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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第七章:勇者な執事と東の果ての新婚旅行。はい、鍛えてますから!
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4話:お休みの日の寝貯めって実はあまり意味がないって聞くとちょっとショックだよね

 船に乗って早四日。


 途中で大型の魔物が襲ってきたり海賊が襲ってきたりもしたけれど、それ以外は大体順調な航海である。途中雨風もあったけれど、嵐と言うほどのモノじゃなかったしね!


「いえ、大型の魔物や海賊が襲い掛かって来る時点で相当危険といいますか、順調……いえ、確かに順調なのですが……」


 デッキでパラソルを広げて風に当たりつつ本を読む俺の横で、いつものメイド姿でロベリアちゃんが首をかしげている。うん、今日もいつも通り可愛いな!


「順調も順調だよ。だって大型の魔物が襲ってくるのも、海賊が襲い掛かって来るのも想定内だからね。むしろ想定しているからこそのこの武装商船なわけだし」


 まぁ、正直なところかなりの過剰戦力に思えなくも無いけれど、この世界には魔王クラスの海賊までいるらしいのであって困ると言う事は無いだろう。


「それにしても、ビオラちゃんもそうだったけど、ロベリアちゃんもお休みなんだからメイド服じゃなくて知私服でのんびりしてていいんだよ?お仕事もお休みなんだし……」

「いえ、これも私の務めですので。というか、お休みだーと言いつつお仕事をしているのはお見通しですからね?夜中に寝るでなく、カリカリと書き物をしているのは把握しています」


 かなりジト目でこちらを睨まれてしまう。ふふ、違うんだ。アレは趣味で書いている手記のようなものでね?え、目が泳いでる?ハハッ!バレバレかよ!


 そう、実の所お休みと言いつつ。寄港した港を訪れては次から寄港する際に必要な契約を結んだり、これからの貿易品の取引を繰り返しているのだ。つまりは、船がどこかに停泊するたびに書類が増えている訳だ!ふふ、眠れないぜ!


「あんまり頑張りすぎないで下さいよ?新婚旅行中に過労死なんて笑い者もいいところですから」


 うん、確かにそれは笑い者だ。

 だって、新婚旅行中に過労死だなんて、どう見ても男として頑張りすぎて死んだと思われかねないからね!

 まだ童貞だけど!

 あんなに綺麗で美人で可愛い奥さんを四人も貰っていたら頑張り過ぎちゃうよねって思われても仕方ないよね!

 まだ童貞だけど!


「なんだろう、こう、胸の奥にズシンと深いダメージを負ったような……」

「自業自得です。そう思うのならちゃんと休んで、奥様たちにその分を還元して差し上げればいいんです。そもそも、何でまだ子供のこの字も出てきていないんですか」


 ぷんすかと腰に手を当ててロベリアちゃんがジト目でこっちを見下ろす。うん、この前も言われたけれど、これは時間とタイミングを見計らっているところでして……。


「意味が分かりません。ロマンチックな新婚旅行でこんなに素敵な部屋に泊まって、奥さんたちとラブラブな雰囲気なんですよ?それなのに何もしないだなんて考えられないです!」

「じゃあ、いつしろって言うのさ?」

「今でしょう!!」


 ものすごい勢いでロベリアちゃんに突っ込みを入れられてしまった。

 くぅ……わかっている。わかっているんだ。だけどね?こう、四人を見ていると、あまりの美しさと可愛さに神々しさを感じてしまいまして……。


「ヘタレ」

「ぐふぅ」


 ライガーにも言われたけれど、ロベリアちゃんにもド直球ストレートを投げられてしまった。


 それもこれも、俺が四人との仲の進展に二の足を踏んでしまっていることが原因。


 やってしまって今の関係が壊れてしまうんじゃあないかっていう、言いようもない不安感があったりするわけだ。まぁ、結婚してるんだからそういう事もなきにあらず何だけど……。


「ほら、成田離婚とかマリッジブルーとかあるじゃない。それがこう、不安でさぁ……」

「なんですかナリ……なんとかって。なんにせよ言い訳でしかありませんね」


 ヤレヤレと首を振るロベリアちゃん。い、いつにもまして辛辣じゃないかな!


「はぁ……。それもこれも四人から相談されたからこう言っているんですよ?」

「へ?」


 思わぬ言葉に俺の目が点になる。相談されたって、サクラちゃんたちに……?


「ええ、その通りです。自分に魅力がないんじゃないか、とかやっぱり元男じゃダメなのかとか、大事にされ過ぎて申し訳ないとか、子作りどうすればいいの、という質問は私もいまいちですのでスルーしましたが……。兎も角、奥様方はみなさん真人様の勇気ある一歩を待ち望んでいるんです!」


 握りこぶしを作ってロベリアちゃんが俺に詰め寄る。

 そ、そこまで悩ませていただなんて……。でも、何でロベリアちゃんに相談したんだろ?


「そ、それはその、私が真人様のおつきのメイドですし、真人様の様子を一番知っているからと」

「まぁ確かにね。四六時中そばに居てくれてるし」


 思えば、この世界に来て一番傍にいてくれているのはロベリアちゃんじゃないだろうか?そう考えればサクラちゃんを含めたみんながロベリアちゃんに相談を持ち掛けるのも頷けてしまう。うん、ロベリアちゃんって最近おれが深夜までお仕事してるときはわざわざ俺の膝で眠りに来るしね!寝顔が可愛いから、バッチコイなんだけどね!


「あれは、真人様が頑張りすぎて又死なないか見張るためです。それでも死んじゃうのが真人様ですけれど」

「うん、俺をそんなに儚い生き物のように言わないで欲しいかな!まぁ死ぬけど!」

「じゃあ、ちゃんと寝てください!」


 じゃあと言われてもどうしようもない。だって俺は()()()()のだから。


「……お薬でも駄目なんです?」

「うん、駄目だった。というか、薬全般が効かないんだ。耐性をつけすぎたせいで麻酔も効かない。気絶すれば……ワンちゃん?と思ったこともあるけど、俺が気絶するのって生死のラインっぽくてさ。気絶したと思ったら死んでた」


 だから、俺が意識を完全に落とせるのは死んだ瞬間――ただそれだけ。まぁ、人間寝なくても生きていけない事も無いからね!要は体と頭を休ませればいいわけだし?


「それを怠っているのはどこの誰でしょう?」

「……誰だろうね!」


 思わず目をそらしてしまう。うん、話もうまくそらせたしこれでいい事にしよう。


 目的地まではもう少し。


 船に大きなタコの魔物が襲い掛かってきていたけれど、三連装魔導三六センチ砲が火を噴いて一瞬で吹き飛ばされてしまっていた。うん、順調な航海だな!


「どう見てもそうは見えないんですけど!?」


 ロベリアちゃんの呆れ顔を横目に、俺はまた持ってきていた小説に目を落としたのだった。今の俺にはこれが一番の休息なのである。ううん、ノベルゲーマー映像化しないかなぁ……。

今日も今日とておそくなりましたOTL

尚、お休みの日の寝だめはいつもしていま( ˘ω˘)スヤァ

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