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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
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7話:恋人ができれば何かと記念日が増えていくけれど気を付けないと止めどなく増えていきそうで怖いよね?

 到着したのは大きなお城と言うよりも長い塀に囲まれたお屋敷という感じの場所だった。


 ここが京を模して造られたのなら大内裏と言う場所なのだろう。うん、つまるところはやんごとない人が住んでるところだね!


 俺とサクラちゃんを含めた奥さん四人と姫騎士のみんな、そして勇者三人娘とロベリアちゃんやナナちゃんたち側近のメイドの数名がバスと言う名の牛車から降りる。

 他のメイドのみんなは先に旅館に行って初日の観光と洒落こむらしい。うぐぐ、こちとら挨拶とか諸々があるってのに!羨ましいな!

 

「大内裏なんてよく知ってんなぁ。ここは代々姫巫女の家系の屋敷でな。その家系と血縁を結ぶことができたものが魔王と名乗ることができるわけで、この大内裏はうちの奥さんの実家という訳だ」

「つまり兄さまは婿養子なんよ」


 そんなこと言うな妹よ、と何だか気落ちした様子の羅刹さんである。まぁそんなこと言ったら俺も婿養子だし?いや、養子になったつもりは無いけどね!……はっ!今更ながらグリム(大魔王)の事まだお義父さんって呼んでない!……呼ばないと駄目かな?うん、駄目だよね?


「しかし、強さとしてみれば間違いなく魔王と呼ばれるのにどうしてそんな羅刹さんよりもこの姫巫女の方が身分が高いんだ?」


 シルヴィアが不思議そうに首をかしげる。確かにその通り。魔王とは基本的に魔石を持ち、圧倒的な力を持つ者が大魔王や大精霊様に認められて成るモノだと勝手に思っていたのだけれど、うん、違うの?


「いいや、大体あってるさ。ただ、この修羅の国は元々がヤマト族が納めていた国でな」

「ヤマト族……です?」

「そうだ。ヤマト族は代々姫巫女が長となり、予言と間違(まご)うほどの占いによりその地位を確固たるものにして来たわけだ」


 だからこそ、このヤマト国で魔王と名乗るならばその姫巫女を娶らなければならなかったわけだ。うん、予言クラスの占いだったら絶対に手元に置かないと怖いしね!


「そうは言っても姉さまと兄さまは激しい恋愛婚やったんよなぁ。ふふ、懐かしいわぁ。一時期愛の逃避行までしはったもんなぁ?」

「こ、こら椿!そういう事はあまり言うものじゃないからな!」


 赤い顔をさらに赤く染めている羅刹さん。うん、男のテレ顔なんて見ても嬉しくないぞ!そしてロベリアちゃん!このセリフは口に出して無いから無言で足を踏まないで欲しいな!なんでわかるかな?痛いよ!?


「けれど、そんなクラスの予言いったいどうやって……」

「それは企業秘密だな。尤も、今の占いの巫女は代替わりしてるから俺もよく知らなかったりする」

「愛の逃避行中に代替わりさせられたんよねぇ?」

「だから!それを言うなと!」

「にいふぁん!いふぁい!ほっへは!いふぁい!」


 両のほっぺをつねられて椿さんが涙目になっている。うん、仲いいなこの兄妹!


「ああもう、アンタ何してはるん?いつまでたっても来ーへんから心配なって見に来てもーたやない」


 内裏の奥から顔を見せたのは巫女服のようなものを身にまとった黒髪の綺麗な女性だった。隣には巫女服の御付きの人が二人いるので、只者でないことは間違いないだろう。二重ながらもキリっとした目は意志の強さが見て取れ、頭の右側から生えた片角が彼女が鬼族であることを雄弁に物語っていた。うん、美人さんだな!


「心配しなくてももうすぐ来るところだったんだぞ、緋乃女(ひのめ)?」

「せやかて、いじらしゅう待つのはうちの性に合わへんし……。ああ、堪忍なぁ。お客さんを待たせてもーて」


 そう。にっこりと笑う彼女こそ、姫巫女であり、羅刹さんの奥さんであり、椿さんの義姉さんである緋乃女さんである。


「さぁさぁ、遠慮せんと上がってな?何もないところやけど」

「……待て。ここに置いてあった俺の盆栽は……」

「ああ、前に来た商人はんが欲しいーいうから上げてもーたわ」

「?!」


 あ。羅刹さんの目が点になってる。え、大丈夫なの?大丈夫なのこれ?俺は思わず椿さんの顔を見る。


「うん、大丈夫やないかな?どうせ兄さまが何かやらかしてそのお仕置きなだけやろうし」

「あら、流石は椿ちゃん。ごうちゃんと違ってようわかっとるやない」


 キシキシとなる鶯張り(うぐいすばり)の廊下を緋乃女さん案内されるがままに奥へ奥へと進んでいく。ごうちゃん……そうか、羅刹さんの羅刹って名字だから豪刹が名前なわけだ。だからごうちゃん……。


「それで、兄さまはいったい何をやらかしたんです?大事な姉さまのお皿を割ったとか?それともこの前の出張の時にお土産を買って来-へんかったとか?」

「……結婚記念日忘れてはったわ」

「兄さま、ギルティ♪」


 ニッコリと笑う二人の笑顔が怖い。確かにそれは仕方ないね!大事な大事な奥さんとの記念日だしね!むしろ何で忘れたかな?


「いや、わ、忘れたわけではなくてな?流石にもう何十回もやったし、一回くらい必要ないかなと……いや、すまん。すまんかったから涙目にならないでくれ!真人が見ているではないか!」


 あわあわと慌てた様子の羅刹さんである。うん、それは泣かれても仕方ないね!……俺も気を付けよう。何だか後ろからの八つの視線が痛いし!明日は我が身だ!……ガクガクブルブル。

今日も今日とて遅くなりm( ˘ω˘)スヤァ

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