚旅行中なのに……。


「それはとても申し訳ないと思う。だがしかし、それを差し置いても殺しは別だ。いや、まぁあれだけの自爆特攻をされてよく無事でいられたのが摩訶不思議でたまらないのですが――」


 何とも苦労の多そうなちょんまげの町奉行さんは大きくため息を付いている。

 俺らが逃げればこんなことにならなかったのだろうけど、逃げれば街に被害が出ていたのはこの町奉行のお兄さんも重々承知なのだ。だからこそ、眉間にしわを寄せているわけで。


「ともかく、法に乗っ取れば人殺しは打首が相当。ですが、向こうから襲い掛かって来ているのは事実。むしろ被害者であり、正当防衛であると私は考えます。しかし……」


 過剰防衛に当たるのではないか、とそこでこの町奉行の兄さんは頭を抱えている訳だ。

 うん、このお兄さんは悪くない。むしろお仕事に忠実でしかも、俺の事をよく考えてくれている。だけど、だけどね!お仕事にデートがまだ済んでいないの!このまま拘留数日とかになったら俺の大事な奥さんたちに怒られちゃうんだけど!


「うう、本当に申し訳ない。し、しかし……」

「何を迷う事がある!」

「な、羅刹様!?」


 スパン!と勢いよく木戸が開かれ、現れたのはこの土地の魔王。そう、羅刹豪刹さんだった!うん、昨日ぶりです!


「うむ、昨日ぶりだ。はぁ、松岡よ。彼が誰か分かっておるのだろう?ならばまず俺に連絡を向けるのが筋だろうに」

「し、しかし魔王様。いくら客人と言えど罪は罪。裁かなければ民衆に申し開きもできませぬ」

「だが、我らの警護が弱く、客人が襲われてしまった事はどう考える。それこそ、民衆に申し開きが立たぬのではないか?」

「む、むむ……」


 羅刹さんの言葉に町奉行の松岡さんは頭を抱える。うん、本当にごめんなさい!


「真人が謝ることではない。奉行所の――強いては修羅の国の警備体制が弱かったのが要因であるのだしな。まさか、奴ら……アラガミがここまでなりふり構わず襲い掛かって来るとは思わなんでな」

「アラガミ……というと昨日聞いた邪神崇拝の組織でしたよね?」


 そう、それこそ注意してくれと羅刹さんが言ってくれていた事件の影にはアラガミありと言われているらしい、アラガミさんである。うん、そのアラガミさんがどうして俺を狙うのかな?昨日まで聞いたことない組織にいきなり襲われるのはとても怖いんだけど!


「……彼らは恐らく、お前と刻詠(ときよみ)の巫女を逢わせたくないのだろう」

「刻詠み……?」


 思わずオウム返しで返してしまう。


「いわゆる、べらぼうに当たる占い師のようなものだ。昨日の宴会場にも連れて来ていただろう?」


 聞いてハタと思いだす。刻詠(ときよみ)の巫女――つまり予言の巫女。


 そう、お風呂で出逢った黒髪おかっぱの伊代ちゃんその人だ。


「俺の口からは詳しくは言えんが、アイツらにとってあの子からの予言を真人が聞くことはとても不都合があってな。だから真人が狙われている。もちろん、刻詠の巫女もな」

「巫女様の折られる東堂の警備は万全。アリの子一匹通す余地もございませぬ」


 松岡さんの言葉にようやく納得がいった。うん、どう見ても警備の薄い俺を殺すのが一番手っ取り早いよね!だって、俺は死ねば大魔王城に飛ばされるわけで、また戻ってくるまでに数日かかってしまう。


 その数日があればアラガミという奴らの目的が果たされるのだろう。


 まぁ、だからと言って俺は簡単に死なないんだけどね!即殺されるのなんて大魔王くらいだし!ふふ、何でこんなに人生儚いんだろうね……。もう何回殺されたか今更数えきれないよ!……グスン。


「だから、真人は殺してはならぬ。死なせてもならぬ。そして、我が国の客品だ。だから、今すぐにでも開放しなければならぬ」

「で、ですが、それであればここで大人しくしていただくのが――」

「一番安全だろう。だが、それではならぬ。ならぬのだ!我ら修羅の国!そう、OMOTENASIの心を第一とした我が国でそれはならぬ!ならぬのだ!」


 握りこぶしを握り、羅刹さんが熱く熱弁を振るう。


「修羅の国は異世界の日ノ本の国をモデルに作られた国。その国が目指した心得を、我らが師が残した想いを忘れたか!」

「!いえ、忘れては折りませぬ。我らが無限流師範の想いは常にここにありまする!」


 その熱い言葉に松岡さんが同じく握り拳を作り叫――って、うん?待って、待とう。無限流……師範?


「はい。この国の創設者であり、我ら修羅の国の民に受け継がれた無限流の師範にございまする」


 松岡さんの言葉に俺の目が点になる。え、え?無限流って異世界ではそんなにメジャーな武術なの?いやいや、流石にあそこまで荒唐無稽で珍妙な流派が受け継がれるわけが……な、無いですよね?


「いいや、受け継いでおるぞ。何せ、俺はその――正統継承者なのだからな」


 羅刹さんはなんだか嬉しそうにニヤリと笑ったのだった。

今日も今日とて遅くなりましt( ˘ω˘)スヤァ

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