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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
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8話:天守閣のほとんどは物置として使われてたって調べないと分からないものだよね?

 通されたのは大広間。見渡す限りに描かれた絢爛な紋様は正しく謁見の間と言うにふさわしいだろう。うん、相当にお金かかってるよこれ!


「客人と逢うときは必ずここで話すようにしているのだ。まぁ、うちがどれだけ力を持っているか見せるためだな。つまるところは、自慢だな!」


 はっはっはと楽しそうに羅刹さんが笑う。うん、お城って大体そんなものだしね!なめられたら負けって所があるし?まぁ、自分の国の所得を考えずに作るのはダメダメだけどね?


「このお城自体は兄さまが魔王になる前からあったのですから、兄さまがすごいわけではないのですけどね?」


 何だかジト目の椿さんの視線を羅刹さんはそっと、目をそむけて受け流す。そういえ婿養子さんだったっけ……。


「ええんよ椿ちゃん。だって、ここはもうごーちゃんのおうちなんやし……ね?」

「ひ、ひーちゃん……」


 羅刹さんはひしと緋乃女さんの手を握りウルウルと見つめあっている。うんうん、いい夫婦だな!


「まぁ、このイチャイチャっぷりをはたから見せつけられる妹の身にもなって欲しいんやけどな……」


 何だか椿さんが黄昏ている。妹、妹か……俺の妹に現状を見せたらどうなるんだろう?うん、思い切りグーで殴られそうだな!じ、事情を説明すればきっと、たぶん、恐らくわかってくれる……かもしれない!――まぁ、もうかもしれないって話しかできないんだけれど。


「さて、真人。そろそろ真面目に話を」

「え、俺ってば最初から真面目だけど?」


 ライガーの言葉に素で返す。うん、俺はいつも全力で真面目だからね!……うん、みんな俺の方をジトで見ないで欲しいな!はい、ありがとうございます!!


「コホン、そういう訳で。改めてお招きいただきありがとうございます魔王・羅刹様。婚姻を結んで初めての旅行をこの地、修羅の国に訪れる事ができて光栄に思います」

「ああほら、真人。頭をそこまで下げるんじゃあない。フランクに話してはいるが立場的にはお前の方が上なんだからな?」

「……あれ?そうなの?」


 うん、魔王関連の感覚ってお仕事しててもいまいちわかんないんだよね!大魔王の娘の旦那だから偉いとかそんなのなのかな?


「それもあるが、お前はいったい誰と誰を嫁にしたと思ってるんだ?」


 うん、サクラちゃんとシルヴィアが魔王でフレアは魔王候補であり大精霊候補。そして人間を卒業して勇者になっちゃったビオラちゃんだね!……うん、すごい嫁さんばかりだなぁ。


「それをすべて自分の力で勝ち取って来たと考えてみろ。どう考えてもやばい奴だからな、お前」

「……そうなの?」


 チラリとライガーを見ると何でかため息を付かれてしまった。おかしいな!俺やばく無いよ!むしろ普通?普通だよ!


「忍者って普通なんです?」

「にゃ、魔王を一人で倒せる勇者が普通なわけないよ?」

「普通……?普通って何だ?」

「落ち着け、サン。まず真人は普通じゃない」


 普通じゃないって何なのさライガー!と言ったところでみんなの目がまたジトだった!なんでさ!俺のどこが普通じゃないって言うんだ!


「見た目?」「体つきも」「挙動も普通ではありませんね」「分身とか普通せーへんなぁ」「せやせや、精霊さんにお願いしてーとか言いつつ道路を一人で作って歩いとったし?」「何それ怖い」「いつもの事ですね」「……いつものこと」「まぁ、まーくんですから!」「あ、あはは……」


 何だかみんながうんうんと頷いている。


 な、納得ができない。俺はこんなにも普通なのに!うん、普通って何だか知らないけど!


「うん、本人がこれなので気にせず話を続けましょう」

「シルヴィア、たまに俺の扱いが酷くない!?」


 そうか?と首をかしげるシルヴィアである。くそう、自覚なしか!


「ともあれ、この後案内する旅館の経費は全てこっちがもつ。だから精一杯観光してお金を落としていってくれよ!」

「兄さま、本音が駄々洩れです!」


 椿さんが耳まで真っ赤にして顔を両の手で覆ってしまった。うんうん、流石は羅刹さん。豪快だなぁ。


「ああそれと、最近危ない奴らがウロチョロしてるから気を付けてくれよ?」

「……危ない奴ですか?」


 と言って一斉にみんながこっちを見る。うん、どういう意味かな!


「くく、真人は大丈夫だと思うが……気を付けて欲しいのは部下の子たちだな。奴らは――アラガミと名乗っている」


 曰く、そいつらは古の滅んだ神を信仰していて、その復活を目論んでいるという、とてつもなくはた迷惑な存在らしい。


「奴らはかなり大規模な組織でな。大きな事件の影には必ずそいつらの影があるとさえ言われている。……勇者教にすらその信奉者がいるという噂もあるくらいだからな」

「つまるところ、その神に召喚された勇者が信奉してるとかですか?」


 羅刹さんは大きく首をふり、俺の言葉を否定する。


「そんな勇者はいるわけが無いんだよ。なぜならその神は魔族の――いや、魔王を統べし神なんだからな」


 その言葉の意味をかみ砕くことができず、思わず頭を抱える。でも、確かにその通りだ。この世界に神がいるのは知っていた。けれども、魔族にも――魔王の神が()()()()()()()()


「尤も、その神はもうすでにこの世にいない。遥か昔に滅ぼされているからな。だから、今いるのは残党だ」

「つまり、過激な思想な連中が大量に残ってまだ暴れていると」

「大体そんな感じだ。まぁ、見つけたら詰め所にでも報告しておいてくれ」


 見かけたらその程度じゃすまない気がするけどね!……だけど、魔王の神……か。一体どこのどいつが倒したんだろう。うん、倒すついでに一緒にアラガミも滅ぼして欲しかったな!


 せっかくの新婚旅行、どうにか邪魔されなければいいんだけど……。

今日も今日とて遅くなりましt( ˘ω˘)スヤァ

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